【本のお話。】

★さて本日はイギリスの作家であるコリン・ウィルソン先生の著作物を、読破したいナできるカナできないなんて言わないで、言ってちゃナンにも始まらないってそういう企画の続きです。
この名前をご存知の方には、殺人や魔術や超科学の分野に関するウサンくさい本を書いてるってイメージのある作家だと思うんですが、ええ当たらずとも遠からずです。

但しチマタに溢れる、ホンマモンのアレな方たちとは路線を異にしてる作家さんなんで、その汚名をススいでやろっカナとネ。
タイトルがタイトルですから、ニワカには信じられないかも知れませんが、ホントです。
ホントにゼッタイ想像するよりは、マトモな本ばっかなんですヨ。

というワケで今回ご紹介する本も、かなりブっトんだタイトルではありますけども、恐れずヒルまず興味を持っていただけると嬉しゅうございます。

コリン・ウィルソン『 至高体験 — 自己実現のための心理学 』
( Colin Wilson “ New Pathways in Psychology ” )

わたしが読んだのは河出文庫版で、1998年の初版です。
原書は1972年、国内版ハード・カバーは1979年に、同じ河出書房新社から発行されました。
翻訳は、由良君美と四方田犬彦のお二方が担当しています。

タイトルにある“至高体験”とは、心理学者のエイブラハム・マスローの著作にある、“ピーク・イクスペリエンス”の訳語。
フとした瞬間、健康な人々の間には度々訪れる、幸福感を伴う絶頂感に似た“至高体験”。
本書はマスローの著作にある彼の主張と、この感覚に焦点を当て、ヒジョウにわかりやすく解説した本です。

エイブラハム・マスロー(Abraham H. Maslow/アブラハム・マズローとも)は、アメリカの心理学者です。
精神的な病気や病理を分析する「精神分析」や、内的/心的状態に依らない唯物論的な「行動主義心理学」とも違う、健康人の心理学「人間性心理学」の確立を目指しました。

人間の欲求の段階/階層を主張した、通称“マスロー欲求階層説(自己実現理論)”が、有名な論説。
著作内容はより普遍的で人間的な心理学を目指すモノで、教育学や倫理学、経営学など多岐に渡る分野に影響を与えました。


★さてコレを読んでいただいている方のアタマには、当然のゴトく“で、至高体験ってナンなの?”って疑問が、浮かんでいるコトでしょう。
コレはひと言では説明しずらいんですが、かと言ってよくこのテの本にあるイカガワ悟りや解脱といった用語とは関係がありません。

と言うのもこの感覚は、主に心身ともに健康な人間に、日常的に起きる現象のコトを指しているからです。
ほとんどダレにでもある体験ながら、ソレについて自覚したり、他人と共有したりする機会はまったくありません。
ではその体験とはどんなモノなのか、本書の中からその事例を抜粋してみましょう。

“若い母親が台所をせわしげに動きまわって、夫と子供たちの朝食を作っていた。太陽が降り注ぎ、清潔できちんとした服装をした子供たちが、食事をしながらお喋りをしていた。夫は何気がなしに子供たちと遊んでいる。彼らのありさまを眺めていたとき、母親は突然に圧倒されたのだ。その美しさに、また彼らへの自分の大きな愛情に、すばらしい幸福の気持ちに。こうして彼女は至高体験に参入していった。”

“ジャズ・バンドでドラムを叩きつつ苦学して医学校を出た若者が、かなり後になって報告してくれた。ドラミングの間に三回至高の頂点に達したと。そのとき彼は自分が偉大なドラマーであり、また演奏が完璧であったと感じたのであった。”

上記の例をご覧いただいて、既にもうおわかりですネ。
つまり理由はサダカではないけれど、ナンだかムヤミやたらと嬉しくなって、幸福感に包まれてワレを忘れちゃうような瞬間です。
ジ~ンとしてグワ~ンとしてフンガ~となる瞬間、そう言えば、ミナサマにもケッコウある体験だと思います。
ワタシはゲイリー・シェローンを思い浮かべると、イッパツです。

今回ご紹介する本作ではマスローの著作で触れられているこの“至高体験”をキーワードに、彼の思想と研究を読み解いています。
ウィルソンちゃんの解説によると、この体験に欠かせない重要な要素は、精神のカンペキな集中だそう。
で、ソレには広い視野と高い視点を持ち、現実への拡張感覚、『失われた時を求めて』で言うマドレーヌ感覚を持つコトが大事だと。

センセがマスローの主張と考え合わせて、更に独自の調査/研究を統合すると、この“至高体験”をヒンパンに持つ人間ホド様々なコトガラを成し遂げられるそうなんですナ。
んまあコレがホントかどうかハッキリと名言できませんが、実際にマスローの心理学が教育学や経営学など世界的に受け入れられている事実を思うと、アナガチまったくのウソでもないと思われます。

“自己実現”や“上昇志向”ってコトバ、個性派草食系のワカモノがカッポする今の世の中で、イヤにケ嫌いされてる感があります。
モチロンそういったモノに嫌悪感を持ってしまう背景も、わからないのではないのですが、本来はとっても前向きでステキな考え方。
もしミナサマがいつか、こういう志向性に興味を持ったなら、本書やマスローじしんの本を読んでみるコトをオススメいたしますヨ。


★最後にこの悪趣味ブログを読んでいただいた方が、コリン・ウィルソン大先生の著作をゼヒ実際に読んでみたい!と思えるように、本作とはナンの関係もないトットキの情報をお伝えしましょう。
コレはウィルソン先生の人柄を表す、思わずホッコリのエピソードで、巻末の四方田犬彦による『文庫版によせて』に記されてます。
内容はズバリ、「ウィルソン先生の二日酔いの直し方」。

“二日酔いになったら、シャンペンを呑むとか、サウナに入るとか、そんな姑息な手段に訴えてはならない。立ち向かう方法はひとつ、断固として二日酔いなど存在しないと信じて、一日をいつも通りに行動することだ。やがて夕暮れになって、すべてを前日通りにし終えたとき、人は二日酔いを克服できたと知る。しかしそれは、そもそも二日酔いなどなかったのだ、と宣言することと同じではないか。”

・・センセイったらオモシロすぎます。
こういう極端すぎる断言、ワタクシ、キライではございません。
恐らく今週末も、毎度ながらの二日酔いにはなると思いますので、ゼヒこの方法をワタシも試してみようと思います。
コレがセンセイ以外の人間に、通用するかはわかりませんけどネ。
ホントに効果がありましたら、ミナサマにもご報告いたしますネ。


【プログレなバーのお話。】

★さて本日は、終わり行く夏を惜しんで閑話休題。
アツくなるもヨシおセンチになるもヨシ、コドクなオトナたちの城あるいは隠れ家、とってもステキなバーをご紹介いたします。
ワタシの住まう東京は高円寺にある、知るひとぞ知る名店です。

ロック・バー モスライト
( ROCK BAR MOTHLIGHT )
場所:東京都杉並区高円寺北3ー16-14
TEL:03ー5873ー1977
定休日:水曜日
営業時間:21:00 - 03:00

モスライトさんは、東京の杉並区・高円寺北にあるロック・バー。
JR中央線/総武線「高円寺」駅から徒歩3分、北口を出て左側、高架下沿い脇から伸びる「中通り商店街」をマッスグ1本です。
「中通り商店街」は通称“エロ通り”とも言われていて、入りクチに風俗店が乱立、女子でなくともかなり立ち入りにくい通りです。
男子はココで散財しないで、ちゃんとオクまで歩いてくださいネ。

ライヴ・ハウスの「ショウ・ボート」と、近年一部のモノ好きたちの間で話題の、革命やらデモやらで1年中忙しいリサイクル・ショップ「素人の乱」本店の中間点。
左手にシニセの地下室バー「唐変木」のカンバンが見えたら、通り向かい側にあるのが、お目当ての「モスライト」です。
軒先に下がる誘蛾灯に青い光が灯っていたら、営業しています。

