午前3時半。

 

分娩監視装置を付けて

モニターすること約1時間。

 

その結果、

 

本物の陣痛であることが

確認されたのであった。

 

 

 

 

その後、Detox(いわゆる浣腸)をする。

 

これは先日のマタニティ教室で

 

ドクターからやった方がいいと勧められ、

実際やってよかったと思う。

 

 

 

出産時に便が同時に

出てしまうことがあり、

ベイビーが不潔になってしまうことを

 

防ぐことが目的であるが、

 

今思えば、出産の直後は

排便がしにくいことからも

 

身体を浄化する意味でも、

ぜひやっておいた方がいいと思う。

 

 


国際結婚日記 in タイランド                    ~喜怒愛楽 バンコク通信~

 

 

その後、部屋を移動する。

 

そこでまた分娩監視装置を付け、

子宮口が開くのを待つ。

 

陣痛の合間の痛みがないときに、

今の心境を書き留める。

 

 

 


今夜、私は出産する。初めての体験。どうなるか、わからない。

 

でも、やっとベイビーに会える。ずっとずっと私のお腹の中で、

 

生き続けてきたこの子に、やっと会える・・・!!

 

 

 

陣痛は5分刻みに変わっていて、

かなりきつい痛みも出てくるようになった。

 

 

夫の手を握って、

一緒に痛みを乗り越える。

 

 

そして次の痛みが来ると

 

 

また夫の手を、

ちぎれそうなほどに握り締めて、

二人でがんばった。

 

 

それでも合間にはまだ余裕があり、

東京の母親に国際電話する。

 

 

「今夜、産まれるみたい。

 

今、陣痛が来ていて、

子宮口が開くのを待ってるの。

 

 

まだ2センチしか開いてないから、

たぶんこのまま行けば、

24日の午後に

 

生まれると思うよ」と報告。

 

 

 

その時、東京は午前6時。

 

にもかかわらず、

虫の知らせか母はすぐ電話に出た。

 

 

 

 

子宮口が3センチになった。

 

一時間刻みで1センチ開いていっている。

 

 

このまま行けば、

全開になるまでが、おそらく正午頃。

 

 

 

陣痛開始から子宮口が

全開になるまでを第一分娩期といって、

 

 

これが初産の場合は

たいてい10-12時間かかると

いわれている。

 

 

 

もちろんもっと早く開く人もいるし、

半分くらい開いてから

 

 

病院に駆けつける人もいるが、

一般的にはこれが目安であるらしい。

 

 

そしてその後の

いわゆる分娩体勢に入ってからが

第二分娩期と言われ

 

 

これも初産の場合は

たいてい2-3時間かかると言われる。

 

 

 

 

自分の場合はどれくらいかかるのか?

 

 

残念ながら、それは誰にも分からない。

 

 


うっすらと夜が明けていく

窓の外を眺める。

 

 

もうすでに何時間も、

このベッドで

 

 

陣痛をこらえている。

 

午後まで体力が持つのか、分からない。

 

 

 

 

夫が何か食べた方がいい、と、

お粥を注文する。

 

 

ひと口食べてみるが、

 

 

またすぐに陣痛がきて、

それどころではない。

 

それにあまりお腹もすいていない。

 

 

トイレに起き上がる気力はあるものの、

その間にも何度も陣痛が来て

 

 

いちいち立ち止まり、

 

そしてベッドに戻る。

 

 

 

 

再びモニターを見ながら

陣痛の強度を確認する。

 

 

 

 

大きな陣痛の時は

紙に印字されるグラフが険しいカーブを描く。

 

 

 

 

今のは大きかったな、と思うと、

やっぱりこれまでにない

険しいカーブとなっていたり。

 

 

 

 

午前8時。

 

 

すでに陣痛は2分刻みになっていた。

 

 

 

 

 

 

ナースがしばしばやってきて、

痛みのレベルはどうかと聞いてくる。

 

 

1から10のものさしで、

今どの辺りだと思うか、というのだ。

 

 

非常にナンセンスな質問だと思い、

やや憤慨する。

 

 

だって、

まだ出産体験がないのに

 

 

今の痛みのレベルが5なのか10なのか、

分かるわけがない。

 

 

 

 

それでも仕方がないので、

「2か3くらいじゃないですかね?」と答える。

 

 

 

確かに陣痛はきつい。

 

けれどもうどうしても耐えられないか、

というと、そうではない。

 

 

 

私には生理痛がひどい時の

2-3倍程度に感じられた。

 

 

 

 

出産の痛みを生理痛の100倍だとか、

いやいや、1000倍だとかいう人がいて、

 

 

1000倍?

