泣いて馬良も斬る

泣いて馬良も斬る

このブログでは主に私が読んだ数学論文や本、数学者の名言などを紹介していきます。

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Q. 数学をするのに天才である必要はありますか?

 

 

答えは間違いなく「NO」です!
数学に有益な貢献をするためには、一生懸命努力し、
自分の分野をよく学び、他の分野や技術を学び、質問し、
他の数学者と話し、問題の「全体像」について考える必要があります。

確かに適度な知性、忍耐力、成熟度は必要です。
しかし、無から深い洞察、問題に対する予想外の解決策、
またはその他の超自然的な能力に起因する
ある種の魔法の「天才遺伝子」は必要ありません。

 

 

─テレンス・タオ(調和解析、偏微分方程式、整数論など数学のあらゆる分野で活躍)

 

 

Tao twitter 宗野惠樹

関連記事

双子素数予想について

 

 

昔数学の試験問題を作る仕事をしていたんだけど、数か月前に自分の作った問題を解くことになったときに

どうしても解けない問題があってあたふたしてるうちに時間切れになったときは流石に引退を考えた。

 

数学 宗野惠樹 twitter

 

 

 

 

 

 

 

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J.W.Milnor (1956), "On manifolds homeomorphic to the 7-sphere", Ann of Math 64 (2): 399–405

 

1950年代、ビングとモイーズによって独立に全ての3次元多様体が三角形分割可能であることが証明された。多様体が三角形分割できるということは、微分可能な多様体に同相変換可能ということ、つまり3次元トポロジーの研究に微分幾何学を応用できるということを示している。この発見を皮切りに3次元の位相幾何学と微分幾何学の関係の研究が急速に発展することになった。

同じ頃(1956年)、ジョン・ウィラード・ミルナーはこの論文で7次元球面には本質的に異なる28種の微分構造が存在することを示し、数学界を震撼させた。高次元においては、我々が通常イメージする微分とは異なるものが自然に存在するのである。この研究は微分位相幾何学といわれているものの始まりとされている。

 

 

 

Milnor sphere twitter 宗野惠樹

数論の法則は目に見えて現れるものだが、その証明は、宇宙の闇に深く横たわっている。

Die Gesetze der Zahlentheorie sind für das Auge sichtbar, aber der Beweis liegt tief in der Dunkelheit des Universums.

 

カール・フリードリヒ・ガウス(ドイツの数学者: 整数論, 幾何学, 電磁気学, 天文学などで多大な業績)

 

 

ガウス twitter 宗野惠樹

(Q. フェルマーの最終定理が解決した今、何か貴方の心に残っていることはありますか?)

 

私が確かに学んだことの 1 つは、
自分の関心に基づいて取り組む問題を選択することが重要ということです。
どんなに難問も、やってみない限りは絶対に解けません。
自分にとって最重要な問題に常に挑戦してください。
私は、子供の頃の夢を大人になっても追求できるという
滅多にない特権に恵まれました。
大人になってから自分にとって大切なことに取り組めたとしたら
それは何にも代えがたいことだと思うのです。

 

─アンドリュー・ワイルズ(Andrew Wiles, 1995年にフェルマーの最終定理を解決)

 

ワイルズ フェルマー twitter 宗野惠樹

D. A. Goldston, J. Pintz and C. Y. Yıldırım, Primes in tuples I, Ann. of Math. (2), 170 (2009), 819–862. 

D. A. Goldston, J. Pintz and C. Y. Yıldırım, Primes in tuples II, Acta. Math., 204 (2010), 1–47. 

D. A. Goldston, J. Pintz and C. Y. Yıldırım, Primes in tuples III: On the difference pn+ν − pn, Funct. Approx. Comment. Math., 35 (2006), 79–89. 

D. A. Goldston, J. Pintz and C. Y. Yıldırım, Primes in tuples IV: Density of small gaps between consecutive primes, Acta Arith., 160 (2013), 37–53. 

自然数nに対し、n番目の素数をp(n)と表したとき、素数定理よりp(n)はおおよそnlog(n)程度になる。このことから、隣接する2つの素数の差p(n+1)-p(n)は、nに関して平均すると(つまり期待値は) log(p(n)) 程度になる。これらの論文では、今では有名になったGPYの篩(GPY sieve)とよばれる篩を用いて、p(n+1)-p(n)が期待値log(p(n))に比べていくらでも小さくなりえること、式で表せば

liminf _{n→∞}(p(n+1)-p(n))/log (p(n))=0

を証明している。他にも色々大きな定理を証明していて、素数の分布に関する研究における非常に重要な論文。Iだけでも読む価値あり。

宗野惠樹 twitter

 

