海たちのものがたり 海がない | あしかとあざらしってどう違うの?

あしかとあざらしってどう違うの?

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物心ついたときには波の音が子守唄で
毎朝誰よりも先に海におはようと声を掛ける。
今日もカーテンを開けたらカモメたちと海が太陽に照らされて…光って…光って…ない?
カモメが隅っこでプルプル震えている
違う。カモメよりもっと何かが…

海がない

…何を寝ぼけているのか。昨日遅くまで起きていたせいだろう。まだ夢の中だ
まさかあんなに広大な海が水たまりのように干上がるはずはない。
波の音が聴こえないのはきっと耳掃除をサボり気味だったからで

顔を洗い、歯を磨き、耳掃除をして、念入りに冷水で顔を洗い…

もう一度、いつもなら海が見渡せる窓を開けた 


カモメが砂浜を歩いている
そのままでは海に入ってしまう…海に…
海、やっぱ無い

いくら潮が引いたとしても、水平線が地平線になっているのは納得がいかない


海どこ?


「びっくりしてる顔発見!」
振り返るとなんだかひょうきんなちっさいオジさんが変なポーズで一時停止している
あまり面白くない
「きみ、海好きでしょー?知ってるよー」
今度はクネクネしている
「私は多分妖精なんだよね、水の妖精。この前、海たちと会ったときにさ、うっかり『シミ増えたねー』とか言っちゃって!海たちショック受けたみたいでそれぞれ変身して身を隠してしまったみたいなのよ~
海なくなっちゃったでしょ?海ないとだいぶヤバくない?ってことできみ、海たちを探して地球に海を取り戻すのじゃ」

最後だけ威厳付けようとしたが、話がちんぷんかんぷんだ。
やっぱり疲れているのだろう。もうちょっと寝よう
「ちょっと待ってよーこのままだと地球ヤバイよ⁈漁師とかマリンスポーツ選手とか以外で海大好きで暇そうなのってきみだけなんだよーきみしか海を呼び戻せないんだってぇ~」

なんだそれ…

「とりあえず、エーゲ海の居場所だけ分かってるからまずはそこから行ってみよう!」
ちっさいオジさんが腕を掴んで引っ張る
すごく弱い力で

でもまあ、海がないのは辛いし、しょうがないから振り回されてみよう