こいつは1から10まで説明を必要とする人間には読まれたくない。
その場の雰囲気をすべて台無しにするからだ。
だから黙って読む必要がある。
この時間の俺は、本当の俺かもしれない。
すべてのむかつく事が許される。
ビッグスクーターで女を送ってきた野郎がささやく甘い言葉も
ビッグスクーターの爆音も、
むかつく上司だろうが、
ロハスだろうが、
好きだった女だろうが・・・
ALL・・・OK・・・
そこはマンションの2階のベランダだが、この窮屈さがたまらなくいい。
明かりはアロマキャンドル一つ。
ビールと手製のつまみだけで十分。
後はJAZZがあればそれでいい。
まあソニーロリンズやマイルスデイビスあたりなんかでも
いいんじゃないだろうか?
ベランダに胡坐をかいてビールを飲み、
タバコを吸い、
つまみを喰う。
足りないものといえば、
こんな俺を好きでいてくれる女がいないだけだろう。
だが、そんな不完全さが俺を生かしているのかもしれない。
タバコをゆっくりとすいながらガスで曇った薄明るい空を眺める。
すべてが許されるアウトローな時間。
これができるのも、昼間の自分がいるからこそなのだろう。
人に本気で起これない。
仕事となると無理にがんばってしまう。
人の世話を焼いてしまう。
人の嫌がる仕事を請け負う。
昼間のうちに乾ききった心と体がこんなことで癒される。
もっと若い奴には理解できないだろう。
いや、理解しないほうが良いだろう。
19、20なら無茶をして、誤魔化し、騙し、怒り、笑い、泣いて
突っ走っていくことが大事だろう。
この時間の俺ならそれも許してしまう。
大事な人生を歩んでいるんだな・・・と・・・
こんな自分になったのも
小さいころから受けたイジメや
家庭のゴタゴタや
兄弟の醜い争いや
その反動で中学から心得た二面性や
中一で抱いた女や
かっぱらった原付や
俺を一番にしなかった恋人たち
その他大勢のクソ益体も無い連中のおかげかもしれない。
だがそのすべてが許される時間。
昼間の明るいうちは許さないだろう。
だが今は、そのすべてが許される時間。
こんな俺を好きになったら不幸だろうな。
でも、それを笑って許してくれるなら、俺も好きでい続けよう。
そんなくだらないことを考えることも許される。
世の中のどんな出来事だろうが
今の俺には無関心でいられる。
人生27年にしてようやく得た至福の時間は
たくさんの不幸な出来事から産まれてきたのかもしれない。
そしてまた、明日の陽が昇るころには
俺はいつもの自分の鎧を着こんで
仕事にせいを出すことだろう。