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江國香織さんの『薔薇の木 枇杷の木 檸檬の木』を買ったのは、
何年前だろうか。私が幾つだったのかも思い出せない。
そんな本をまた読み返した。うろ覚えの記憶をたどりながら。

ただ、本を読んだその時の感想は覚えている。
私は、いつもそうだ。
タイトルや著者名は全然覚えられないのに、
やたらと感想とかは覚えている。なんと役立たずな記憶力。
それはさておき、当時の私の感想は一言『無いものねだり』


独身者は結婚生活を羨み、既婚者は独身生活を羨んだり、
単なる無いものねだりに過ぎない、と。

だけど改めて今読むと、なんていうか、分かる気がするのだ。
ただ話を黙って聞いて同調してくれるだけでいい、
日々に溜まった小さな失望感を忘れさせてくれるだけでいい、
ちょっとした隙間に入ってくれる人がいたら、どんなに楽なんだろう。
どんな淵にでも立てるかもしれない。

それは、他の誰かをただ好きになる、だけでいいのに。
でも、好きなだけでは止まらないよね。
きっともっと好きになって、私なら駆け落ちしちゃうな。
うん、しちゃうね、駆け落ち。


そういえば、職場の男子がランチ奢ってくれるっていうから、
それでチャラにしとくか…。とりあえず駆け落ちは。