1月の終わりに上海へのフライトを担当しました。

 

ここは普段、人でごった返しているのですが、旧正月とコロナウイルスのせいで、上海の中心地もガラガラでした。

 

この時は、まさかここまで感染が広がるとは思っておらず、ウイルスの怖さを思い知らされます。

 

亡くなられる方も多く、世界の経済も大打撃を受けています。

 

そこで今日は、コロナウイルスが航空会社にどのような影響を与えているか、そして航空会社がどのように対応しているか書いてみたいと思います。

 

リーマンショック以上の損失は確実!

コロナウイルスの航空業界へのダメージは深刻で、世界の航空会社で構成される業界団体IATAが3月の初めに出した報告書によると、今年の航空会社の旅客収入が最大で前年比19%減となる12兆円も落ち込むとの試算を出しました。特にダメージの大きいアジアとヨーロッパでは、それぞれ5.5兆円と2.9兆円の損失が出ると予想しています。

 

しかし、3月24日に出てきた最新の報告書では、すでに最悪のシナリオだった12兆円の損失を遥かに超え、最終的には27.2兆円もの損失が出る可能性があると修正されました。

 

ここまでくると、経営難の末に倒産する会社も出てきました。ヨーロッパ最大級の地域航空会社の英FlyeBe/フライビーが3月の初めに倒産し、世界中の小さな航空会社も今年中に後を追うと言われています

 

飛行機が空を飛ばなくなる?!

もう少し運航ベースの数字を見てみましょう。

こちらの表はIATAが予想している2019年と比べた今年のキャパシティー、つまり運航されている座席集の数の変化です。1Q、2Q...のQ(Quarter)とは年の1/4のことで、3か月を意味します。なので1Qが1-3月、2Qが4-6月... となります。

(資料:IATA

 

こうして見ると、4-6月が世界的に見ても、最もひどくなる予想となっています。世界平均で去年と比べて70%ほど運航されている座席数が減り、ヨーロッパでは前年比で90%減るとなっています。それほど需要がないのです!

 

航空会社も生き残るのに必死!

各航空会社も、損失を抑えるために運航停止や政府からの援助を求めるなど、対応に追われています。

 

まず打撃を受けたが中国の航空会社です。航空業界のアナリストによると、70%の機体が運航停止になり、パイロットやフライトアテンダントが長期無給休暇を言い渡される会社も多いようです。しかし、中国の大手航空会社の3社、エア・チャイナ、中国南方航空と中国東方航空はすべて国有企業なので、倒産はしないと考えられます。

 

香港のキャセイパシフィック航空は、以前からのデモですでに経営が悪化していました。3月の初めに、3週間の無給休暇言い渡された3万2千人の従業員の将来も、今は分かっていません。4月のキャパシティーを96%カットすると報道されたので、無給休暇の延長、または解雇される従業員が多くなるでしょう。

 

北米では大体70%から80%ほど減便となり、リージョナルでは倒産する会社の出てきています。大手は前年までの好景気で経済的にもある程度安定していて、アメリカでは国からの経済的援助も決まったので、国全域で閉鎖・外出禁止にならない限り大丈夫かと思われます。

アメリカの大手ではまだ解雇には至っていませんが、他の航空会社では数か月全面的に運航を停止する会社も出てきて、その間は従業員も無給休暇、または解雇という事になってきています。パイロット不足で何千ものパイロットが採用されるはずでしたが、それもすべてストップしている状態です。

 

現在感染拡大の真っただ中のヨーロッパでは、EU内でも国間の行き来が制限され、それによりキャパシティーも90%ほど減りました。かなりの大手や、各国のフラッグキャリアーが80%から90%のキャパシティーをカットした状態で運航しているぐらいで、残りはほとんどが数か月間運航停止となっています。

 

南米・アフリカも数か月間完全にフライトをキャンセルして、その間従業員の解雇に踏み切る会社が多くなっています。便数を減らして運航しているのも、大手のLATAMやエアロメヒコ、エチオピア航空、ロイヤルモロッコ航空などぐらいとなっています。

 

日本の航空会社は??

ANAは国際線を80%減便し、国内線でも減便が進み、全体のフライトアテンダントの6割にあたる約5000人を一時帰休させる方針が発表されました。それがパイロットや整備士など他の業種へ拡大するかは、今後の感染拡大次第だと思われます。

 

JALでも同じように、72%の国際便が減便となり、国内線も減便が増えてきています。今のところ、解雇などの報道はされていませんが、それも今後の感染拡大次第だと思われます。

 

ANAウィングスやジェイエア、ピーチ、ジェットスター、エアドゥ、スカイマーク、スターフライヤーに関しては、全面的に運休が進んでいますが、まだ解雇などの報道はありません。

 

まとめ

●コロナウイルスの感染拡大につき、世界各国で旅行への制限がされ、とくに4-6月は去年と比べて70%ものキャパシティー減との予想。

●3月の終わり現在、大手・または各国のフラッグキャリアーがキャパシティーを80%から90%カットして運航。世界的に国際便は限られた路線を残してほとんどキャンセル。

●それ以外の航空会社は、全面的に運航停止するところも多。それに伴い従業員も無給休暇・または解雇。

●世界中どこの会社も、採用は一時停止。新採用したパイロットの訓練を見合わせる会社も。

●大手でも人員削減により、無給休暇、または解雇が進んでおり、これ以上コロナウイルスによる影響が長引けば、各国の大手も経営難に。

 

 

世界中で亡くなる方が後を絶えず、この航空業界で働く何万という人達も職を失いました。そして今も、自分が感染するリスクを知りながら、海外に取り残された自国民を帰国させるために、どこかの空を飛んでいるフライトアテンダントとパイロットがいます。どうか、そんな人たちの為にもコロナウイルスが1日でも収まるように、個人ができること、まず手洗いうがい、そして必要以外の外出を控えて、皆で感染拡大を防ぐことにご協力お願いします🙏