Lan Kwai Fong- 蘭桂坊(ランカイフォン)。
夜の香港を代表する場所。
まだ人だかりができる前の、
ギラギラした夜の匂いが充満する前の時間に。
前回、ここへやって来たのは実に10年以上も前のことで。
坂道をくねくねと歩きながら、バーを梯子することが
猛烈に楽しくて、やめられなくなってしまう人もいたっけ。
香港に住む、もしくは観光でやってくる外国人も
ここを異様に好きなワケはわかる気がする。
何か、わくわくするような面白いことに
もしかすると出会える?
狭い坂道に、アジアの熱気。
坂道にあるから、ランカイフォンなのであって
平たい場所にあったら、ランカイフォンとは呼べない。
さかのぼって14年前、香港に住んでいた20代前半の私は
「行こうよ」と誘われて行ってみたランカイフォンで
外国人や香港人の友人たちと飲んだりしたことはあったけど
こころから楽しかった記憶はない。
大勢で飲んで騒いで、楽しむスタイルは
どちらかというと、祭りの後は
いつも、むなしく感じてしまう方だった。
今、こうして歩いてみると、「わりと素敵なところなのにねえ」。
などと、当時の自分に対して、冷めた目で思う。
たぶんあの頃と違うことは、
今はちゃんと自分の好きなものが何なのか
好きな人たちが誰なのかをわかっているということ。
若いということが、どれほどの迷いや選択肢の中にあるか。
そんな思い出の蘭桂坊を、上り下りした
とある香港の夜でした。