ココまで徒歩で3分、駅からもヒジョウに近く、入る通りさえ覚えてしまえばとってもわかりやすい場所。
いちおう水曜日が休みで9時から営業ですが、遠方から来られる方はお電話かHPの掲示板で、確認された方がヨロシイかと思います。
週の後半、特に土日はホボ確実に営業してますヨ。


★ワタクシはカレコレ6年は高円寺に住み着いておりますが、通年定期的に利用させてもらっているのが、コチラのモスライトさん。
以前の住処が、ココから100mホドの場所にあったのがキッカケで、ソレ以来たくさんの時間をココで過ごして参りました。
10人入るともう満席になるコジンマリとしたお店で、薄暗い店内には、古いロックがココチ良く流れています。

マスターはとっても優しくて気の付く方、でもタマに鋭いツッコミも入れてくれるのが、お客にとって嬉しいトコロ。
またリクエストにも応じてくれるので、音源があれば、自分の好きな音楽をかけてくれるんです。
ワタクシも先日訪れた際には、ピーター・ハミルをリクエスト。
ヴァンダーグラフの音源をかけていただきました。

大大大好きなハミちゃんの歌声を大音量で聴きながら、やっぱし大好きなお酒を飲むなんて、もうホントに最高で天にも昇るキモチ。
ウットリじんわりしながら、ホロ酔い気分で思い切り、ハミちゃんの声にヒタって参りました。
音楽とお酒がお好きな方ならわかってもらえると思いますが、こういう時間ってナニモノにも代えがたい、最高の時間なんですヨネ。

以前には、ジャックスをかけていただいたコトもありますし、洋楽だけでなく邦楽もかかる可能性があります。
とってもとっても気サクなマスターなので、ゼヒ実際に行って、相談してみてください。
初めての方、地元でない方でもゼンゼン大丈夫、ドナタでも優しく迎えてくださいますヨ。

ワタクシ・アシュラちゃんもケッコウな確率でオジャマしてます。
1人か2人くらいでキャッキャ言ってる、コウルサい女子がいたらワタクシなので、気軽にお声をかけてくださいネ。
みんなでプログレ聴きながら、楽しいお酒をいっぱい飲みまショ。
コレを読んで初めてこのお店を知ったという方も、以前から通われてる方も、ゼヒ近いウチに訪れてみてくださいネ。


【プログレな音楽のお話。】

★さて本日は真夏に吹き荒れる一陣の風、すべてを焼き尽くす地獄の業火、人々の脳ミソをマルごと吹っトばすドトウのイベント。
そのムカシには“バカ踊り”というナゲヤリな名称だった、地域住民のウップン晴らし、“プログレ阿波踊り”のお時間です。
高々とそびえるヤグラの上から聴こえる音楽は、ゾメキ・ミーツ・プログレ、当然ナマ音でございます。

おハヤシのためだけに来日していただいた業界トップのお歴々。
特にパーカッション奏者は猛者揃い、ヘン拍子が冴えまくり。
持ち前のキマジメさで、3時間ブっ通しで叩き続けるヨ。
でもキョウが乗りすぎて、あまりにフクザツなリズムを叩くと、ソコらにいっぱいいる不良パンク外人に交代させられちゃうんだ!

実はマニアもビックリの、ソウソウたる顔ブレが並んでおりますが、ソレに気付く理性を保つ人間はひとりもおりません。
ナゼならマニアはアワ踊らずプログレ・バーに入りビタるからネ。
踊り踊られ踊り狂いし同じアホにもイロイロいるが、午前0時をまわった頃にゃ、ケッキョク合流しちゃいます。
ダイジョブ朝の10時まで、やってる店がゴマンとあるから。

チュンチュン聞こえるスズメの声に何とサワヤカ夏の朝、コドモが体操向かう頃、イヤあなオトナがヘバっているヨ。
クダ巻くオッサン、爆睡するマスター、5mおきのモンジャ焼き。
いったいココはどんなマチ、なんて毒付くヒマもなく、その日の夕方また来ればおんなじコトの繰り返し。
踊り地獄のプログレ地獄、みんなもこぞって来てみてネ!

アラン・ホールズワース 『 ウォーデンクリフ・タワー +3 』
( ALLAN HOLDSWORTH “ WARDENCLYFFE TOWER +3 ” )

わたしが聴いたのは、ポリドールからの国内盤(規格番号POCJ-1162)です。
オリジナルは1992年、国内は1993年のリリース。
オリジナル・トラック8曲にボーナス・トラック3曲を追加した、計11曲収録で、ジャケットも国内独自仕様です。

ちょっと前の2008年に、紙ジャケ盤が発売されてたようですが、現在でもテに入るのか知らん。
よっく来日してるし、ほかのタイトルに比べるとセールスは良い方だと思われるので、マメにチェックすれば出物もあるでしょう。

アラン・ホールズワース(Allan Holdsworth)は、イギリス出身の、フュージョン~プログレッシヴ・ロックのギタリストです。
1972年にロンドンで開催された「ブリティッシュ・ギタリスト・フェスティヴァル」で、グランプリを獲得して以来、数々の有名ロック・グループやジャズ・バンドに参加して来ました。

ソレらのバンドは70年代だけでもニュークリアス、テンペスト、ソフト・マシーン、アラン・ジャクソンズ・キンケイド、レイ・ウォーレイ~アラン・ホールズワース・クインテット、トニー・ウィリアムス~ニュー・ライフタイム、ゴング、U.K.、ブラッドフォード、ジャン・リュック・ポンティ・グループ、アラン・ホールズワース~ゴードン・ベックなどかなりの数に及びます。

独自の発想と透徹した美学に支えられたギター奏法を守り続け、現在にまで至る多くのギター・テクニックを切り開いたと言われる、“天才”ギタリストです。


★確か以前に『サンド』ってアルバムをアナログで買って、一度も聴かないママ、プレイヤーが壊れたのに乗じて放置してたような。
でもソレも一体どのレコ箱に入っているのか、検討もつきません。
しかもさあ、ちょっと名前がねえ、オボエにくいよねえ。
「ザ・ホール・ワールド」とさあ「ホール・ニュー・ワールド」とさあ「ワーズワース」がさあ、混じるんだヨネ。

だからどーもこの方のお名前をクチにするとき、チュウチョしちゃうんだよねえ、“アラン・・”で一瞬絶句しちゃうんだよねえ。
まったくヤヤコしいったらありゃしないよネ、改名しろっての。
エ、こんな失礼なコト言うの、もしかしてワタシだけですか。

え~ドコにいったか追尾不能なアナログの存在はヒトマズおいといて、今回はおハツの意識で、拝聴させていただきました次第です。
実はワタクシ個人的には一部例外を除いて、ギター及びギター音及びギタリストに、ほとんど興味がございません。
ワタシが好きなのは主にベース、次点でヴォーカル。
スミマセンネ、根っこがディスコ・サウンドにある軽薄モンで。

なので本作を聴こうとするも、あまり気が進まなかった、というのが本音と言ったトコロでした。
バッキバキのテクニッシャンだったら、ヤだなあって。
チュロチュロチュロ、キュイイ~ンって言ってたらヤだなあって。
“スーパー・ギタリスト”って称号が想起させる、強引でサディスティックなイメージが、ホンキでもうだいっキライなのネ。

でも本作を聴いて正にメからウロコ、ヘンケンが吹きトびました。
超テク・ギタリストのソロ名義作品でも、イイのがあるんですネ。
たゆたうようなインプロビゼーションがキモチ良くってキモチ良くって、ココロココにあらず、一気に持ってイかれました。
楽器は別ですけど、ワタクシの愛して止まないジャッコさんの音世界を思い起こさせますネ。

