バリアフリー展を見に行った。年々盛大になるが、今年は


小間数が減って、それだけ内容が充実してきたのではないかと


思われる。二十数年前から比べると、格段の進歩がうかがえる。


当時は、需要が少ないこともあるが、コストが一番の問題で、


企業もそれほど力を入れて開発しようという意欲も薄かった。


むしろ見学者も、ヘエーこんな物があるの、といった感覚で、


珍しさが先だったように記憶する。


小間数が少なくなったのも、中小の企業では開発費に


負担が重過ぎるので、今回は見送ろうとの考えではないか。


大手は、販売力で開発費をカバーできるから、企業名を売るには


絶好の機会でもある。


 ただ、どうしても当事者目線というのが気にかかる。


健常者がアイデアを出して、製品化しても使用するのは、


利用当事者という基本的な考え方が抜け落ちているのが、


気にかかる。


例えば、ベッドに敷きマットを敷いて、当事者の仰臥位(あおむけ)の


体位を変えるのにマットを引っ張って変えようとするが、


かなりの力が要る。


最近、テレビでも要介護者の体位を変えるのに、力学の応用で


女性のヘルパーさん一人の力で、簡単に出来る方法を紹介しているが、


人間の身体構造上、可動範囲は限られており、無理に動かすのは


苦痛を伴う。テコの応用を使えば、支点、力点をどこに置くかによって


作用点は決まってくる。要らぬ所に力を加えると、苦痛が生じ、


余計な力を必要とする。


車椅子のブレーキでも、力のない人が利用するのに、サランラップの


空き箱をかぶせるだけで、簡単に操作が出来る。


 健常者が、こうすれば便利だろうと考えるのは、単なる自己満足で、


アイデア商品に他ならない。利用者は日常の生活で、こうすれば便利


だろうな、と思うことはいくらでもある。


これが当事者目線で、台所用品には主婦感覚が活かされている。


台所に入ったことがない男性がひらめく事は、少し感覚がずれるのは


仕方がない。


しかし、障害者にしても、要介護者にしても、身体の具合は少しずつ違う。


拘縮の程度によって、可動範囲が変わってくる。


その人に合った対応が必要になってくる。補装具は特に必要となる。


筋力減退の脳性麻痺者にロボットを背負わせ、歩行を助ける場合、


鍛えなければならない筋肉を補助すれば、将来的には体重さえ支え


られなくなる可能性もあるから要注意だ。便利さだけで、電動車椅子を


奨めるのは感心しない。