【教育岩盤】揺らぐ人材立国④

「合格歴競争」格差を再生産

難関突破 親の経済力次第


2022/5/5(木)の日経新聞朝刊より


記事のポイント

・慶應義塾を創始した福沢諭吉が「門閥制度は親の敵」と訴えたように、日本の近代教育は身分に関係なく有為な人材を育てる目的で始まった。学校は平等な機会を開く装置とされた。

・100年以上がたった現在、学校は格差構造を再生産する装置になっている。多額の塾代をかけないと難関大合格はおぼつかない現実がそれを物語る。

・東大合格者は私立中高一貫校の卒業生が多数を占め、学生の54%は年収950万円超の家庭出身

・少子化と大学増で、えり好みしなければ誰もが大学に入れる時代になった。それでも難関大を目指す「合格暦競争」はやまない。

・ハーバード大のマイケル・サンデル教授は、米国では恵まれた境遇で育ち難関大に入った「能力主義的エリート」が特権を享受し、敗れた層を見下していると指摘。軽んじられた人々の怒りが米社会の深刻な分断を生んだとする。

・似た環境で育った「エリート」だけでは複雑化する社会の舵取りは難しい。平等な機会の提供と有為な人材の育成という役割を果たせるか。学校が問われている。


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みなさんは「限定品」に興味をそそられたことはありませんか?

3日間限定のスイーツ、限定10名様のスペシャルな旅行、限定100点の有名人◯◯さんとのコラボ商品など。


一流大学も一流企業も、ある意味「限定品」です。

欲しい人はたくさんいるのに、提供される数は限られている。そうすると、何らかの方法で手に入れられる人を選ばなければなりません。


みなさんなら、どんな方法がいいですか?

私は選定基準には「納得感」が大事だと考えています。「自分ではどうにもならないこと」が選定基準になっているより、「何とかできる可能性があるもの」のほうが、仮に選ばれなかったとしても納得感がありますね。


記事の中では、「東大合格者の54%は年収950万円超の家庭出身」と、親に経済力がないと合格は難しいように書かれていますが、逆にいえば「46%は950万円以下」の家庭出身ということです。

そう言われると、受ける印象がかなり違いませんか?(行動経済学でいうところの『フレーミング効果』)

一方で、年齢や性別や国籍などが選定基準だと、自分ではほぼどうすることもできません。


さらに私は教育(学び)は、もっとも”コスパのいい投資先”だと思っています。

不動産などは人口減少の影響で将来的に目減りする可能性が高いですが、学びは目減りするどころか、メンテナンスを続けていけば、将来的に増える可能性大です。

親が子どもに資産として残そうと考えるのも、自然なことではないでしょうか。



日本の場合、最初に入る会社、そして入り方(正社員かどうか)で、その後のキャリアが大きく影響を受けるので、ますます最初に”良い会社”に入るための切符として、一流大学卒の学歴を求める人が多いのかもしれませんね。


最初の学歴に加えて、仕事を始めてから習得したスキルや経験でステップアップできるようにキャリアの流動性が高まれば、少しは変わってくるのかもしれません。


追伸

ご参考までに、私は親が金持ちでもありませんし、一流大学卒でもありません。

子どももいませんし、残すほどの資産もありません。それでも結構楽しく暮らしています(笑)


芦屋みちお