ドチラかと言うと、フュージョン色が強いって言っていいのカナ。
キャッチーなサビやメロディはなきに等しいけれど、アレンジそのモノがひとつの曲、ひとつの作品に仕上がってます。
敷き詰められた音色は緻密で、しかもすっごくスタイリッシュ、恐ろしいホドの音へのコダワリを感じさせます。

ウワ、こういうギター音は初めて聴いたカモ。
ギタリストは自分自分言うイメージがあったけど、こんなに音だけに執念、良いイミでの固執をするギタリストがいるのネ。
メロディー、流れ、アンサンブル、音色、世界にはそれぞれにいろんなコダワリを持った演奏者がいるんだなあ。


★今回は音楽家の奥深さを知ったような気がして、かなりビックリ、ヘキレキもいいトコです。
ワタシもホント、マダマダ、勉強し続けなきゃいけません。
コレは今、ギターを弾かれてる方ならもっともっと、ミに迫って感じられるのではないでしょうか。
ソレくらいほかには無い音、彼にしか持てない精神性なんです。

本作はコウフンつまり感情、構築つまり理性、そのドレでもなく“感性/感受性”の勝利を感じるアルバムです。
ちいさなちいさな糸口を掴む能力、その本質を理解する能力。
ゲイジュツを志す方なら、きっとわかりますヨネ。
ソレはナニにも増して得難い感覚、コトバでは言い表すコトの出来ない、天賦の才能に類するモノ。

本作を聴いて、その結晶たるモンがココにあるナって思いました。
楽器を演奏される方、ソレからほかのゲイジュツ分野に寄与されてる方、ワタシみたいな門外漢、すべてのひとに聴いてもらいたいアルバムです。
ゼヒ皆さん実際にテに取って、ココ大事ですヨ、物質感を楽しみながら聴いてみてください。

聴くひとによって色を変える、色彩豊かな作品です。
ミナサマひとりひとりの自由な感想を持ってもらえたら、表現してもらえたら、嬉しいナって思います。
その感想なども聴かせてもらえるとイイナ。
聴いた方は教えてネ、お待ちしておりますヨ。


【展覧会なお話。】

★さて本日は、秋の気配を感じ始めるこの季節、9月に行われます展覧会のおハナシを。
フダンはナカナカ機会のない方々も、ゲイジュツの秋のスタート・ダッシュを、このイベントでキめてみてはいかがでしょうか。

酒井 崇 『 ボールペン画展 2011 in 古民家喫茶 こぐま 』

日時:2011年9月8日(木)~10月3日(月)
   AM10時30分~PM6時30分

   (火・水定休日/初日12時~・最終日~17時)
場所:アート&カフェ こぐま
   東京都墨田区東向島1-23-14(TEL:03-3610-0675)
    ※喫茶店になりますので1オーダーをお願いいたします。
アクセス:●東武伊勢崎線「曳舟」駅/徒歩約8分
     ●「東向島」駅/徒歩約15分
     ●京成「曳舟」駅/徒歩約15分


酒井崇(さかい たかし)さんは、とってもキレイなボールペン画を描いている、画家さんです。
コチラの悪趣味ブログでも長野県は飯田市に於いて行われた、2011年2月の個展のご案内をさせていただきましたので、ご記憶の方も多いでしょう。

《略歴》
1978:長野県生まれ
2003:多摩美術大学油画専攻卒業
2008:酒井崇虚ろ画展(東京・東向島)
2009~2010:酒井崇ボールペン画展(東京・京橋)
2011:酒井崇ボールペン画展(長野・飯田市)


★今回展覧会が行われる「アート&カフェ こぐま」さんは、墨田区・東向島に佇む、戦前から薬局だった古民家を改造した喫茶店。
このお店が建つレトロな商店街、鳩の街通り商店街を含めて、空間一帯がとってもノスタルジック。
落ち着いた雰囲気の、和のカオリのする喫茶店です。

お昼時には「焼きカレー」や「焼きオムライス」など、カラダに良さそなメニューの、自家製のランチ・セットが大人気。
カワイくて個性的なモノが好きな若いオンナのコでニギわいます。
また食後にいただくハンドドリップの珈琲、有機栽培のアジアティ、ソボクで懐かしいスイーツもゼッピンなんです。

店内には、きっとワタシたちのおばあちゃんたちの世代に使われていた、アンティークな調度品がいっぱい。
そしてそんなステキな雑貨たちの間に、ロマン溢れる繊細なボールペン画が、トコロ狭しと飾られるんです。
午後のティー・タイムに美しいモノたちに囲まれながら、ゆったりとした気分で、特別な時間を送るコトが出来ます。

更に更にコチラのお店、あの、今最もアツいスポットのすぐ近く。
ソレは先日、コチラでもツタナい紀行をお伝えしました、東京スカイツリーでございます。
東京の下町情緒を今に伝えるお店で、アートを嗜みオイシイ喫茶をいただきながら、ちいさな観光も出来る絶好の機会です。

ミナサマもゼヒおトモダチやご家族を誘って、ゲイジュツの芳香を感じながら、涼しい秋の一日を過ごしてみてください。
ナンの雑音もしない静かな下町の住宅街で、自分だけのゼイタクな時間を、たっぷりゆっくり楽しめますヨ。
ワタシもチョコチョコと、オジャマさせていただく予定です。


悪趣味ズム
【本のお話。】

★さて本日は、恐らくはワタクシの本分でありながらちっとも寄与できずゴメンナサイの生涯学習、文学に関する本のおハナシを。
白樺自然に新感覚で耽美に無頼だ第三の新人、いろんな名称あるけれど、つまりはみんな廃人スレスレのダメ人間。
こんなひとたちトナリにいたら、もう迷惑でしかありゃしない。

いろんなひとを見て来たけれど1に演劇2に文学、甲乙つかずのロックラッパー、5番に名門運動部出身ってトコロかな。
アニメや絵画、服飾に携わるのは存外マトモな人間が多いんです。
モチロン、コレらが重複して相互作用を及ぼしたなら、その限りとは申し上げられませんけどネ。

大体に於いてみんながみんな、よく神経が焼け付いてスリ切れないナって思うホドの、狂躁感覚の中で生きてらっしゃいます。
魅力的に見えてそのジツ性格が破綻、人格が境界線を漂ってるって人間がまあ多いコト多いコト、笑いごっちゃない位多いんです。
そんな中に放り込まれたら最後、自らの常識や倫理観が崩壊し、ミイラ取りがミイラ作りにまで至るのには数日を要しません。

楽しいのはイイけど、やっぱ明日のゴハンのためにも自分のミは自分で守って、清く正しく美しく生きるコトが大事ですヨネ。
えっ、ソレで当のアシュラはどのアタリに関わってたのですって。
そりゃアナタ、アレとコレとソレとドレと・・って、イヤイヤあくまでもヒトサマから聞いただけのおハナシですヨ!

ワタクシを直接ご存知の方には、十二分にご承知いただけると思いますが、マジメが服着て歩って輪をかけての朴念仁か木人形。
どんな誘いにも“ん~!?なんのことかな、フフフ・・”とハニカみ、並み居る男子をケ散らして女子には甘いジェントル人間です。
自分は、なんて硬くて融通のキかないオボコだろって思います。
ダレですか疑いのメを向けるのは、ホントにホントなんですヨ!