 

そこまで言われるとぜんぜん

想像つかないんだけど、

と思ってきた。

 

 

 

私にとっては

この陣痛は想像のつく

レベルの痛み。

 

 

 

でもナースの質問の真意は

無痛分娩の用意にある。

 

もうどうにも耐えられないなら

 

 

子宮口が4センチ開いたところで

無痛分娩に切り替えられるからだ。

 

 

 

私はどうしても自然分娩がいいとか、

無痛分娩がいいとか、

思っていたわけではない。

 

 

 

妊娠中にどうするか考えたが、

結論として自然から始めて、

どうしても辛いなら

 

無痛に切り替えようと思っていた。

 

 

そういう意味では

今すぐに無痛にする必要はなかった。

 

 

 

それでもバンコクの都心の病院では

帝王切開が主流で、

この病院でも7割を占める。

 

 

後の3割は無痛分娩で、

自然分娩は年に数えるほどしかいないという。

 

 

 

 

それは帝王切開に対する考え方が

日本とは違う

(日本は基本的に自然分娩を推奨)

 

ためだが、

 

そもそもタイ人の文化からすれば、

痛みに耐えることは

美徳でも何でもない

 

ということなのだと思う。

 

 

産みの苦しみに耐えるより、

手術で済ませる人が多いのだ。

 

 

 

 

午前8時半。

 

夫とこれまでの出来事を振り返る。

二人が出会った頃のこと。

 

 

 

 

婚約したこと、入籍したこと。

 

そしてバンコクに移住したあの日。

 

 

結婚式があり、妊娠生活が始まり、

ここまで来たこと。

 

 

二人で大泣きした。

 

 

私たちのベイビーがついに産まれる!!

それが今夜なんだね、と思ったら

 

 

涙が止まらなかった。

 

 

陣痛は痛いけど、

新しい命が産まれるための痛み。

 

 

決して辛いだけの痛みではない。

 

それなら私は耐えられる。

 

私は1人じゃない。

 

 

夫とベビと3人で、

これからだって、そうでしょう?

 

 

 

それからまもなく、

これまでにないくらいの

大きな陣痛が来る。

 

 

 

 

 

そしてその時、

私はベイビーがぐっと降りてくる感じがして、

再び涙が溢れる。

 

 

 

「今、ベイビーを感じた。もうすぐだよ。

もうすぐに産まれる感じがする!」と

 

 

痛みが遠のいた瞬間、

必死で夫に訴えた。

 

 

 

またナースがやってきて、

痛みのレベルはどうかと聞いてくる。

 

 

 

 

 

私は「5かな」と

 

涙目のまま答える。

 

 

ナースは、ほんとに5なのか?

そんなに泣いて

 

痛くてしょうがないのではないか、という。

 

私が泣いている理由は

痛いからではない。

 

 

 

 

ベビの命が産まれる喜び涙。

二人の男女が出会い、

愛し合って、その結果

 

 

産まれてくるベイビーを、

心から嬉しく思う喜びの涙なのに。

 

 

 

 

 

誰もが、あと数時間は

このまま子宮口が全開になるのを

待つことになると

 

 

 

固く信じていた。

 

 

ナースも前回3センチまで

開いたことを確認して以来

 

 

子宮口の開き具合を

チェックしていなかった。

 

 

 

 

 

そして午前9時半。

 

 

突然、身体がえびぞりになるほどの

激痛が全身を駆け巡り

 

 

ベイビーの頭が出てくる感触が!!

 

 

 

 

「ナ、ナースを呼んで!!!今すぐ!」

と夫に向かって叫ぶ。

 

夫がすばやくナースコール。

 

 

その時私はすでに

目も開けられない状態になっており、

息も出来ないほどの

 

切羽詰った状況になっていた。

 

 

ナースが飛んできて、

子宮口を調べる。

 

 

 

 

 

予想より数時間も早く、

すでに全開になっていたのだった。

 

 

出産は午後になると予想されていたので、

まだドクターが到着していない。

 

 

 

私は叫び続けた。

 

 

「もう、今すぐにでも、産まれそう!何でもいいから、早くして!」

 

 

 

 

続く・・・。

 

 

 

 

 

 


 

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