人生における災難というのは、いつ、どこで、それに遭ってしまうのか、
わからないものである。
ただしかし、災難を回避するために前もってリスクを見積もっておき、
それを勘案して防ぐということもできる。
とはいえ、用心というのはしてもしてもきりがないもので、
健康や安全に細心の注意を払っていたとしても、
例えば明日、地震が起こってそのまま潰されたとか、
北朝鮮が核ミサイルを撃ち込んだ、という災難に対しては、
まさに不可抗力である。
日常に、災難というものは見え隠れしている。
それに対してどこまでリスクを許容し、
どんな生活をおくるかは人それぞれだ。
さて、本題に。
俺はリスクを避けるために、バイクには乗らないことにしている。
俺の場合はそうだ。
この間、友達といっしょにハーレーダビッドソンの専門店に行き、
バイクに乗るというリスクに対して、心が揺れてしまった。
というのも、ハーレーになんとも言えないわくわく感を覚えてしまったからだ。
金に余裕ができたら、今乗っている車に飽きたら、
バイクの免許でも取りに行ってみるか、などと考えていた。
しかし今夜、揺れていた心が、
今後バイクには絶対に乗らない、という決意で固まった。
なぜなら、寮の友達がバイクの事故でかなりの大怪我をしてしまったからだ。
彼はハーレーの専門店に行った次の週に、
俺が買った車の3倍も金を払って、バイクを買った。
そしてその次の週の土曜日、つまり今夜、
彼はバイクで事故に遭ってしまったのだ。
まさか、新車を買ってたったの一週間にして、
事故に巻き込まれてしまうとは・・・しかも社会人としても大事なこの時期である。
なんとも痛ましく、不運な話だ。
怪我は相当なものらしく、膝を複雑骨折し完治までは1年かかるとのことだ。
おそらく、彼はバイクを降りることになってしまうだろう。
肉体的、精神的理由、あるいは職場に対する迷惑を考えると。
寮の友人一同一丸となって、やれる範囲で彼のために出来ることをしてやりたいと思う。
あれほどバイクにのめり込んでいた彼に対して、
下されてしまった過酷な運命。
人は誰しも突然襲い掛かる残酷な運命に対して、抗う術はない。
災難とは、いつやってくるかわからない。
拡大解釈すれば明日晴れるのか、雨が降るのか、
それと同じレベルの問題ではないか?
雨が降るだろうから傘を持っていく。
それはできても、雨を止めることは誰にもできないのだ。