ジル・ドゥルーズ / フェリックス・ガタリ
 『 カフカ— マイナー文学のために 』

( Gilles Deleuze / Felix Guattari “ KAFKA Pour une Littlerature mineure ” )

わたしが読んだのは、法政大学出版局からのハード・カバーの本。
1978年に初版、1994年の13刷です。
法政大学の活動に則した刊行を行っているという、「叢書・ウニベルシタス」シリーズの、第85巻目に当たります。
この叢書は現在、全部で1000巻に近付いてるってんだからその気概たるや、オミソレいたしました。

ジル・ドゥルーズは、フランスの哲学者です。
スピノザ、ヒューム、ニーチェ、ベルクソンなどの著作を研究し、数学の微分の概念を用いた哲学を構築しました。
ミシェル・フーコーとの親交が厚く、フーコー論も書いています。
主著は『差異と反復』『意味の論理学』など。

フェリックス・ガタリは、フランスの精神分析学者/思想家です。
ジャック・ラカンの元で学び、ジル・ドゥルーズとの共作で大著を多く残しています。
自身も政治犯を救済する運動や、精神医学の改革に努めました。
主著は『分子革命』『精神分析と横断性』など。


★ドゥルーズ=ガタリ、お名前は文学テツガク心理学と様々なトコロで拝見しますが、実際に著作を読むのは初めてでした。
なあんかサ、80年代の洗礼を受けたコムツカしいコト言うひとたちの間で、お念仏のように唱えられてますヨネ。
なあんとなくウサンクサいと言うかエセクサいと言うか、ウットウしいから出来ればおトモダチにはなりたくない、みたいな印象。

いつもの個人的なヘンケンかなって思ってたんだけど、あながち間違ってもいないのネ。
どうやらアサダ親王とかニューアカとか、そのヘンのインテレクチュアルでインテリゲンチャのインクレディブルな方々に、とっても支持が厚かったらしいですヨ。

ワタクシ下層社会労働者階級の人間なんで、こういうムツカしいコトを言いそうな人にタイヘンなコンプレックスを抱いております。
ええ、ええオボエたての“ルサンチマン”というコトバを使ってもイイでしょう、要するにネタミソネミヒガんでるんです。
だからナンとはなしに、ドゥルーズさんたちも、ヤな印象でした。
ホントは決して、ご本人たちが悪いワケではないんですけどネ。

タダ憧れがないと言えばやっぱウソになりますし、今回の読書はマンザラでもなく、意欲を持って挑戦させていただきました。
主著に関しては、恐らくテも足も出ないのはメに見えてます。
だから取りあえずは自分の得意分野の本から、っていうイヤしい動機マル出しの選択、オトナってヤあねえ。
しかもカフカ、悪いがボクチン大得意ですヨ。

本書のテーマであるカフカさんについてはドンとカツアイさせていただきますが、カンタンに紹介するとチェコのユダヤ人作家で、3大長編『城』『審判』『アメリカ』が有名。
教科書で『変身』を読んで、知った方も多いでしょう。
この作品の“毒虫”が果たしてゴキブリ状のモノなのか、イモムシ状のモノなのか、ソレを考え始めるといつも気分が悪くなります。

因みにワタシは昔っからカフカが好きで、会うひと会うひとに上記3作品をススメてはイヤがられている、カフカ啓蒙キリコミ部隊。
更にある方から“・・キミは『アメリカ』の主人公にソックリだねえ。”という、ありがたいおコトバをチョウダイしたオンナです。
文学好きのひとにコレを話すと、必ずワタシのカオをチラッと見た後に、笑いをコラエますがネ。

本書の存在を知った瞬間、こんなアシュラにとってはこの上ない、よくもまあピッタリの書籍があったモンだと思ったワケですヨ。
よっしゃコレでドゥルーザーのガタリ超え、アサディストも真っ青ってヤツだ、読むゼ読むゼ読みまくるゼ~!


★あああああっ・・コ、コレはスゴい・・!!
ナ、ナニも言ってるコトがわからない、わかりたくもない・・。
んっとねえ、ワタクシかんっぜんにカンチガイしておりました。
コレから本作を読もうとする若人のためにも言っておきましょう。
本作は、一般的に世の中で言う「文学論」ではありません。
モチロン「作品論」でもなければ「作家研究」でもありません。

言うなれば、“カフカとその作品に関するテツガク的考察”。
“文学をテツガクで読み解く”んじゃなくって、“文学から構築するテツガク”であって、作品は媒介物でしかありません。
つまりは、一方的に哲学者からの講釈を聞く本なんです。
作品がカモし出す世界観とか人物描写だとかストーリー展開だとか、そんな甘っちょろいハナシには、ほとんど触れやしません。

もうねえ、すべては構造・構造・構造!
小説作品で使われる語彙や文章を記号に置き換えて、ソレらイッコイッコの熱量や方向性も数字に置き換えて、相互間の距離やチカラ関係をひとつの立体的な図表にオコしましたって感じなの。
要するに作品ソレじたいの構造を“理解する”ってよりは、作品の構造をワタシらが“解明/解釈”しました、ってコト。

常に作品や作者については触れてはいるけど、作品からもう離れる離れる、テンデ「カフカ論」を読んでる気にはなりません。
読了後も、カフカや諸作品について理解が深まったなんて気には、モチロンなりません。
ナゼならコレは哲学書に類するのであって、文学書ではないから!
もうこの大いなるカンチガイに、ドッと疲れてしまいました。

コレはコレでテツガク青年たちにはオモシロく読めるのかなあ。
イマドキ、テツガク青年なるモノが存在するのかどうかは置いといても、そんなひとたちがカフカについてのテツガクしたいかなあ。
ダレが読むんでショ、コレ?
・・あっ、だから法政大学出版局からなのか。
ほかの出版社も版権取らなかったワケだ、ちょっとナットクです。

まあきっとスバラしい出来の本なんでしょうが、ワタシを含めて文学系の方からのアプローチには、ナンのおコタエもできない書籍ではないカナと思います。
作品論文の資料には使えません、使えたらほかの学部に行けます。
また読みモノとしても、まったくオススメできません。
読んでもワタシのように、疲労コンパイするだけです。

ワレこそいずれは“知の巨人”、という意欲溢るるテツガク青年たちは一度、読んでみるとイイんじゃないでしょうか。
カフカなぞ読んでるヒマのあるテツガク青年がいるとしたらです。
そして読んだアカツキにはゼヒ、コレにいったいナニが書いてあったのか、アシュラちゃんに教えてやってください。
説明されても理解できるかどうかは、正直怪しいトコですけどネ。


【音楽のお話。】

★さて本日は、ハード・ロック/ヘヴィ・メタルのルーツとも言われる、古典的名盤のおハナシを。
やっぱこの季節には、ハードな音楽が合うネ~。
とか言いつつも今や8月も下旬に突入、夏ももう終わり、コヨミの上ではリッパに秋です。
ああもう秋か、ナンかやり残したコトがある気がするなあ。

アレそう言えば、この夏訪れるハズだった甘いロマンスってのは、いったい全体ドコへ行ったのカナ。
もしかして海とか山とかプールとか、そういう場所に落ちてんの。
そうならムリだワ行けないワだってレコ屋も本屋もないんでショ。
どうにも逃れられないお義理でもない限り、そんなナニをしてイイかわかんない場所なんか、1年に1ペンも行けません。

でも確かにレコ屋はみんなレコード見るのに血眼で、買ったらサッサと出てっちゃうから、ロマンスもクソもあったモンじゃない。
ソコにダレがいようがドナタのおカオも見てらんないし、マニアにとってはイケメンもギャルもガキもオッサンも、みんな敵。
トナリに来ようが秋波を送られようが、ココロなんか許しません。
いつワタシが買うハズの盤を奪われるか、わかんないですからネ。

えっ、そんなコトばっか言ってるから、出会いドコロかトモダチも出来ないんですヨって。
ダレですか、そんな簡明直截言っちゃうスナオなコは。
ええ、ええ、ワタシもわかってるんです。
でもココロがイタすぎて、苦しすぎて、ヒトサマの親切なご忠告も聞き入れられないんです。

