「どうしても押してみたい」
もしかしたら子供のいたずらで、押しても何も無いかもしれない。
だが、私は押してみたかった。
そんな私の心情を察してか、妻はさらに釘をさしてきた。
「いい?これ押してなにかあったらただじゃおかないからね」
そういうと妻は自分の携帯をポケットから取り出し、電話を掛け始めた。
「どこに電話してるの?」
「不動産。これなんなのか聞いてみる」
確かにそうだ。
この部屋を管理している者であれば、スイッチを押さずとも容易に結果が分かる。
私はどこかがっかりしたような気持ちを感じ、妻の電話が終わるのを待った。
幾度かの会話を終え、妻は携帯を再びポケットへとしまった。
「なんだって?」
「わかんないんだって、とりあえず明日見に来ることになったから」
管理している者が分からない?
やはり子供のいたずらか?それとも・・・・・
一度冷静さを取り戻したかのように思えた私は、
再びスイッチへの期待感を膨らませていた。
だがこのスイッチを押してしまえば、妻の激しい怒りが私を襲う。
妻の言う通り、このスイッチを押すことによってなんらかの損害が出た場合、
私のおこづかいは泡となって消えてしまうだろう。
たとえ業者が責任を取ったとしてもその結果は変わらないはず。
ではどうすればいい?
・・・・・・・
そうだ・・・・
妻に押させればいいんだ・・・・
続く