11月29日に、竹富町役場の移転場所の住民投票が行われる。
住民は石垣島か西表島の大原かどちらかを選択することになる。
結果に法的拘束力は無いがこれからの決定に「尊重」されるようだ。
西表に移転することによりメリットとして以下の点があげられているが少々反論を唱えてみたい。
①人口増加のメリット
石垣には病院や金融機関、大手スーパーなどがあり、ついでに役場に行くことが出来た。
石垣島に支所が出来、出張所が出来るので大丈夫だ、と言われるが実際に支所で
出来ることは限られている。役場の方に念の為に確認したがこっちは石垣でやってこれは西表に行ってくださいという事態が起こることを否定は出来ないようだ。
さらに鳩間島、波照間島などは西表島に行くには日帰りは難しく、一泊を覚悟しなくてはならない場合も増えるであろう。
石垣との強固な海上ネットワークに加え、利便性から離島住民が離島に住み続けることが出来ている。これが生活と密着している役場が不便になることによって町外へ人口が流出しないと誰が言いきれるのであろうか。
②税収増加のメリット
何からの税収か明らかにされていないが、役場移転の目的が
石垣在住の役場職員の税が石垣市に納められている問題が挙げられている。
職員の市民税の支払いは全員で年間1千万ほどだ。
西表に役場が移れば、職員が竹富町に税金を納めて税収増加を狙うという。
しかし、庁舎が西表に移ったとしても、職員は「市民」のまま、石垣島からの海上通勤も可能である。
ちなみにもし全員が海上通勤を選択したら年間3千5百万かかる。
何人が西表に移住するのか全く決まっていないと言う。本当に税収は増加するのであろうか。
さらに、今までは職員が石垣に住む住宅手当のみで済んでいたのが海上通勤の手当ても支払い、2重に負担をしなくてはならなくなる。もちろんその負担は我々の税金からだ。
③西表の新庁舎は賃料が0円というメリット
現在の石垣にある庁舎には年間で407万円賃貸料を支払っている。それが0円になるので
あれば最高だというお話だ。
しかし、西表に本庁が移ったら必ず石垣に支所を建てなくてはならなくなる。
その支所の運営経費(賃貸料ではない)はなんと概算で680万円だ。
そして各離島の出張所は役場が石垣に建とうが西表に建とうが建設される予定だ。
石垣に役場を置いたままなら出張所の運営費が約520万かかるが
西表に役場が移転したら各離島の出張所の運営費が444万で済む。
(西表島東部の現存する出張所は必要でなくなる為)
しかし、新設される石垣の支所の運営経費で680万かかるのである。
石垣に本庁を置いたままならもちろんこの680万円はかからない。
まとめると西表に移転すると石垣の支所の運営費680万+各出張所に444万
合計 石垣1124万円
石垣のままなら出張所代528万+賃貸料407万 935万で済む。
さらに言えばこの経費には人件費は含んでいない。西表本庁、石垣支所、各離島の出張所・・・
建物が増えれば当たり前だが職員を増やさなくてはならない。職員がこのままであるなら
職員一人あたりの負担が増えサービス低下は免れない。
賃貸料0円のうたい文句は、中身をみるとなんとびっくりの赤字経営なのである。
4 災害対策のメリット
現庁舎の位置は津波浸水予測の範囲内であり、西表に移転した方が
安全かつ、国の緊急防災・減災事業債というのが適応され建設費のほとんどが
国が負担してくれる。
しかし石垣の本庁舎を高台に移転すればもちろんこの問題も解決だ。
そして、西表に防災拠点を置くことは台風等で船が欠航してしまったときに他の離島にとっては
意味がなくなるうえに、もし職員が石垣在住が多かったなら夜間に誰もいなくなる庁舎を防災拠点にして良いのであろうか。各島々の公民館に防災備品をおき、防災拠点にした方が
確実に効果は生むのではないか。
5
役場職員の地域活動が増えるというメリット
既に今役場職員は郷友会の元、それぞれの地域活動を行っている。
そもそも職員の地域活動が少ないのではないか、という抗議も存在はしていないであろう。
6雇用の場が増えるというメリット、
町内への企業の進出など、経済効果が期待出来るという。
西表で本庁舎を置き、金融機関や病院の機関をおけるようにしたいという狙いがあるのであろう。
今日本経済全体で考えるとデフレ経済で民間が大型投資を躊躇し内部留保を増やす結果、経済がまわっていないという現状がある。しかし公的資金を注入できる役場建設は建設費、設備購入などなど企業にとっては確実にお金が手に入るまたとない絶好の機会なのだ。
お金が回るということは税金が必ず発生する。
こういう意味では②番で否定した「税収が増える」のは正しい。
しかし、それは西表に移転することにより竹富町民の自らの生活を不便にし、不便さから離島の人口減少を生み、各離島と西表との確執から町民の一体感を損ない、上乗せされる莫大な経費と
天秤にかけたときにどちらが大切なのであろうか。
町民にその覚悟を強いるのあまりにも酷だと思う。
さらに本庁者を建設する際の西表島の世界を代表する稀有な自然に対しての心配もある。
西表に移転はメリットが実はあまり見出せないプロジェクトなのではないか。
少なくても僕はそう思ってしまった。