「編集の自由守られた」放送関係者ら評価 番組改変訴訟 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080613-00000087-san-soci
6月13日8時0分配信産経新聞取材を受けた側が番組に抱く期待権が、「原則として法的保護の対象とならない」との初判断が示されたNHK番組改変訴訟の最高裁判決。テレビ番組やドキュメンタリーを制作する現場のスタッフからは「当然の結果」「編集の自由が守られた」との声が聞かれた。NHKのプロデューサーの一人は「そもそも報道内容がすべて取材先の期待通りになるかというと、そうではない。取材対象と報道する側にはけじめが必要」と強調。ただ、その前提として「取材先に真摯(しんし)に接して信頼関係を構築しておく必要がある。取材の意図をきちんと説明し、理解を求める努力が大切だ」と付け加えた。また、中国・山西省に残留した旧日本軍兵士を描いた「蟻の兵隊」、「延安の娘」などの作品で知られるドキュメンタリー監督の池谷薫さん(49)は「判決は当然だ。(期待権が)もし認められれば、取材する側は萎縮(いしゅく)し、表現の自粛にもつながる。さらに、拡大解釈されて公的権力に結びつけば、政治家の取材などは難しくなる恐れもあった」と最高裁の判断を支持した。また、番組をめぐり、「政治的圧力を加え番組内容を改編させた」と朝日新聞の報道で指摘された安倍晋三元首相は「最高裁判決においても朝日新聞の報道が捏造(ねつぞう)であったことを再度確認できた」とした。一方、原告らは東京・霞が関の司法記者クラブで記者会見。バウネット共同代表の西野瑠美子さん(55)は「不当判決で、大変残念。日本の司法に失望した」と判決を批判。弁護団長の飯田正剛弁護士も「結論ありきの判決。一般論に終始し政治家からの圧力など具体的な判断はなく、これで負けたとは思わない」と語気を強めた。◇■NHK広報局の「どのような内容の放送をするかは放送事業者の自律的判断にゆだねられており、正当な判断と受けとめている。最高裁は『編集の自由』は軽々に制限されてはならないという認識を示したものと考える」◇■「政治の介入」判断せず2審判決が「NHK幹部が政治家の意図を忖度(そんたく)した」と指摘した番組改変訴訟。2審審理中に朝日新聞が「政治家の介入があった」と報道したこともあり、NHKと政治家との関係が注目された。最高裁がこの問題をどう判断するかも焦点だったが、争点の判断に必要なかったために判決ではまったく触れられなかった。2審審理中の平成17年1月、朝日新聞が、官房副長官時代の安倍晋三元首相らの圧力で番組内容が改変されたと報道。翌日にはNHKの担当チーフプロデューサーが会見し、同様の主張をした。一方、名指しされた安倍元首相やNHKはこれを全面否定。当事者間で質問状がやり取りされるなど、激しい応酬になった。朝日新聞は17年9月に、取材が不十分だったことを認めたが、記事の訂正や謝罪はせずにうやむやになっている。19年1月の2審判決は、事実関係から「NHK側が政治家の意図を忖度して改編が行われた」と指摘。一方、政治家の介入については「認めるに足りる証拠はない」と述べた。最高裁は2審の指摘をすべて取り消した。◇■判決要旨NHK番組改変訴訟で最高裁第1小法廷判決の要旨は次の通り。◇放送事業者は法に定められた権限に基づく場合以外は誰からも干渉、規律されない。番組編集は表現の自由の保障の下、放送事業者の自主基準に基づく自律的判断に委ねられる。番組は放送事業者の内部でさまざまな立場、観点から検討され編集されるのが当然で、最終的な放送内容が当初の企画と異なったり、放送に至らなかったりする可能性があるのも当然だ。取材を受けた対象者が取材担当者の言動などから、素材の使われ方や内容などに期待し、信頼したとしても、それは原則的に法的保護の対象にならない。取材を受けることが大きな負担になり、それを取材担当者が認識した上で「必ず一定の内容、方法で取り上げる」と説明したことで、対象者が取材に応じることを決めた場合、その期待、信頼は法律上保護される。制作会社の担当者は原告に番組提案票を交付し、番組が女性法廷をありのまま視聴者に伝え、昭和天皇への判決内容も放映すべきだと説明して女性法廷の取材を申し入れた。だが実際の取材活動はほとんどが当初から予定されたもので、原告に大きな負担をかけるものではない。また担当者の説明、申し入れは個人的意見にすぎない。原告も編集段階で説明と異なる内容になる可能性があると認識できた。原告の主張する番組内容についての期待、信頼は法的保護の対象にはならない。番組内容の説明を約束するなどの特段の事情はなく、原告の請求には理由がない。
(引用元:Yahoo[産経新聞] ) Yahoo! JAPAN