「うお! なんでそんなとこにはまってンだ!」
川蝉(かわせみ)が超ミニの一人がけソファに横向きに座って、本なんか読んでいた。

狭くないのか、っていうか、ほとんど箱じゃね?
「うっさいなぁ、帆立(ほたて)。これが一番おさまりがいいからいいんだよ」
川蝉がジロッと俺を睨みつける。

この人、本当、女のくせに口が悪い。
「柴(しば)ぁ! 帆立がうっさいんだけど、どうにかしてくンね?」
川蝉が背もたれの向こうに向かって叫ぶ。

と言うか、
「柴ぁ!? いたのかよ! 全然気配なかったんだけど!」
一応部屋の主なんだから存在感を持てよ。

俺と川蝉の言葉に、ぬぼうっと背もたれの向こうからボサボサ頭が見えた。
「柴。そこで何やってたんだ」
「ああ、帆立か。いたのか。さっきまでパソコンの修理していて没頭していた」
黒縁眼鏡をどかして目頭をもんでいる。

相変わらず一つのことに没頭すると周りの音が聞こえてこないんだな。

ついでに気配も消えるんだな。
「柴ぁ。帆立が私の読書の邪魔すンだけど。こいついい加減追い出さね?」
「川蝉ぃ! 何言い出すんだよ!」
「うっせぇよ、帆立! 黙れ!」
「それ以上騒ぐと、お前らも解体・修理するぞ」
柴の言葉に俺と川蝉は固まる。

やっぱり製造者には逆らえない。