心がザワついて苦しいとき、どうすればよいだろうか。

草薙龍瞬という原始仏教の僧侶が、次のことを本で述べていた。



感情や思考というのは、心の「内」で生じている。

それらが原因で苦しいときは、心の「外」に意識を向ければよい。

運動したり呼吸したりして、そのときに生じる感覚に意識を向ける。

散歩をすれば、足の裏で地面を踏んでいる感覚が得られるし、呼吸をすれば、鼻腔を空気が通り抜ける感覚が得られる。

そのような心の「外」にある感覚に意識を向ければ、心の「中」で生じる感情等による苦しみから解放される。

さらに、感覚へのフォーカスを習慣にすれば、心のザワつきによって苦しむこと自体が減ってくる。



ヨガという言葉は使われていなかったが、ヨガの方法と効果が端的に示されていた。

アシュタンガヨガでは、アサナを利用することで、これを実現しようとしている。

いろいろなポーズを取ると、さまざまな感覚が現れる。

このような「心の外」の感覚を味わうと同時に、ポーズを作るための努力が「心の内」で生じる思考や感覚から意識を逸らせてくれる。

難しいことは考えず、定められたアサナを順番にやっていくだけで、これが可能になる。

シリーズは6つあるから、どんなに上達してもチャレンジは終わらない。

幸福に生きるための、非常に優れたメソッドである。



私の場合は、セカンドをもっと練習する必要がある。

今朝は自宅でプライマリーを練習したのだが、練習中に余計なことを考えてしまった。

心の「外」にある感覚に集中し切れず、「内」にある思考に捉われている時間が長かった。



3年8カ月のあいだプライマリーを練習してきて、ずいぶんと慣れてきた。

ある程度の意識量を心の内側に置いたままでも、形が作れるようになってきた。

アサナを取りながら、余計なことを考えやすくなっているかもしれない。



もちろん、このように集中し切れないこと自体が、練習不足の証であることは否定しない。

慣れてきたプライマリーについては、トリスターナを活用した、より繊細な意識の練習が必要である。



しかし、セカンドであれば、いまの自分にとってはチャレンジングなアサナが多いので、余計なことを考えている余裕はない。

セカンドをやれば、心の内側にある思考ではなく、外側に存在する感覚に対して「自然と」すべての意識が向けられる。

私はまだまだセカンドを恐れているのだが、セカンドと向き合うことが欠かせないと分かった。