かくなる上は一生のミサオを守り、レコードとイッショに火葬に!
・・有毒ガス出まくるサンパイだから、そりゃムリかあ・・。

ステッペンウルフ 『 ワイルドで行こう 』
( STEPPENWOLF “ STEPPENWOLF ” )

わたしが聴いたのは国内再発盤(規格番号MVCM-21014)で、1991年のリリース、原盤は1968年に発売されてます。
68年6月に、アメリカのビルボード誌2位に輝いたヒット曲『Born To Be Wild(ワイルドで行こう)』を含む、11曲を収録。
ステッペンウルフのデビュー・アルバムに当たります。

ステッペンウルフ(STEPPENWOLF)は、60年代にカナダで結成され、アメリカで人気を博したロック・バンドです。
バンド名はドイツの作家、ヘルマン・ヘッセの長編小説『荒野のおおかみ』(『Der Steppenwolf』)に、因んで付けられました。
リーダーはドイツ生まれでヴォーカル/ギターの、ジョン・ケイ。

1968年の2月に、シングル『スキー・スキー』でデビュー。
2枚目シングル『ワイルドで行こう』が、映画『イージー・ライダー』のオープニング・ナンバーに起用され、大ヒットしました。
同映画には、アメリカのSSWホイト・アクストンの楽曲のカヴァー『プッシャー』も使用され、ステッペンウルフのナを広めました。
ハード・ロックの元祖と目される、60年代を代表するバンドです。


★『ワイルドで行こう』は、もうそのイントロが流れるだけで、勝手に血沸きニク踊る腐朽の名作。
デニス・ホッパーの監督映画、『イージー・ライダー』を観てても観なくても、ロック好きなら必ず知ってる古典作品です。
真夏の、サンサンと照り付ける太陽に、ピッタリの楽曲だヨネ。

ワタクシ以前にもこのアルバムを持っていたのですが、いつものゴトくドトウの身辺整理の憂き目に合い、一度手放しておりました。
しっかし今ドキもとい今年満を持してやって来た、ハートスマイル(HURTSMILE)に牽引されるトコロのハード・ロック・イズ・マイ・ブームにのっとって、聴きたくなったワケです。

特にはネ、コトバのイミはよくわからんがトニカクスゴい自信に満ち溢れてる、名曲『スキー・スキー』。
突如コレが聴きたくたくなって、急遽購入しました。
この“sookie sookie”って、どういうイミなんでショかネ。
オトナになればわかるかと思いきや、未だによくわかりません。
歌詞にテレピン油がどーたらとかあるしスラングの一種か知らん。

そういやムカシ、ピチカート・ファイヴの小西さんが作った曲で、細川ふみえの歌う『スキスキスー』なんてのもありましたナ。
モノ凄いイキオイの脱力な歌詞と編曲で、とっても良い曲でした。
個人的にはこういうナンのイミもないバカな曲は大好物ですが、当のステッペンウルフさんが聴いたら、卒倒してしまいそうですネ。

久しぶりにおなしアルバムを聴いてみたら、どういうキモチがするのカナって思って、今回聴いてみました。
でも返ってムカシより良い印象、とっても新鮮でした。
曲調としてはとってもシンプルな、ブルーズやカントリーのエッセンスが入ったロック。
タダ同時代のモノと比べても、やっぱビートがかなり強いですネ。

ハモンド・オルガンも入ってて、サイケ好きもマンゾク出来る。
荒いだけのロックとは違う、スタイリッシュな部分を感じます。
あと印象的だったのは、ヴォーカルがメチャメチャ良いのネ。
ワタクシ個人的に、モノすっごい激シブオトナ感覚のゴン黒ヴォーカルが好きじゃないんですけど、ステッペンウルフは案外サックリしてんの。

歌い手が元々英語圏のひとじゃないっていうのもあって、歌詞もカンタンだし歌い回しもシンプル、要するに聴きやすい。
曲調は黒い風味も入ってるけど、ことヴォーカルに関しては、予想を裏切るくらい全体的にアッサリしてんのネ。
数年前にやっぱりドアーズを再聴したときと同じく、メからウロコのデジャビュ感覚、ちょっと惚れ直しました。


★こういう人口に膾炙しすぎて、もうナニが元ネタだか元歌だかわかんなくなっちゃってるホドの定番ってのは、聴く機会がすくないですヨネ。
持ってないひとは、買う気になんないかも知れないし、持ってたひともワザワザ買い直すコトもあまりないでしょう。

でもこういう風に改めて聴いてみると、当たり前かも知れないど、いわゆる名盤ってホントにレベルが高い。
そのヘンの同病相憐れむみたいな曲を、判官ビイキで聴いてるより、よっぽど有益な時間の使い方だなって思いました。
まったねえ、聴きたくなったときってのが重要なんだと思います。

フと思い出して聴きたくなる、ずっと前から聴きたかった、見たら急に聴きたくなった。
多分こういうときが聴き時で、今の自分に一番浸透圧が近くて、より楽曲の良さを感じられるときなんだと思う。
逆に言うと、そんな瞬間が来ていない時期に聴いてしまっても耳を通り過ぎるだけで、ちゃんと聴くコトが出来てないのカモ。

コレを読んでくださってる方々にも、ゼヒ一度、衝動に任せた聴き方をしてみていただきたいです。
ご自分の直感や感覚の言うコトを信じてみると、予期せぬ出会いや邂逅があると思いますヨ。
今回ご紹介した盤もとっても良いモノなので、コレを機に、実際にテに取って聴いてみてくださいネ。


【本のお話。】

★さて本日も、天下分け目の“シリアル・キラー風雲録”。
全国に住まうちょっと情熱的な猛者どもが、血で血を洗う争いを繰り広げ、正に群雄割拠といったテイを成すってハナシです。
地元じゃ一番の腕っぷしの強さを競い合い、奇想天外な戦術を駆使したフクザツ怪奇な攻防戦、果たして勝利はダレの手に。

戦いは熾烈を極め絡み合う戦略、イキを付かせぬ展開、シリアル・キラーたちのキャラクターも魅力的に描写。
もし山田風太郎先生が、まだご存命でしたら、こんな小説を書いていただきたいトコロでしたネ。
先生の筆力でしたら、絶対オモシロい作品に仕上がると思います。
あ~考えれば考えるホド、読みたくなって参りました。

しょがないナ、夏だしイッチョ反魂香でも焚いてみますか。
アレ、アレってナニで出来てるんでしたっけか。
辰砂?硫黄?火トカゲ?馬フン?ソレはホムンクルスだっけ?
んっとウロ覚えの知識ではちょっと思い出せないので、取りあえず練りケシでも焚いておこうと思います。
ヤマフウやあい、チョイとココまで来てちょおだあい・・。

タイム・ライフ 編
『 トゥルー・クライム・シリーズ 10 世界殺人者名鑑 』

( Time Life Books “ True Crime Series ” )

わたしが読んだのは、同朋社からのハード・カバーの本です。
1996年の初版で、訳は大野晶子/藤井留美が担当。
アメリカのタイム・ライフ社が刊行している、犯罪実録シリーズ『True Crime』の5冊の中からセレクトされた、翻訳/抜粋版となる書物です。

この本は原本からの選集のような体裁だけあって、こうした事件の歴史を網羅した、バランスが良く内容の充実した書籍です。
全体は4章に分かれ、それぞれ『大量殺人者』『連続殺人者』『愛欲殺人者』『暗殺者』と、あらゆる動機の元に犯された事件が手際良くまとめられています。

実に40件以上もの高名な殺人事件を扱い、そのドレもが、3~5頁前後に収められています。
また従来の関連書籍と比べて、資料となる写真や図版を多く掲載。
眺めるだけでも理解でき、楽しめる本となっているのが特徴です。


