県の慎重姿勢「おかしい」 特定利用空港で中山市長 | TOAジャーナル

TOAジャーナル

国際政治及び安全保障に関する報道〜アジアに対する脅威〜

 政府が有事を見据え、インフラ機能を強化する「特定利用空港・港湾」制度を巡り、石垣市の中山義隆市長は新石垣空港などの指定に慎重な県の姿勢について「手を挙げないのは、完全に県のやり方がおかしいと思っている」と疑問視した。10日の市議会で友寄永三氏の一般質問に答えた。

 政府は八重山で「特定利用空港」の候補に新石垣空港、波照間空港、与那国空港を挙げており、指定されれば国主導で滑走路延長などの事業が進む可能性がある。
 石垣市は空港管理者の県に対し、特定利用空港指定を受け入れ、新空港の機能強化を進めるよう求めているが、県は空港整備の事業費が沖縄振興予算を圧迫する可能性があるとして、現時点で指定を受け入れない考え。
 一般質問で中山市長は「(新空港が指定されたことで)沖縄振興予算のインフラ整備予算を石垣市に取られるというなら、他の市町村に迷惑を掛ける。県は別枠で予算を取ってほしい」と要望。「市町村と連携して国に要請に行く必要があるので、早々に手を挙げてほしい」と述べた。
 県は特定利用空港に指定された場合、自衛隊の使用が増える可能性を警戒している。中山市長は、市が管理する石垣港が特定利用港湾に指定されたことに触れ「新たに自衛隊の施設を造るというのではなく(既存事業を)前倒しでどんどん進めることができ、非常に効果的だ。県には考え方を転換してもらいたい」と強調した。
 内閣府から市に派遣されている嶋田廉企画部長は、沖縄振興予算について「前年度の予算をベースに一定の係数を乗じた形で概算要求を行っている。毎年(空港などの)整備費用が増額されれば振興予算全体の概算要求の額も増え、新規事業の創出、必要性の高い事業への重点化にも資する」と指摘。
 空港などの整備費用について「沖縄振興予算とは別枠で管理することも制度上は可能と認識している。どのような仕組みが沖縄全体の発展に必要なのか国や県に議論を促したい」と述べた。
 慶田城悟空港課長は、新空港が特定利用空港に指定された場合、自衛隊の訓練が増える可能性について「多くても年数回程度が想定され、常に自衛隊の部隊が訓練を行っているようなことにはならないとしている」、米軍が空港を使用する可能性については「米軍が(平素から空港を円滑に利用するための)枠組みに参加することはない」と答弁。
 指定で有事に空港が攻撃対象になるとの懸念については「そのことのみをもって攻撃される可能性が高まるとは言えない」との政府見解を説明した。【八重山日報】