ラグバジュラ・アサナは、なかなかに難しいアサナである。

 

両膝をついた状態で足首を掴んで後屈し、腕を伸ばした状態でマットに頭をつける。

 

5呼吸したら起き上がってくるが、ここが一番難しい。

 

 

 

吸う息とともに起き上がってくるが、その前に吐き切っておくことが重要である。

 

ジャンプバック等と同じである。

 

「吸う息+体を持ち上げる動き」というヴィンヤサをするときは、その前に息を吐き切っておくことがポイントになる。

 

 

 

ただし、ラグバジュラで5呼吸を維持しているときは、ジャンプバックに入るときよりも、体力が必要とされる。

 

そこで焦りが生じる。

 

5呼吸の最後の息を吐くとき、次に起き上がることを考えてしまうことがある。

 

これがよくない。息を吐いているときに、次の動作(息を吸うヴィンヤサ)のことを考えると、息を吐くことが甘くなってしまう。

 

最後の息を吐いているときに、「起き上がる」という未来のことを考えるのではなく、「息を吐く」という今に生きることが重要である。

 

 

 

そのような意味で、ラグバジュラ・アサナは、自分が今を生きていないことに気づかせてくれるアサナであると言える。

 

息を吐いているときは、そのことだけを意識する。

 

キツイかもしれないが、5呼吸のあいだはアサナの形をキープして、たっぷりと呼吸する。

 

次に吸う息のことは考えず、いま吐いている呼吸を最後までじっくりと味わう。

 

 

 

不安な未来にアテンションを奪われず、今を生きるためには、ある種の勇気が必要である。

 

ラグヴァジュラ・アサナの練習は、このような勇気を養うトレーニングになっているかもしれない。

 

慌てず、そのときが来るのをじっと待つ。

 

先走ってはいけない。

 

5呼吸の最後の息をじっくり吐いて、そのことを味わって、それから起き上がればラグヴァジュラ・アサナは難しくない。