【教育岩盤】揺らぐ人材立国③

かい離する理念と現場

指導要領、脱「ゆとり」で膨張


2022/5/4(水)の日経新聞朝刊より


記事のポイント

・「授業は英語で行うことを基本とする」。2021年春に実施された中学校の英語の学習指導要領にこんな一文が加わった。

・公立中にはアルファベットの読み書きがおぼつかない生徒もいる。教師は授業で英語で指示をした後、教科書を閉じたまま生徒のそばで日本語でつぶやく。それが現実。

・小中高校などで学ぶ内容を定めた学校指導要領は1947年以降、教育の専門家で作る審議会の議論をもとに10年ごとに改定を重ねる。

・全国どこでも同じ内容を学べる仕組みは国民の教育水準を底上げし、経済復興を下支えした。

・一方で成功体験は抜本的な見直しを阻む壁となり、改訂は新たな要素を積み上げるルーティン作業と化した。

・最新版の特徴の「主体的・対話的で深い学び」(アクティブラーニング)について、公立小の教師は授業の最後に数分間、意見交換させるのが精一杯という。「毎回やると学習範囲が終わらない」

・高校は22年春から「情報」の授業でプログラム作成を必須にした一方で専門教育が足りず、他教科の教員が担当する地域が出る。

・国が指導要領の拡大に歯止めをかけようと学習内容を3割減らして自ら考える力を養うとした「ゆとり教育」は無惨な結果だった。

知識の「注入」と「活用」のどちらを重視するかで揺れ動いてきた指導要領はゆとり批判の後、学習内容を削れなくなった。

・広がる現実と指導要領の差は、教育専門家が10年ごとに集まって作る手法の限界を映し出す。前例踏襲と内向き体質から脱し、社会の変化を先取りできる人材の育成につながる仕組みを作らなければ日本の教育は漂流を続けるだけだ。


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「世の中に正解はない」

これは私の考え方の大原則のひとつです。


そのために何かを行うときは、まず何を目指すのか(「ゴール」「ミッション」「パーパス」など)を明確にしてから取り組むことが重要と考えています。

明確にした「ゴール」に向かって、自らが決めたことに取り組む。結果を定期的に見直し、必要に応じて修正する。これを繰り返す



今回、学習指導要領を初めて見てみました。

『「生きる力」学びの、その先へ』のタイトルで、「何を学ぶか」「どのように学ぶか」「何ができるようになるか」をポイントとして、具体的に「やること」が書かれていました。

しかし、「どのような人材を目指す」のかは理解できませんでした。

https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/index.htm


これまでの日本の教育が「平均的な人材を大量に育てる」ことで、国民の教育水準を底上げし、経済復興を下支えすることに多大な効果があったことは間違いありません。


しかし時代は大きく変わっています。

これからも「教育水準の底上げ」を目標にするのか、逆に「上を伸ばす」ことに注力するのか、あるいはそもそも学習指導要領は必要なのか?、・・・。

時間をかけてでも、まずは何を目指すのか「ゴール」を明確にすることが、結局はいちばん効果的ではないでしょうか。


追伸

「ゆとり教育」はゴールが悪かったわけではなく、「やること」が「ゴール」に向かっていないことが問題だと感じます。

円周率の3.14を3にしても、「自ら考える力」は養えないですよね。


芦屋みちお