考えてみると…
この巣箱は、人とアシナガバチの共生を実現しました!

写真は、山形市のAKI GARDENさん。
巣箱下のブロック穴にいたフタモンアシナガバチを巣箱に移設して、そのまま同じ場所に置きました。
現在は家族も生まれ、この庭園や隣接する畑のイモムシ駆除をせっせとしてくれています。
ちなみに、バラの栽培をしている方に聞きましたが、チュウレンジハバチのアオムシがバラの葉や茎を食い荒らし深刻な被害をもたらすのをアシナガバチが防いでくれているそうです。
【アシナガバチは巣箱に入ると人を襲わない】
さて、そこで不安に思われるのは人が襲われるのではないかということ。
しかし、元々アシナガバチは50cm以内(正味30cm)まで近づかなければ襲ってくることはありません。元々アシナガバチは目が悪いようで、最も攻撃的と言われるキアシナガバチでも50cmまで近づくとやっと気づいて騒ぎはじめます。
そして、この巣箱に入れればどんなに近づいても刺さなくなるので安全なんです。
人を襲う三種の蜂のスズメバチやミツバチは、巣や巣箱の外にまで出て来て警戒し、近づく人を襲います。たとえば通気口を出入り口にして屋根裏に営巣しているスズメバチは通気口まで出て来て警戒します。しかし、アシナガバチはそれはしません。いつも巣にいて警戒しているのです。ですから巣箱の中に侵入してきた生き物は襲いますが、格子巣門により遮断されて見えない外の世界は警戒範囲ではなくなるのです。
ですから、エアコン室外機の奥に営巣しているアシナガバチも同じ状態なので安全なのです。秋まで放っておいて大丈夫です。翌年春にまた営巣されないように4〜5月はカバーをかけるといいですね。
※吹き出し口のネットに営巣した群れはこちらを見ているので近づけば刺します。
実験動画はこちらです↓
ですから、巣箱にぶつからない限り、外の人を襲うことはないのです。
【天敵ヒメスズメバチと寄生蛾から守る巣箱】
アシナガバチにとってもメリットは大きいです。
アシナガバチの最大の天敵はヒメスズメバチと寄生蛾です。
ヒメスズメバチはアシナガバチを専門に襲います。
幼虫の体液を吸い自分の子供たちの餌にします。アシナガバチはただ見ているだけでどうすることもできません。ただ、オオスズメバチのようにミツバチの成虫を噛み殺しまくるようなことはしません。働き蜂も新母蜂たちも命を落とすことはありません。ですから、アシナガバチはヒメスズメバチに襲われる前に1匹でも多くの新母蜂を羽化させることがなによりの目標となっているようです。
巣箱にはヒメスズメバチが入りづらい格子巣門を装着しています。9㎜、7㎜、6㎜の隙間があるので、もし侵入されたらまず9㎜をふさぎます。それでも侵入されたら7㎜をふさぎます。それでも侵入されたら敵もアッパレです。特に都市部のヒメスズメバチは、体格が餌不足で小さな体格の個体がいて9㎜から侵入された報告が多数ありました。農村部ではまだ9㎜から侵入された報告はありません。
ただ、ヒメスズメバチもアシナガバチが減って受難な時代と言えるので、アシナガバチが増える時代になることを祈っています。
寄生する蛾には、マダラトガリホソガ、ウスムラサキシマメイガ、ギンモンシマメイガなどがいます。蛾ではありませんがアシナガバチヤドリヒメバチにも寄生されます。
成虫の蛾はアシナガバチの巣に近づき、隙を見て巣に侵入し産卵します。すると、孵化した幼虫はアシナガバチの幼虫や巣を食べ始めるのです。ある程度大きくなった巣に寄生された場合は、壊滅することはなく、やられながらもある程度の新母蜂を羽化させることができます。しかし、母蜂1匹がワンオペ子育て中に寄生されれば、いくら母蜂が産卵して餌を運んでもどんどん幼虫は死んでしまい家族を作れなくなってしまいます。いくつもそんな母蜂を見てきましたがとてもかわいそうに感じます。
巣箱は前面、後面ともに網戸ネットを貼ってありますので、侵入口は格子巣門のみとなります。ここに気づけば侵入されますが、気づいて入られる確率はそうとう低くなります。ワンオペ母蜂は早々に巣箱に入れてあげたほうが被害を防げます。
※ただし、巣が小さいうちは巣離れすることがあるので営巣から2〜3週間後からの引っ越しが望ましいです。
【雨風から守る巣箱】
天敵以上に怖いのが雨風です。軒先など直接雨に当たらない場所は大丈夫ですが、雨風に当たる場所の営巣もたくさんあります。大雨や台風で巣が剥がされて落ちてしまうのです。大雨は落ちた巣を溶かしてしまいます。巣箱なら三角屋根が雨で濡れるのを防ぎ、風の強い時は巣門入り口に付属の板をはめれば雨戸になります。心配なら台風前に後面もふさげば完璧です。
蜂たちもヒメスズメバチや寄生蛾にやられないセキュリティばっちりの大きな一戸建てをもらえて幸せでしょう。
この巣箱は、胸を張って、人にもアシナガバチにもやさしい共生を実現した巣箱と言えます☺️
いずれは「アシナガバチ安全巣箱」と呼びたいと思っています。
作り方はこちら↓


