ファンドラップ(ラップ口座)という情弱向け資産運用サービスの仕組み | らいふぷらん日記

ファンドラップ(ラップ口座)という情弱向け資産運用サービスの仕組み

東洋経済オンラインで「今はやりの「ラップ口座」はココが全然ダメ 日本人は投資商品へのコスト意識が低すぎる」という記事がありました。
http://toyokeizai.net/articles/-/77558
独立系投信の渋澤健氏(コモンズ投信)、中野晴啓氏(セゾン投信)、藤野英人氏(ひふみ投信)の草食投資隊3名の座談会です。ラップ口座が「お高い」として、コスト以上の効果が出ないのではという指摘がされています。

ファンドラップとは、一人ひとりのお客の投資方針に基づいて、お客さまの資産を投資信託(ファンド)を通じて、投資一任運用と言って、要は、お任せ丸投げで金融機関が予め定めた方針に基づいて運用してくれるというものです。証券会社が「ファンドラップ(ラップ口座)」の販売に力を入れており、ラップ口座の残高が、2015年3月末までに過去1年前の残高から3倍弱にまで膨らみ、4月末には4兆円を超えたとも伝えられています。
(参考)証券会社が勧めるラップ口座 残高急増で4兆円を突破、専門家は「最も買ってはいけない金融商品」と指摘
http://moneyneta.blogspot.jp/2015/05/blog-post_25.html

このファンドラップ普及の背景ですが、まず金融機関の投信販売ビジネスのビジネスモデルを知る必要があります。投資信託というのは、分散投資により長期的な資産形成をサポートするはずの金融商品です。金融機関である証券会社や銀行は、投資信託の販売時に手数料を平均3%も取ります。さらに、残高に対して平均2%程を取ります。
既にこの時点で暴利と言われても仕方ないのですが、さらに、販売時の手数料が強烈なため、販売時の手数料を何度も取りたいので、金融機関は回転売買させたいのです。
もちろん、売買の都度、顧客のお金は減っていきます。
そのため、日本では長期運用のための投資信託は平均保有期間が欧米と比べて顕著に短期になっています。
短期売買志向の人が短期売買するのはいいのですが、そうではない人にも頻繁な売買を「けしかける(熱心に営業する)」からです。

このような状況に金融庁が怒りました。資産残高(ストック)を重視して、顧客の長期的な資産形成に役立て、日本の資産運用を高度化しようと。
そこで出てきたのがファンドラップです。ところが、顧客財産を蝕むとんでもないシロモノでした。金融機関は巧妙に分かりずらいようにしていますが、運用管理費用やファンドラップの中の投資信託で、年間3%程度のコストを負担させるサービスです。年間3%というのは、3000万円を預けたら90万円を毎年支払うというものです。
自分で運用すれば90万円は自分の儲けですが、運用で利益を出すのは不確実な一方で、確実に金融機関に払わなくてはいけません。
また、ラップ口座は資産運用が初めてで運用に保守的な人が多いので、過半が日本債券のポートフォリオの人が大多数という観測もあります。現在の日本の国債利回りが0.5%とかですので、コスト3%も掛けていたら、資産は「確実に」減っていきますね。
要は、期待リターン年率1~2%で良いような人にコスト3%程の商品を「熱心にお勧め」しているということですね。(金融機関はお客のためを思い資産を殖やすことではなく、自分たちが儲けるために熱心になります)
また、ファンドラップで3%を払う以上、3%以上の期待リターンの運用をしなければならず、これには運用リスクに見合いませんね。

とはいえ、投信販売ビジネスの暴利を補うため、情弱をカモるためのサービスなのですから仕方ありません。
それに、一般顧客に、運用コストの重要性を理解している人はいません。分かっている人は対面の銀行や証券会社には行きません。まして、運用の巧拙を評価できる人なんて皆無でしょう。そもそも金融リテラシーがそこそこある人をターゲットにしていないってことでしょう。主要顧客のシニア層は、資産運用に関してちんぷんかんぷんな訳ですし。「取れるとこから取って何が悪いんだ」だというのが証券会社や銀行の言い分でしょう。

販売してる人は、こういうことやってて恥ずかしくないのかな?
私の知る限り、証券会社や銀行で販売してる人の金融リテラシーも大したことがない人が多いので、まあ、分かってないのか、仕事だからと割り切ってるか、実は良いものだと自分で自分をだましてるのか、ってとこかねー。