★上記の通り本書は4章に分かれていますが、その中でも個人的にワタクシが一番興味をソソられるのは、モチロン『連続殺人者』。
この悪趣味ブログを読んでいただいている中でもきっと、きっとおんなしキモチの方が多いと信じておりますので、この第2章だけにマトを絞ってお伝えいたしますネ。
この本で取り上げられているのは、以下の武人たちです。

●ジル・ド・レ
切り裂きジャック
ハーマン・マジェット
●ペーター・キュルテン
アルバート・フィッシュ
●ジョー・ポール
●ウィリアム・ハイレンズ
エド・ギーン(ゲイン)
●アルバート・デサルヴォ
●ジェリー・ブルードス
●ホアン・コロナ
●ディーン・コール
●ラリー・アイラー
●リチャード・ラミレイス
●ジョン・レジナルド・ハリディ・クリスティ
リチャード・チェイス
●ジェラルド・シェイファー
●ピーター・サトクリフ
ヘンリー・リー・ルーカス
●アーサー・ショークロス

ひっさしぶりに王道、正にベスト・セレクションといった内容。
お好きな方にとってはアレもコレも超有名な犯人ばかりで、今までこのブログで取り上げた事件も、多く掲載されています。
コレら犯人の近影などもバッチシ載っているので、事件内容と犯人像を記憶するのに、とっても便利な本とも言えます。

イッコイッコは短くまとめられていますし、概要としてもわかりやすく、文章的にもクダけた口調で興味を持って読み進められます。
その反面、あまりツッコんだ情報やマジメな姿勢は期待できませんが、やはり写真資料の多さにはアタマが下がる思いでした。
単純に読者を飽きさせなく、楽しませようという意図が見えるのには、好感が持てます。

娯楽としての本にはこういう姿勢は欠かせないと思うんですが、国内の書籍にはこの原則が、適用されていない本が多いのも事実。
あまり語られるコトはないものの、この部分だけでも評価にアタイするんじゃないかなあと思います。
ゲスと言われようと悪趣味と言われようと、こういった社会的な事件に興味を持つキッカケとも成り得る、大いに有望な書籍です。

上に箇条書きしたのは第2章である『連続殺人者』のみですが、コレ以外の3章分にも、たくさんの事件が紹介されています。
同じ殺人事件でも多岐の動機/分野にまたがっているとだけあって、このテの本を読む初心者にも、飽きずに読めるコト請け合い。
まあホント、人間てのはいろんなコト考えるなあって、呆れるやら勉強になるやらです。

とっても読みやすい本なので、皆さんゼヒ実際に読んでみてくださいネ。


【ロックな雑誌のお話。】

★さて本日は、コチラの悪趣味ブログでおハツとなります、ロック雑誌についてのおハナシを。
ムック本でも季刊誌でも特別編集でもない月刊誌を紹介ってどーなのサって自分でも思いますが、今回だけはウツケ覚悟で大推薦!
お好きな方には正にピン・ポイント、でも一般の方には知るヨシもない、シニセのロック雑誌でございますヨ。

このブログを読んでいただいている、音楽ファンのみなさまは、フダン音楽雑誌を購入なさいますでしょうか。
『ロッキング・オン』『ミュージック・マガジン』『レコード・コレクターズ』アタリは、今でも王道なのカナ。
最近ではきっと、韓流系の音楽雑誌やアイドル雑誌なんかが、売れセンなんでしょうネ。

出版業界のみならず、音楽業界じたいも瀕死のテイを成している昨今、定番大手の雑誌が廃刊になるコトもシバシバ。
ええっあの雑誌が廃刊なの、あんなに良い雑誌がなくなるなんて信じられない~とかナンとか言いつつ、自分もココんトコはサッパリその雑誌を買ってなかったんだヨネ。

小さくゴメンネとツブヤくも、とき既に遅し、コボれたミルクと解散を余儀なくされた編集部は元には戻りません。
クチは出してもサイフは出さなかった、文字通りフトコロの小さい自分に、ムネをチクリとイタめた経験のある方も多いでしょう。
後悔先に立たずですし老獪じーさんも立たないモンは立ちません。
後ろ暗い思いをする前に、おフセはちゃんと納めておきまショネ。

『 BURRN! 2011年 9月号 』

コレはバーン・コーポレーション発行で、シンコーミュージック・エンタテイメントから発売されてる、中綴じ形態の月刊誌。
毎月5日発売、9月号は8月5日に発売された号です。
今回の表紙を飾るのは、モトリー・クルー(Mötley Crüe)さん。
字ヅラだけで一瞬モーター・ヘッド(Motörhead)かと思って、ヌカ喜びしてしまった方は、ワタシを含めて少数派かと思われます。


★この雑誌を定価購入するのは、今年の2月号に続き生涯2度目。
今回の表紙はどう見ても優等生とは考えられない、コワモテのイケメンらしき、髪の毛でおカオが見えないお二方。
その迫力と言うかボリュームにちょいヒルみながら購入しました。
でも前回購入した際に表紙だった、トバしすぎ修正しすぎでもはやまったく原型がわからない、まんマル顔の男性よりはステキネ。

そーイヤこないだ古本で購入した号の表紙も、衝撃だったなあ。
コレがドナタとは、クチが裂けても言えませんがネ。
トテツもなくマッスグでごリッパな鼻スジと、キリリと引き上がりすぎた目元に、もうギョウテンしてしまって。
イエつまり、こんなにカンペキにすぎるおカオを持った美しい男性が、この世にいらっしゃるとは思わなんだってハナシですヨ。

まあこのような、硬派な雑誌に対して申し上げる感想ではないんでしょうが、門外漢にするとイロイロと衝撃も多いんですヨ。
この表紙で売れるのか知らん、一度はテに取ったものの、購入できずに立ち去るひともいるんじゃないか知らんって。
今回の9月号の表紙のように、ある程度の一般性もコレからは大事じゃないかと思うんですがねえ、どうでしょうか。

ママママ過去のコトはさておきも、今回の話題に戻しましょう。
この雑誌は、ヘヴィ・メタル/ハード・ロックの専門誌。
そしてワタシは、門外漢のムチモーマイの硬さズ。
どうしてこんなヤツがワザワザ定価で購入したかってえと、このブログを読んでくださってる方には、言わずもがなですネ。
理由は1つしかございません。


★キッズたちの夢にマボロシ、エクストリームの山下財宝、世界中の賊どもが押し合いへし合い奪い合う。
キリリと巻いたバンダナ麗し、片手に偃月片手にマイク、姓はシェローンのナはゲイリー。
ゲイリー・シェローン率いるハートスマイルをおう、ア知らぬとはあ、言わせぬう~うぞお~う。

スミマセン、おフザケが過ぎました、関係各位に陳謝します。
要するに今月の『BURRN!』には、ハートスマイル(HURTSMILE)の記事が載ってますヨ、ってお知らせなんです。
雑誌掲載の記事についてココで書いてしまうと、あっと言う間にすべてお伝えしきってしまうので、ミナまでは言いません。
でもネ、スゴいの、ナンとナンと6頁も掲載されてんの!

買おう!買おうネ!買ったヨネ!買いなヨ!買うのヨ!買いなさい!
てか買って!買ってヨ!買ってってば!・・お願い、このとおり。

今回のスバラしツアーのライヴ・レポートと、ゲイリーちゃん&マークさんお二方への、水より濃ゆいインタビューが掲載!
そしてファンならスイゼンモノの、ゆるい情報やマメ知識がマンサイ、ナットク確実充実ページの雨アラレなんです!
こりゃあもう買うしかない、さあ今すぐ本屋をタタキ起こして、脅迫してでも買いに急ごう!

