母が 好きになれない

 母は いつも不機嫌だった

 だから 子供の頃から

 母の顔色ばかりを窺って

 生きてきた

 母は いつも辛い人生だった

 だから 子供の頃から

 母の嘆きばかりを聞かされて

 生きてきた

 母は 決して気づいてはくれなかった

 だから 子供の頃から

 気に入られるようにいい子を演じて

 生きてきた

 母は 自分のことで精一杯だった

 だから 子供の頃から

 負担にならないように何も言わず

 生きてきた

 でも そんな生き方は やがて 

 私を 蝕み始めた

 静かに 確実に

 気づいた時には 手遅れだった

 その つけ は

 回避性人格障害 となって現れた

 母は 目に見えない絶対的な束縛

 自由になりたかった

 だから 家を出たのに

 病気がばれて

 自由は失われた

 一番 許せないのは

 原因が自分にあるということを

 母が認めず理解しないということ

 心配なんか いらない

 必要なのは 母が自覚すること

 謝罪なんか いらない

 望むのは 私を自由にしてくれること

 でも

 母は 決して 気づくことはないだろう

 母は 決して 認めることはないだろう

 それは 自己否定することになるから

 でも

 私は 決して 指摘することはないだろう

 私は 決して 非難することはないだろう

 それは 余計な軋轢を生むだけだと分かっているから

 だから

 母は 決して 変わることはないだろう

 私は 決して 自由にはなれないだろう

 これまでも これからも

 一生

                       2006.3.26