D. A. Goldston, J. Pintz and C. Y. Yıldırım, Primes in tuples I, Ann. of Math. (2), 170 (2009), 819–862.
D. A. Goldston, J. Pintz and C. Y. Yıldırım, Primes in tuples II, Acta. Math., 204 (2010), 1–47.
D. A. Goldston, J. Pintz and C. Y. Yıldırım, Primes in tuples III: On the difference pn+ν − pn, Funct. Approx. Comment. Math., 35 (2006), 79–89.
D. A. Goldston, J. Pintz and C. Y. Yıldırım, Primes in tuples IV: Density of small gaps between consecutive primes, Acta Arith., 160 (2013), 37–53.
自然数nに対し、n番目の素数をp(n)と表したとき、素数定理よりp(n)はおおよそnlog(n)程度になる。このことから、隣接する2つの素数の差p(n+1)-p(n)は、nに関して平均すると(つまり期待値は) log(p(n)) 程度になる。これらの論文では、今では有名になったGPYの篩(GPY sieve)とよばれる篩を用いて、p(n+1)-p(n)が期待値log(p(n))に比べていくらでも小さくなりえること、式で表せば
liminf _{n→∞}(p(n+1)-p(n))/log (p(n))=0
を証明している。他にも色々大きな定理を証明していて、素数の分布に関する研究における非常に重要な論文。Iだけでも読む価値あり。

Y. Zhang (張益唐), Bounded gaps between primes, Ann. of Math. (2), 179 (2014), 1121–1174.
GPYの結果は、「素数の分布レベルが少なくとも1/2である」という、ボンビエリ-ヴィノグラドフの定理(Bombieri-Vinogradov Theorem)が最重要なツールになっている。張氏の論文では、この定理を隣接する素数の研究に使い易い形に改良し、差が700万以下の素数が無限に存在すること、すなわち
liminf_{n→∞}(p(n+1)-p(n))≦7000000
を証明した。張氏はあまり論文を発表しておらず、この論文が出るまでニューハンプシャー大学の講師だったが、この研究で一躍時の人となり一気に教授に昇進した。

J. Maynard, Small gaps between primes, Ann. of Math. (2), 181 (2015), 383–413.
張氏の論文が出てから多分1年も経たずに出た論文。メイナード氏は多次元セルバーグ篩(multi dimensional Selberg sieve)という新しい方法を発明し、張の不等式を劇的に改善し
liminf_{n→∞}(p(n+1)-p(n))≦600
を得た。色んな数学者が数値改善に競合する中で頭一つ飛び抜けた結果であり、またそこで用いられた方法も斬新で、メイナードは(それまでにもいい仕事をいくつもしていたが)この業績で一気に世界的数学者となった。また、テレンス・タオ(Terence Tao)氏も同時期に多次元セルバーグ篩の着想を得ていたそうだ。
彼らはその後共同研究で
D. H. J. Polymath, Variants of the Selberg sieve, and bounded intervals containing many primes, Res. Math. Sci., 1 (2014), art. 12, 83 pp.
という論文を出しており、現在の世界新記録である
liminf_{n→∞}(p(n+1)-p(n))≦246
を証明している。

これらの研究の解説論文は沢山でていて、読んだものを少し紹介すると以下のような記事がある。
Kevin Broughan, Bounded Gaps Between Primes (paperback)
Ben Green, Bounded gaps between primes
J. Maynard, GAPS BETWEEN PRIMES (ICM2018)
K. Soundararajan, SMALL GAPS BETWEEN PRIME NUMBERS: THE WORK OF GOLDSTON-PINTZ-YILDIRIM
K. Sono(宗野惠樹), Recent progress on twin prime conjecture
本橋洋一, メイナード◎本橋洋一[フィールズ賞業績紹介](数学セミナー2023年1月号)
T. Tao(陶哲軒) (2014). Polymath8 | What’s New [Web log post].
D.H.J.polymath, The "bounded gaps between primes" Polymath project - a retrospective
などなど。

関連記事:篩について