イヤホントに、来日ツアーに行かれた方にも次回に持ち越しの方にもオモシロい、かなり楽しめる記事なんですヨ。
緊張感溢れるライヴのショットから、リラックスしすぎだろって笑顔のフロントマンお2人まで、お写真もたくさん載っております。
コレをお読みのミナサマにゼヒ購入していただきたいと思います。

残念ながらワタクシには、ハートスマイル以外のバンドがほとんど、イエ実は1つもよくはわかりませんでした。
知らないドコロか、バンド名さえ読めないというテイタラク。
悲しいカナ、プログレ関連のチマい記事しかわかりませんでした。
でもこのジャンルに興味のある方ならきっとご存知の、業界VIPの方が多数、掲載されてる様子ではございましたヨ。

本誌を買ったコトあるって方も、買ったコトないって方も大丈夫。
取りあえず今回の表紙は一般人でも買える範囲内のデザインです。
ゼヒゼヒ、ミナサマお誘い合わせの上、こぞって買いに行ってみてくださいネ。
オトナの勇気を知らしめるなら正にココ、ココが正念場ですヨ。
ヨロシクお願いしましたからネ。


【本のお話。】

★さて本日はコヨミの上では秋とはいえ、まだまだアツい日の続く今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。
最近ではこの猛暑に一日の半分以上をこの世でない世で送る、ウィルソン先生とワタクシ、向うの風はナンだかとっても涼しいのヨ。
丸い石を積んでムジャキに遊ぶコドモたちを横目に、河原で佇んでいると、親切な船頭さんがおフネを出してくれてネ。

寒いくらいの風がソヨ吹くとともに、アラ気がキいてるわネ、この季節にピッタリの風鈴の音色まで聞こえてくるじゃないの。
コドモたちは相変わらず石を積んでるんだけど、暴れん坊の酔漢みたいなひとが、石をぐあんらぐあんらと崩してまわってんのヨ。
きっとバーベキューしに来たアホ大学生ヨ、きっとゴミも放ったらかしで帰んのヨ、コレだから大学デビューはイヤんなるヨネ。

でもコドモってのは遊びにもケンメイなモン、特に脇目もふらずまた石を1から積み直しては、カ細い声で、“1つ積んでは父のため、2つ積んでは母のため”なあんて可愛らしい歌を歌ってる。
こんな親孝行な歌、最近の「みんなのうた」に載ってるのカナ。
ソレじゃあワタシもソロソロおフネに乗って、避暑地でバカンスを送りに行こうカナ、ナスのゴヨウテイみたいのだったらいいナ。

あと1歩でフネに乗り込もうとした正にそのとき、ドコからともなく声が、声が聞こえる。
“本日・・セール初日・・在庫一掃決算処分・・お品物は十分ございますのでえ・・押さずにゆっくり前へお進みくださあい・・新古品70%オフ現品限り・・プログレ廃盤貴重盤多数入荷・・タダ今500枚拡充いたしましたあ・・今からタイムセールでえす・・”

その声にハッとワレに返ったワタシ、こんなトコにもレコ屋が?!ドコ、ドコの河原前店?!やっぱニッパチだから?!ヤバい出遅れた~!!と一目散に駆け出し、積み石をケ飛ばしながら市街地へ。
フと気が付くとレコ屋帰りに寄ったはイイが、あまりのアツさに体力を使い果たし眠り込んだワタシを、プログレ・バーのマスターは優しく見つめてくれていました・・。

とまあ、盛夏の折りにはこんなコトも起こりがちなので、みなさんもお気を付けくださいネ。
ココじゃないフオンな場所だと、タタキ出されたり、オーダーにステキなオプションが自動的に付いてたりするヨ!

コリン・ウィルソン『コリン・ウィルソンの殺人ライブラリー 1 殺人狂時代の幕開け』
( COLIN WILSON “ COLIN WILSON'S WORLD FAMOUS MURDERS ” )

わたしが読んだのは、青弓社からのハード・カバーの本。
邦訳は1994年初版、原書は1993年に発行されています。
前回もコチラで取り上げた、モノすげえタイトルのシリーズ『コリン・ウィルソンの殺人ライブラリー』の中の1冊。
編集者の邦訳センスがキラリと光る逸品、スゴい決断力です。

前にこのシリーズは日本独自企画じゃないか、という風に書きましたが、どうやら原書に於いても分冊のシリーズらしいです。
モチロン邦訳タイトルは、独自企画の独自センスですヨ。
今回ご紹介する本作が、シリーズ1作目なので、コレが“第一篇”であるコトが明記されてました。

本作第1巻の原題は『Gaslight Murders』=ガス燈時代の殺人者。
ナカナカ詩的でロマンチックな表現、ウィルソンちゃんも読者の想像力を考えて、付けてる感じです。
そりゃそうネ、いっくら中身がアレでもタイトルくらいはマトモに付けたいってのが、作者のおミエですモンネ。
そんな著者のデリカシーを踏みにじるのは、ダレだったのカナ。

所で“殺人図書館”なんてモンがホントにあったら、思わず行っちゃう好事家は、ワタシを含めて人口のごく一部の人間でショネ。
でもきっとニッポン全国津々浦々から、イヤに熱心な利用者が、ソコ1箇所に集結してしまうんだろうナ。
近隣の商業施設などがお困りになってる光景が、メに浮かぶよう。
計画と同時に、住民による建設反対運動が起こるのは必至です。


★本作はタイトル通り殺人事件の黎明期について書かれた本です。
この場合の「殺人事件」は身辺の安全や食物を巡る、イニシエの時代から存在する争いに付随する殺人を除いて起きた、現代性の高い事件を示します。
例に取ると、資産/愛欲/自尊心の補完など、主には個人に属する利益を目的にしたモノです。

黎明期だけあってココで語られているのは、ほとんどが18~19世紀の事件にまで遡る、一般にはナジミのない事件ばかり。
ワタクシ個人も、イロイロ読んでいるつもりでも、知っていたのはやはり数件しかありませんでした。

この本では比較的小さな事件が細かく、ホントにたくさん紹介されていて、いわゆる歴史的な大事件というのは「切り裂きジャック」の事件くらいしかありません。
そういう事情もありますので、今回は事件名の抜粋は控えます。
楽しみにしれくれたキキョウな方には、ゴメンナサイ。

そんなサマツな事件の数々を知っているのもどうかとも思いますが、もし知っていたとしたら、ソレはソレで一部の人間からは賞賛されると思いますのでネ。
オレこそはっていう、そのミチの猛者はゼヒ実際に読んでみて、ご自分の力量をゾンブンに試されるとヨロシイかと思います。

前回コチラに書きましたシリーズ第3巻『殺人の迷宮』は、迷宮入りの殺人事件という特殊な例というコトもあり、文章ばかりという印象がありました。
対して本書には古い事件とはいえ、捜査状況がキチンと残されたモノも多く、比較的図版や資料がたくさん掲載されています。

近代に起きた注目度の高い連続殺人事件などとは、また事情が違いますが、コレはコレでヒジョウに珍しい資料。
まず言及される機会じたいが少ないし、ソレらに関する図版は各国の国立図書館や、警察関係機関にしかない場合が多いからです。
そういうイミでは、オモシロい資料をアサりたい方にも、オススメ出来る本だと思います。

タダねえ、やっぱウィルソンちゃんのほかの著書に比べると、ちょうっとボリューム不足の感は否めません。
原書からして分冊ってこたあ青弓社さんを責められないけど、せめて上下2冊にまとめる、ってテが妥当だったんじゃないかなあ。
ソレかもそっと定価を抑えないとさあ、キツいんじゃないスか。
1冊アタリ2000円超ってコトは、4冊で8000円以上だからネ。

装丁すっごくキレイで妖しいし、紙質も良くって雰囲気たっぷり、マニアのキモチをよっくわかってくれるのは嬉しいんだけどサ。
1段で文字も天アキもデカイとサ、ナンかソンした気になっちゃうじゃない。
まあこういう本を読むのに、コスト・パフォーマンスをウンヌン言っちゃあ、イケナイのかも知れませんがネ~。


