茨城のり子さんの詩集が、ずっと欲しくて欲しくて、
私の大学レポートが全て終わったご褒美に、買った。

やっぱり、一番有名な
『わたしが一番きれいだっとき』
が、好き。

わたしが一番きれいだっとき、
とてもふしあわせで、
とてもとんちんかんで、
めっぽうさびしかった、
って、綴られているんだ。

彼女の青春時代は、戦中戦後で、
とてもじゃないけれど、幸せな時代じゃなかった。
でも彼女の、『だから決めた 長生きをすることに』
っていう言葉に、すごく救われるのだ。

強さは、美しいものだ。
ときどき、『戦争はなくならない』って聞くけれど。
私は、そんなの嫌だ。
そんなの信じない。
そんな半端な弱さで、挫けないでほしい。

そんなつまらないこと、云わないで。
そんな世界を生きるために、ここにいるわけじゃない。
私は、もっと強く、もっとしなやかに、
なくなると思いながら、生きていきたいんだ。

なくなると思って、していることと、
なくならないと思って、しているのじゃ、
全然ちがうんだ。
全然、ちだうんだよ。


『戦争なんて、きっとなくなる』
って、茨城のり子さんに言ってあげたい。

だから、だいじょうぶだよ、
って、云ってあげたいじゃない







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伯母から、この前、電話をもらった。
従姉妹の五歳になる息子が、私に会いたがっている、
という内容だった。
もう、一生あんな人には会えない。
って、マセたことを言っては困らせるんだ、と。

私は可笑しくなって、
10年経っても気持ちが変わらなかったら、
恋人になってあげるって言っておいてよ、と返した。

祖父の葬儀で初めて会った、幼稚園の制服を着ている、
ご飯が嫌いな、ガリガリの白い五歳の男の子。
みんなに、ご飯食べろ食べろ、って言われていたのを、
『ああやって、大人は口うるさく言うけどさ。
 好きなものを食べればいいよ。
 嫌いなものなんて、大人になったら好きになるから。』って云ったんだ。

私の妹は、何言ってんだ!って怒ったけど、私たちは笑いながら、
『ああやって怒ってばっかりだと、皺が増えるんだよ』
と教えてやった。
・・・妹は、もっと怒ったけど!!!


それからは、何をするにも隣に座るようになった。
火葬場に行くバスの中でも、隣に座ってもいい?と聞く彼に、
大人の男なら断るところだけど、五歳児なら許す、と言ったら。
後部座席にいるママに、
『ママーー、隣に座っていいって言ってくれたー』と叫び、
ママである従姉妹が、
『断られなくて、良かったねーーー』と云うから、
『大人の男なら断りたいけど、さすがに五歳児は断れなかったー
 これ、ナンパじゃないよねー?』
と返したら、会話を聞いた親族たちに笑われてしまった。


一緒にやった草笛は、キレイな音色が出ず、
『なんか、おならの音しか出ないんだけど』
と言ったら、ずっと笑ってたな。

もうさようならなんだ、と言ったとき。
手紙の交換をすればいいんじゃない?って、言うもんだから、
字書けるの?、と訊いてみた。
あんまり書けない、と答えたから、
『字を書く練習をして、手紙を書いてくれたら。
 私もひらがなで書いた手紙で、返事をするよ。』と答えた。

それを聞いた彼は、
小さな声で、二人だけの秘密の約束にしよう、と。





伯母が
『なんか、手紙を送りたいって言ってるんだよ』
って。

私の小さな恋人
約束を、私も、まだ忘れてないよ



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「askがさ、憶えてないかもしれないけど、
『悪いって、思ってるんでしょう?
 だったら、あたしが責める必要はないよね』
 って、言ってくれたんだ。
 私は、その言葉に助けられたんだ。」

って、キミはきのう言ってくれたけどさ。
本当は、自分が昔に云ってほしかった言葉なんだ。
云ってほしい言葉なら、きっと、みんなあるんだよ。

言葉には、力があるけれど。
重松清さんの『青い鳥』に出てくる村内先生は、
話す事がうまくない。
しかも、たくさんの言葉を云うわけじゃない。

言葉って、もちろん大切なんだけれど、
私は、知ったんだ。
心に寄り添う、ってことを。
村内先生は、心に寄り添っていたから、
たくさんの言葉を、必要としなかったんだ。

言葉じゃ、すくえないものがある。
言葉だけじゃ、触れちゃいけないときがある。

そんなときには、誰かの心に寄り添って、
その人になるんだ。
自分を捨てて、その人になって、
その人の心になってみるんだ。

村内先生が云った言葉に、素敵な言葉なんてない。
だけど、言葉にできないほど苦しいときに、
言葉よりも、自分の心に重なってくれる心がほしいときがある。
解ろうとしてくれる優しさに触れたときに、
人は初めて、言葉を紡ごうとするのではないだろうか。









あなたが、もし、
言葉を紡げない誰かを前にしたのなら、
あなたは、どうするのでしょうか。