レバノンでハマス幹部など殺害 ヒズボラ イスラエルへ報復警告 | TOAジャーナル

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国際政治及び安全保障に関する報道〜アジアに対する脅威〜

イスラエル軍が攻勢を強めるパレスチナのガザ地区では2日、多くの避難民が身を寄せるパレスチナ赤新月社の拠点が攻撃を受けて死傷者が出るなど、状況は厳しさを増しています。

一方、レバノンの首都でイスラム組織ハマスの政治部門の幹部などが殺害されたことを受けて、パレスチナ暫定自治区の各地では多くの人たちが行進して抗議の意志を示しました。レバノンでハマスと呼応するシーア派組織ヒズボラは「攻撃を見過ごすことはできない」として報復を警告していて、地域の緊張がさらに高まらないか懸念されます。

パレスチナのガザ地区では2日もイスラエル軍による激しい空爆などが各地で続き、中東の衛星テレビ局アルジャジーラは、南部のハンユニスで犠牲者が相次いだと報じています。

また、パレスチナ赤新月社は、ハンユニスにある1万4000人もの避難者が身を寄せる拠点が攻撃を受け、複数の死傷者が出たとしていて、状況は厳しさを増しています。

ガザ地区の保健当局は2日、一連の攻撃で24時間に207人が死亡し、これまでの死者は2万2185人になったとしています。

一方、レバノンの首都ベイルートで2日、爆発があり、ハマスは、現地に滞在していた政治部門の幹部らあわせて7人が、イスラエル軍による攻撃で殺害されたと明らかにしました。

殺害された幹部のひとりは、去年10月にイスラエルへ奇襲攻撃を行ったハマスの軍事部門、カッサム旅団の創設者の1人とされていて、ハマスのハニーヤ最高幹部は「暗殺は完全なテロ行為だ」と非難しました。

ハマスの幹部らの殺害を受けて、パレスチナ暫定自治区のヨルダン川西岸の各地では、3日にかけて多くの人たちが行進して、幹部らの死を悼むとともに抗議の意志を示しました。

また、中東の衛星テレビ局アルアラビーヤは、ハマスが、新たな戦闘の休止と人質解放をめぐるイスラエルとの交渉を凍結したなどと伝えています。

一方、レバノンでハマスと呼応するシーア派組織ヒズボラは「暗殺という犯罪は重大な攻撃であり、見過ごすことはできない」とする声明を出し、イスラエルへの報復を警告しました。

ヒズボラは、イスラエル北部への砲撃を繰り返し、イスラエル軍もレバノン南部をたびたび空爆し、攻撃の応酬が起きていて、地域の緊張がさらに高まらないか懸念されます。


レバノンでハマスの幹部が殺害されたことを受けて、ハマスを支援しているイランの外務省のキャンアニ報道官は2日声明を出し「イスラエルがテロと犯罪によって成り立っていることが改めて示された。レバノンの主権侵害だ」と非難するとともに、国連の安全保障理事会などに対し、速やかに適切な対応をとるよう呼びかけました。


そのうえで「殉教者たちの血は、パレスチナだけでなく地域や世界でイスラエルによる占領と戦う動機となるだろう」として、戦火が一層拡大する可能性があると警告しました。