リコーダー界のレジェンド、多田逸郎先生の懐かしい筆跡です!
私は高校生の時に、個人的に通奏低音を師事しておりました。
この貴重なプリントは家の片付けをしているというレッスン生の方から頂戴致しました。
リコーダーの楽譜も興味深いですが、
「予餞之辞」は面白いです
常に愛情深く、教育熱心で、ユーモア溢れる先生のことを思い出しましたし、
その内容は、私の学生生活をありありと思い出しました
(一応女子校でしたけどね、いや、女子校だから自由になるのか)。
携帯で写真を撮ったら、
瞬時に文字データ化できたので、一部を載せます。
便利な世の中だ
午前八時
校門をくぐる際、いっしょにくぐろうとしている長上がいたら、札機正しく挨拶せよ。間違っても「おはようス」というな。
午前九時三十分
廊下を歩くときは音のしないようにせよ。上履・スリッパの類を音高らかに引きずって歩く生徒が大部分である。江戸時代の同心たちは町内を見廻るとき、金をゆるく打った雪駄をチャラチャラ引きづってその存在を知らしめ袖の下を集めて歩いたという。
午前十一時
校内施設を非合法に開けたり使ったりするな。たとえば、鍵のかかっている体育館に二階へよじ登って入るとか、合鍵を使ってピアノを開けるとか。
午前十一時三十分
腹が北山となっても早弁をするな。歩きながら飯を食うな。そういうのに限って舌皷を打っている。舌皷を打って物を食べるのは秀吉のように下賤の出の者に限る。
午後十二時
あと二十分で楽しい弁当だ。頑張れ。
午後十二時三十分
昼休みに外出する時は下履にはきかえること。猫でもよく訓練すると外から入って来るとき上りがまちに置いてある雑巾で足を拭く。
午後二時
歩くときはポケットに手を入れるということは、シカゴあたりのギャングに対して俺はポケットにピストルを持っているぞよという示威行為として流行したものなのだ。それに子供は風の子ということもある。考え方を変えれば、顔も皮膚なら手も皮膚である。手にポケットが必要ならついでに顔も覆面をして歩けばよかろう。
午後二時三十分
よだれを垂らして眠りこけるな。教官は懸命なのだ。眠る暇はない。
午後三時
校門を出る前にいま一度服装を点検しよう。ズボンのジッパーが半分または全部開いている生徒が非常に多い。
午後七時
一家でレストランに出かける。フルコース。スープを音のしないように食べる。海外で日木人がつまみになる最大の原因は、ズルズルチューというスープを啜る騒音だ。あいつは音を立ててスープを啜るとわらっていた人と食卓を共にすることがあったが、その人もかすかにスッという音を立てていた。絶対に音無之構で押し通すべきだろう。
午後九時
歓談の上帰宅。以後のことは一切省略。
蛇足のみならず蛇尾まで付いてしまった。おやすみ。