第十三章 コンタクト

 「お前たちは、地球を破滅に導く種族の末裔か?」唐突に、しかしはっきりとわかる英語で通信が届いた。このことはすぐさま桐谷に伝えられた。英語が通じるのだ・・・。かれは「我々は滅びの道を歩む地球人類の最後の希望として金星にやってきた。」と返信した。

 「平和を望むか?」再び通信。桐谷は直ちに「平和を望む」と返信した。

 少し間があって「地球人類はその歴史の中で争いばかりだったではないか?君たちはそうではないというのか?」これには「われわれは、そういう歴史から脱却し平和な世界を構築しようと金星にやってきた。地球が自滅し、ふたたび争いのない世界になれば、われわれは地球に帰還する」と答えた。

 「代表者と対面で会談したい」としばらくして通信があった。桐谷は「君たちの居住環境では我々は生存できない。そちらがこちらに来るというのならば拒みはしない」と答えた。「了解した。こちらにも準備が必要だ」と返信があった。

 その後、幾たびかの交信を経て、会合は桐谷の居住するコロニーの会議室となった。先方の意向に沿い双方とも感染防御仕様のボディースーツで、かれらは気圧・重力をかれらの最適な条件にする装備の搬入を申し出た。桐谷はすべて了解したと伝えた。会談は数時間後に設定された。