Y. Zhang (張益唐), Bounded gaps between primes, Ann. of Math. (2), 179 (2014), 1121–1174.

GPYの結果は、「素数の分布レベルが少なくとも1/2である」という、ボンビエリ-ヴィノグラドフの定理(Bombieri-Vinogradov Theorem)が最重要なツールになっている。張氏の論文では、この定理を隣接する素数の研究に使い易い形に改良し、差が700万以下の素数が無限に存在すること、すなわち

liminf_{n→∞}(p(n+1)-p(n))≦7000000

を証明した。張氏はあまり論文を発表しておらず、この論文が出るまでニューハンプシャー大学の講師だったが、この研究で一躍時の人となり一気に教授に昇進した。

張益唐

 

 

 

J. Maynard, Small gaps between primes, Ann. of Math. (2), 181 (2015), 383–413.

張氏の論文が出てから多分1年も経たずに出た論文。メイナード氏は多次元セルバーグ篩(multi dimensional Selberg sieve)という新しい方法を発明し、張の不等式を劇的に改善し

liminf_{n→∞}(p(n+1)-p(n))≦600

を得た。色んな数学者が数値改善に競合する中で頭一つ飛び抜けた結果であり、またそこで用いられた方法も斬新で、メイナードは(それまでにもいい仕事をいくつもしていたが)この業績で一気に世界的数学者となった。また、テレンス・タオ(Terence Tao)氏も同時期に多次元セルバーグ篩の着想を得ていたそうだ。

 

彼らはその後共同研究で

D. H. J. Polymath, Variants of the Selberg sieve, and bounded intervals containing many primes, Res. Math. Sci., 1 (2014), art. 12, 83 pp.

という論文を出しており、現在の世界新記録である

liminf_{n→∞}(p(n+1)-p(n))≦246

を証明している。

 

 

 

張 タオ メイナード 本橋洋一 宗野惠樹

 

 

これらの研究の解説論文は沢山でていて、読んだものを少し紹介すると以下のような記事がある。

Kevin Broughan, Bounded Gaps Between Primes (paperback)

Ben Green, Bounded gaps between primes

J. Maynard, GAPS BETWEEN PRIMES (ICM2018)

K. Soundararajan, SMALL GAPS BETWEEN PRIME NUMBERS: THE WORK OF GOLDSTON-PINTZ-YILDIRIM

K. Sono(宗野惠樹), Recent progress on twin prime conjecture

本橋洋一, メイナード本橋洋一[フィールズ賞業績紹介](数学セミナー2023年1月号)

T. Tao(陶哲軒) (2014). Polymath8 | What’s New [Web log post].

D.H.J.polymath, The "bounded gaps between primes" Polymath project - a retrospective

などなど。

 

メイナード 本橋洋一 宗野惠樹 twitter

 

関連記事:篩について

 

 

 

 

 

 

P.X. Gallagher, The large sieve, Mathematica 14-20 (1967)

 

この論文ではリニクの大きな篩のいくつかのバージョンに対する簡単な証明と、いくつかの応用を与えている。
大きな篩(Large sieve)とは、長さNの区間にある任意の整数Zの集合は、ZがNに比べて小さくない限りほとんどの小さな素数pに対してpに応じた剰余類のほとんどにうまく分配されなければならないということで、ギャラガーはリニクの最初の結果に関するボンビエリの証明をより簡単にしている。非常に読み応えのある論文。

 

 

宗野惠樹
 

Gang Tian (田剛) (1997) "Kähler–Einstein metrics with positive scalar curvature". Invent. Math.130 (1): 1–37

 

この論文では、ケーラー・アインシュタイン計量の存在が、その下にあるケーラー多様体の安定性を適当な意味で保証していることを証明している。特に、コンパクトなケーラー多様体が正の第一チャーン級を持ち、非自明な正則ベクトル場を持たない場合にケーラー・アインシュタイン計量を認めるという長年の予想が間違っていることを示した。また、ケーラー・アインシュタイン計量の存在に関する解析的な基準も確立している。難解だが非常に重要な論文。

 

 

 

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関連記事

 

 

ケーラー・アインシュタイン計量

 

Gang Tian (田剛) On Kaler-Einstein metrics  on certain Kaler manifolds with c1(M)>0    Invent Math  89 (2): 225–246.  (1987)

 

この論文では任意の自然数mに対し、次数m以上のm次元フェルマー双曲上のケーラー・アインシュタイン計量の存在を証明している。田剛氏の代表作。

 

 

 

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関連記事

ケーラー・アインシュタイン計量2

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

宗野惠樹

 

冬場はどうしても足元が冷えて論文を読む集中力が下がるなあ・・・。

早く春が来てほしい!

 

 

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