【プログレな音楽のお話。】

★さて本日は夏真っ盛り、この季節にフサワしいイベントと言えば“ドキッ!マルごとオッサン!マニアだらけのプログレ大会”。
ええ、ええ、モチロン期待するのはアレですヨネ。
言わずもがなのお約束、サービス・ショットもマンサイです。

汗がポロリメガネがポロリ腕時計がポロリ、日頃はマジメなオジサマたちがセールに奮闘、思わず見せるアラレもないお姿。
白い二の腕がプヨプヨと悩殺、座り込んだ背中のTシャツからカイマ見える、フワフワ揺れるウブ毛がタマリません。
でも彼らのメは真剣ソノモノ、掘り出しモノを探すのに夢中です。

オッサンたちが血眼になって一生ケンメイな姿って、良いヨネ!
ボクらはそんな彼らを、スケベ心マル出しで応援しちゃいます!
今回お届けする映像は東京・大阪・名古屋・仙台、4都市に出没するピチピチのマニアたちの、エネルギッシュな姿を地方別に収録。
タマにコボれる方言を交えた一人ゴト、その土地で異なる人気ジャンル、彼らがゲットしたおタカラ盤も本人のクチから大公開!

特典映像としてレコ屋巡りの合間にルノワールに入り、その日購入した掘り出しモノを吟味しながらひとりエツに入る、本人にはナイショのヒトコマを収録。
思わず見せる何気ない表情、荒い鼻息がもうゼッピンです!
モチロン新機能、超高性能ズーム・アップ・システムも採用。
おヒゲの剃り跡も生々しく、毛穴の奥の奥までマル見えなんです!

今回だけの購入特典、今ならレコ屋巡りの必須アイテム、おテテをホコリから守る特製ウェット・ティッシュも付けちゃいます。
コレさえあれば、きちゃなくなった指先を店員さんに見られたカモ相当回ってんなコイツって見破られたカモ他にするコトないんかいって思われたカモ、なあんて恥じ入る瞬間から解放されますヨ。
さあこの機会にゼヒ!お申し込みは24時間受け付けております!!

デヴィッド・ギルモア 『 アバウト・フェイス 』
( DAVID GILMOUR “ ABOUT FACE ” )

わたしが聴いたのは、ソニーからの国内再発盤(規格番号SRCS-6406)で、定価1800円の廉価盤シリーズ「ナイス・プライス・ライン」の中の1枚です。
原盤は、1984年のリリース。
邦題には『狂気のプロフィール』というのもあるので、お探しになる場合は、コチラもアタマに入れておくとヨロシイかと。

デヴィッド・ジョン・ギルモア(David Jon Gilmour)は、イギリスのギタリスト/音楽家です。
プログレッシヴ・ロック・バンド、ピンク・フロイドでも、ギターとヴォーカルを担当しています。
当時フロイドの中心的メンバーであったシド・バレットが、ドラッグ禍により離脱、その後任ギタリストとして加入しました。

叙情的なギター・サウンドが特徴で、フロイドの音楽性を表現する際の、代名詞ともなっています。
同バンドの元ベーシスト、ロジャー・ウォーターズとの確執も取り沙汰されましたが、現在では自他共に認めるリーダーとして、作曲面で大きな役割を担っています。
本作はそんなギルモアの、2枚目のソロ・アルバムに当たります。


★プログレのミュージシャンらしからぬおカオの広さ、交友の広さが、イカンなく発揮されてる本作。
イエ決して、その独特の顔貌のおハナシじゃございませんヨ。
参加しているアーティストが、とっても豪華だってコトです。
まずはカナダの名プロデューサー、ボブ・エズリンが、本人との共同プロデュースで参加。

そしてザ・フー(The Who)のピート・タウンゼントが、作詞を2曲担当しています。
このお2人、ナンとはなしに共通点がありそうです。
父親に“オトコはカオじゃないんだゾ、大切なのはハートなんだゾ”って言われて、キズ付いたコトがあるとかネ。

脇を固めるミュージシャンは以下の方など大勢いるんですが、ちょっとどうしたのか知らんって思うホド、モノ凄い顔ブレです。

ジェフ・ポーカロ(Dr./TOTO )
ピノ・パラディーノ(B.)
スティーヴ・ウィンウッド(P./Or.)
ジョン・ロード(Syn./ディープ・パープル)

ギルモアさんは人格者なんですカネ、すげえ人脈だヨ。
ジャンキーとかクレーマーとか、個性的にすぎる人間の間で揺れながらもメゲずに頑張る、努力家の一面があるとかネ。
さっすが永遠愛され系プログレ・バンド、ピンク・フロイドの現リーダーです。

つまり性格さえちゃんとしてれば、メンバーをラチったり監禁したりしなくても、みんな寄ってたかって惜しみない協力をしてくれるってコトか。
ドッカのアクトク商事の会長サンみたいな人も、ちったあ見習ってイイ加減にしとかないと、そのウチ銃剣で刺されますヨ。


★でもまあしっかしナンですネ、このアルバムってそのワリにナンと申しますか、ナンと言うこたないと言うかナンな出来っつうか、ナンつうナンは無いけどもナンとも言い難いですナ。
相変わらず音はキレイだし、ポップさのある曲なんかも入ってて、ヴァラエティに富んだ内容。
要所々々で、やっぱギルモアだ~って感じるサウンドも出て来る。

但しプログレとかフロイドのファンが期待するような、肝心カナメの作り込み、言い換えれば執念深いくらいのコダワリが見えない。
ちょっとソボクって言いますかモッタリって言いますか、正直イナカクセえアルバムだナって、思っちゃいました。
アコースティックだからそうだってんじゃなく、圧倒的にアカ抜けてない、ってイミです。

ケッコウ売れ線っぽい思っきしのロック・ポップ・ソングに絡む、ボクトツ~っとしたヴォーカルがイケてナイのかも知れません。
インストゥルメンタルやミドル・テンポの曲はかなり良くって、ステキな曲とアレンジだなって、スナオに思いました。
どう考えても、ギターの音色を中心にした曲の方が、構成も含めてウマくいってるような気がします。

実力派ギタリストがソロ作で歌って成功した例って、今まで見たコトないんですけど、ソレでもやっぱ歌いたいモンなんですカネ。
ギルモアのヴォーカルは、決してヘタじゃあありません。
相対的に言ってもムシロ上手な方だとは思うけど、真ん中に据えちゃうと、収まりが悪いような気がするんですヨネ。

1秒でも多くギターの方が聴きたいって思っちゃうから、耳がソッチ向きになるファンの聴き方が、偏ってるのか知らん。
声に関しては、彼のロバート・ワイアットに対しても思うトコロがございますが、どーも生理的な好悪も出てしまうモンなのカモ。
フロイドに興味のある方は、そこんトコ確かめるためにも、ゼヒ本作を実際に聴いてみてくださいネ。


★ワタクシの今回の一番の収穫は、ピノ・パラディーノさんのベースを知るコトが出来たって点につきます。
ホント、ギルモアちゃんにはゴメンナサイ。
いっやあ知らなかった、すっげえカッコイイ、マジでヤバいの。

ベースの音が響いた瞬間から、スーーーッとアチラ側に、持ってかれるかと思いました。
桃源郷のようなヨモツヒラサカのような、トニカク尋常じゃない世界を感じる、不思議サウンドです。
こういうベースの音って、初めて聴いたような気がするんだけど、ナンか特殊な弾き方とか楽器なんでしょうかネ。

コレからこの方の音源も、掘ってかなきゃなんないナって思ってますが、特にはプログレ関連の方ではないのカナ。
あんまし情報が得られてないので、そのアタリも引き続き、勉強してきまっす。