大阪万博のヤバさは色々な面で表面化しているが、予定通り開催した場合の問題として考えられるのが、観客輸送だ。1970年に千里で行われた大阪万博は来場者6422万人を数えたが、地下鉄御堂筋線~北大阪急行線が新大阪・梅田・難波・天王寺を結び、阪急千里線も梅田や三宮・宝塚からの直通電車を設定、国鉄茨木駅等からもバスが数多く設定された。道路交通も名神高速や阪神高速も開通、万博周辺の一般道も整備される等万全の体制だったが、ピーク時の混雑は凄まじいものだった。

 

 1990年に鶴見緑地で開催された花の万博では、京橋駅から新設された地下鉄鶴見緑地線がメインルートとなり、各ターミナルからの直通バスも多く設定された。2300万人の来場者を数え、1日最大30万人、少ない日で10万人程度だったが、上手く分散されていた様に見えた。

 

 万博ではないが1981年開催の神戸博(ポートピア81)は神戸港の埋め立て地であるポートアイランドで開催され、ターミナルとなる三宮駅とは新交通システムポートライナーで結ばれ、三宮や新神戸と結ぶ直通バスも数多く設定された。ポートライナーは定員を上回ると発車できないトラブルが多発したものの、トータルではスムーズな輸送が出来た。来場者数は1600万人という地方博としては破格のレベルとなった。

 

 2025年の万博ではメインルートは、地下鉄中央線となるが、梅田・難波・天王寺といったターミナルと直結できないのと、6両編成という輸送力の小ささがネックと言える。運転間隔は最小でも2分30秒が限界とすると、一時間当たり最大24本運転となる。バスは新大阪や大阪駅、JR桜島駅からの直通バスを設定するが、JR桜島駅を擁するJR夢咲線は日に10万人が来場するUSJの輸送も兼ねており、大阪環状線に乗り入れる本数がどれだけ増やせるかポイントとなる。海上輸送ルートも設定されるが、無視できるレベル。神戸方面や近鉄奈良方面からだと、阪神なんば線九条駅乗り換えで地下鉄中央線のルートもあるが、結局中央線頼みなのと、神戸三宮からの直通列車である快速急行が休日20分間隔しかないので、こちらの増強も必要。

 

 以上の比較から考えて、今度の万博入場者数が神戸博レベルであれば、鉄道ルート1本でもなんとかなるかとは思う。しかしながら今回の目標は2800万人や花博より多い。最後は地下鉄中央線に乗り換える事になるので、かなり厳しい。バスに期待したいが、道路は二本しかなく、通常はトレーラーが頻繁に走るルートであり、直通バスが加わると渋滞が起こる。物流と観客輸送が一緒になるのも問題。やはり、中央線が6両なのが非常に痛いし、ターミナルに直通しないのも痛い。仮に1日30万人が来場しようとしたら、ちょっとした事故が心配になる。個人的には今回の万博は維新の会の政治的な思惑、その後に繋がるIR事業のヤバさ、開催場所、内容のショボさ(何をしたいのかが明白でなく、とにかく万博を開催すれば何とかなるという発想)から、大反対している。しかし、このまま開催すると思うので、アクセス面からの問題点を挙げてみた。他にも、休憩場所が少ない、トイレが足りない、水道や電気の整備状況、熱中症対策、メタンガス、等問題点だらけであり、よくもまあここまで酷い状況になったものだと思う。怖いもの見たさで行ってみるのも良いかも。