
人はたった一度だけ、もの凄く誰かを好きになれるのかもしれない。
決められた人を。たった一度のたった1人だけを。
村上春樹さんの『国境の南、太陽の西』を読んで(随分前なんだけど)
そう思うことが確信に変わった。
出会って、好きだなって思って、それからずっと。
思い出しはしなくても、自分の心の中で息づいてしまう想い。
その人じゃなくたって、それなりの幸福やそれなりの恋愛は生まれるのよ?
でも、その人の隣にいるとそれが比べモノにならないぐらいなの。
私は今までだって、沢山のことを自分で決めてきたつもり。
ありとあらゆる選択を良い方向に向かっていけるように。
それなのに、たった1人の人を選べない。
決まっているの、っていうか決められているの。
もし、自分で決められるのならきっと彼を選んだりしない。
色んな苦しいものや哀しいものがある彼とは一緒にいられないから。
だけど、私に選択の余地なんてないことを思い知る何かが分かってしまう。
運命、なんて。そんなロマンチックじゃない気がするんだけど。
そのたった1人に出会ったことを蓋することも出来る。一度目はね。
二度目はそうすることが無意味なことだと気づくの。
そんなことをしたって、心の中で息づいた想いには敵わない。
村上春樹さんの本には、たった1人についてこう書いてある。
『僕は君の手を感じることが出来る。
でもそれとは別に、見ることも感じることも出来ないものが存在するんだ。
・・・それはこの僕の中に住んでいる。
それは僕が自分の力で選んだり、回答をだしたりすることの
できないものなんだ。』