月の見えない窓を見ていた。
珍しくしおらしいですね。
と、誰かが言った。
珍しいの。
と、わたしは応えた。
もっと喚きちらすと思っていました。
と、返ってきた。
そう。
と、わたしは応えた。
喚くもなにも、
今のわたしはからっぽだ。
なにもないから、
喚きようがなかった。
喚いてくれた方が、まだ、楽でした。
と、誰かがつぶやいた。
ごめんなさい。
と、わたしは応えた。
あぁ、わたしは今
この誰かを苦しめているのだな
と、思った。
月は、見えない。
女を壊してしまった男と、
からっぽになった女のおはなし。