沖縄

ここでは、星が少ししか見えない。
田舎に住む祖母のほうでは、今にも掴めそうに星は降っているのに。
そういえば、沖縄では星が大きく光っていた。
息子が嬉しそうに云っていたのを、私は思い出した。

息子が三歳の頃だっただろうか。
母の家から帰る時、息子は空を見上げて云った。
『ママ、星が少ししか見えない』
私も見上げると、確かに昔から比べると少ないかも、と思った。
『本当は、もっとあるんだよ。』
なんで見えないの?という息子の返事に、私はどう説明しようか迷った。
空気が汚れて星を見えなくさせるんだよ、と息子に云うと
『じゃぁ仕方無いね』
諦めた調子に、私は本当に仕方無いんだろうか?と思ったのだ。
息子に伝わるか分からないけれど、私は息子に話した。
『あなたの好きなウルトラマンや仮面ライダーは、敵と戦ったとき
 負けそうだからって、逃げたりする?』
『そんなこと、絶対しないよ!!』
『それじゃぁ相手が強いからって、戦うのを諦める??』
息子は、小さな頭を振って否定した。
『あなたが諦めたら、星はどんどん見えなくなっちゃうよ。
 正義のヒーローだけが地球を守るだけじゃなくて、
 ママはあなたにも守ってほしい。だから諦めないで。』
息子は、うん分かった、と云ってくれた。

あれから、何年も経ってしまったけれど。
息子は忘れていないだろうか。
星空を見上げるたび、私には幼い息子の声が聞こえる。
それから何度も、あの時の会話が繰り返されるのだ。