本日もご覧いただきありがとうございます。

 

本日は、予告通り須磨学園夙川中学校のお話をいたします。

 

昔は夙川学院中学校、といっていた学校ですが、昨年に須磨学園さんのグループに入り、夙川中学校として再スタートを切りました。

須磨学園さんの教育方針を共有することとなり、キリスト教系から離れたこともあり、大きくイメージを転換しないといけません。切り替わりが認知されるに従って、志望者は増えていくものと思われます。

 

すべてのテストは100点満点です。

第1回だけは国語・算数が50分、理科40分(算国の2科目か3科目の選択)、第2回以降は

算数50分、国語・理科は40分(算数+国語か理科の2科目》となります。

 

軽く、各科目の入試についてお話ししましょう。(国語は出典解説もあるので「軽く」ではないですが。)

 

《国語》

第1回 
第一問 斎藤喜博さん『君の可能性』(『ちくま少年図書館』第三巻・1970年→ちくま文庫・1996年7月)
(なぜ学校に行かなければならないか、自らの可能性・未来への展望を考える上で不安をどのように乗り越えていくか、といった筆者自身の経験や体験を元に書かれている名著。ただ、入試問題として手垢がつきすぎているくらいのものなので、どこかで目にした受験生も多かったかもしれない)
第二問 三輪裕子さん『優しい音』(小峰書店・2009年12月)
(仲間はずれになった因みの携帯電話に1通のメールが届く。メールの言葉に励まされつつ、何とか学校生活をやりきって、千波は卒業式を迎える。というストーリーの前段階にあたる、「仲間はずれのきっかけ」が見えるシーンが引用されている。ちなみにタイトルの『優しい音」はその携帯にメールが届いたときの着信音を指している。これも文章としては10年前の作品のため、古くからの名著を2題とも出してきた印象が強い。)
第2回 
第一問 池谷裕二さん『進化しすぎた脳』(講談社ブルーバックス・2004年10月)
(脳科学の視点をベースに、「恐怖」などの感情がどのようなメカニズムで生まれてくるかを記した文章。講義形式の文体をとっており、読み手に対して語りかけるような形で書かれている。が、専門用語の応酬になっているため、理科系説明文の中でも屈指のややこしさを感じる受験生が多かったかもしれない。)
第二問 津原泰水さん『ブラバン』(バジリコ・2006年→新潮社文庫・2009年11月)
(高校卒業から25年ぶりにかつての吹奏楽部を復活させようという動きが持ち上がる、現在と25年前の高校時代をオーバーラップさせながら書かれた青春小説。引用されている部分は文化祭にて自分たちの演奏したい曲と当時の顧問の先生とが(相手を尊重しつつも)ぶつかるという場面。それぞれの人物の内面と思い、意図が見えるかどうかは勝負の分かれ目。)
第3回 
第一問 上田紀行さん『愛する意味』(光文社新書・2019年6月)
(日本人が幸せになれない1番大きな原因は「愛していない」ことにある、と説き、「愛されること」を優先させている状況を問題視している哲学系説明文。引用されている文章もそれによって人生が変わる、ということを丹念に説明している部分。難しさはなく、淡々と読み進められたと思われる。
第二問 芥川龍之介さん『魔術』(『赤い鳥』・1920年)
(我欲を捨てることを条件に魔術を習得しようとする主人公が最後の最後で良くを捨てきれないことが明らかになって現実に引き戻される、という予定調和を大きく崩しにいった名作。言葉こそややこしいもののストーリーは一直線のため、丁寧に話の筋をつかめたかが問われた。)
第4回 
第一問 イルセ・サンさん『心がつながるのが怖い』(ディスカバー21・2017年9月)
(デンマークの心理療法士である筆者が、関係が壊れて傷つくことを恐れるあまり、最初から関係が深まらないようにして、相手から遠ざかるような言動を繰り返す人(自己防衛のために)を題材にまとめた書籍。引用されている場所は母親の立場になった人物が、子どもたちが自分に悩みや困ったことを相談してくれないのはなぜか、という理由に気付く、ということを順序立ててまとめられた部分です。文章も短く、じっくりと読み込んで正解にたどりつきたい設問ばかりです。)
第二問 光野桃さん『実りを待つ季節』(『ヴァンテーヌ』連載→新潮文庫・2000年1月)
(家族の生活を題材に、一つ一つの思い出を丁寧にまとめた随筆集。引用されている場面は母親が父親と一緒に自転車で通勤がしたいから、ということで練習に励みつつ、かつての筆者が自転車の練習をしていたことを思い出す、というもの。人物を整理しつつ読まないと混同してしまう可能性がある)

 

国語の先生の中に、「ビジネス書系を選ぶ先生がいらっしゃるなあ」ということも記しておきます。駅の中にある本屋さんにおかれている書籍が題材になっていることが多いな、というのが去年と今年の印象としてあります。
ディスカバー21とかはまさにそういうたぐいの書籍ですからね。サラリーマン向けの啓蒙書的な書籍が多い出版社ですから。
 

《算数》

基本的な枠組は須磨学園さんと同じく「計算+小問+大問3つ」。制限時間の違いなどもあって若干手加減はされているように見えるが、本質的に試される実力は変わらない。

図形問題が多い傾向も同じなので、練習量をしっかり取って考え方、図の読み方を鍛えておくことが大切。

 

《理科》

算数同様、須磨学園と同じく4題で4分野を網羅する形。時間が短いぶん問われる知識は平易で考えさせる問題は少なめ。計算量も少ないので、「計算問題を確実に取る」ことが1つのポイントになるかも。資料の図版がまぎらわしいことがあるので、落ち着いて見比べることが求められる。

 

点数的にはやはり「受験者平均より各科目5~10点上」を目標にすることになります。

現在はまだ6割程度、というところなので「得意な科目で逃げ切る」ことも可能なのですが、近い将来それが難しくなっていく可能性は高い、と思っています。

1段階差をつけたい、ということであれば須磨学園さんの問題での練習は助けになるでしょう。

 

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