もう何もかもが嫌になってしまった。一体私は何の為に産まれてきたの?優しかったパパやママはどこへ行ってしまったの?楽しいって何?嬉しいって何?
左手から流れる赤い色をした液体を見ても生きている実感すら感じられない。
あれはそう、私が中学に入った夏の日だった、突然無言で入ってきたパパに違和感を感じて『どうしたの?』と、問いかけたと同時にそれは始まった。無言でベッドに押し倒された時、パパの目を見たときゾッとした・・・赤と黒のコントラストが強烈過ぎて眩暈を起こしそうになりながら抵抗したところまでは記憶に残っていた。今でも夢に見る。でも助けを求めてもママは来ない。
ママはパパに私を売ったのだ。
自分のしていることを正当化するには丁度良いのかもしれない。私への暴力。
それを自ら手を下さずとも実行するパートナーがいるのだから。腕に、腹に、背中に、無数のあざや擦り傷ができていた。周囲からは評判のママ。裏腹に家庭では娘を虐待している。私は一体誰の子供なの?家族って?あの人達は何かに取り付かれてしまったのではないかと思う、普段はごく普通の家庭なはずなのに、二人きりになってしまうとそれは音も無くやってくる。耐え切れない。どうやってこの先暮らしていけばいいの?でも、それも違うよね。そもそも生きていくつもりが無いのだから、暮らしていくことを考えること自体が、おかしんだけど・・・
白く靄がかかってきて暗くなってくる。もう少しで生きなくても良いんだ。そんなとりとめも無いことを考えていると、何かが私の手を引っ張る。誰?何故?私は死にたいのに…やめて!お願いだから私を苦痛から解放して!
「死ぬことだけを考えていても何も変わらないんだよ。」
はっきり見た。そこには温もりが感じられる。意識が遠のく瞬間だからかもしれないが、その優しい笑顔には光が差していた。前に一度だけ見たことがある。少し面長の整った顔…
気がつくとそこは病院のベッドの上だった。ママが微笑んでいる。また死にそこなったのね?と失笑しているように見える。何かを話しかけているけれど、私にはその全てが悪意に満ちた言葉にしか聞こえない。実際には意識がはっきりしないから聞こえてないんだけどね。私、また生きていなくちゃならないのかな…そう思いながらも何気なく周囲を見渡すと、もう一人誰かがいるのが分かった。最後の間際にみる幻覚じゃなかったんだ。でも何故?あれ以来私のところへは一度も来てなかったのに。むしろママと面識があったはず。どうして?
「死ぬことなんて無いんだよ。まだ若いんだから人生を楽しまないとね。」
あの時と同じ、優しさとぬくもりに満ち溢れた雰囲気と言葉で話しかけている。何故だろう。いつもならこうなった時、周囲のどんな音も聞こえないはずなのに、彼の声だけは聞こえてくる。
つづく・・・