平凡社版『世界大百科事典』のウソ① | 足尾鉱毒事件自由討論会

平凡社版『世界大百科事典』のウソ①

平凡社の『世界大百科事典』といえば、一番人気のある百科事典ですが、同書における「足尾鉱毒事件」の解説は、政府と古河鉱業を厳しく批判する内容で、歴史的事実を完全に逸脱しています。たとえば、ここには、


「政府は古河に鉱毒予防工事命令を下したが、工事はきわめて不完全なまま認可され、煙害の被害地である上流の松木村は1901年ついに全村移転し消滅した。」


と書いてあります。
しかし、当時の技術レベルでは亜硫酸ガスによる煙害を防止するのは、絶対に不可能でした。
だから、古河鉱業は総額4万円(今なら4億円)を払って、戸数40ほどの松木村に立ち退いてもらったのです。
この事典は、渡良瀬川沿岸の鉱毒汚染農地は数万ヘクタールと書いていますが、鉱毒被害のほとんどは水質汚染によるこの広大な農地です。
そして、予防工事の効果によって、5,6年後にはこの広大な被害農地が旧に復したのです。
つまり、事件はまさに見事な解決を見たわけです。
だからこそ、農民たちは田中正造に感謝し、尊敬したのでしょう。
ところが、解決したという事実は事典には全く書かれていません。
これは明らかに読者をだますための欺瞞であるといえます。百科事典として許されざることではありませんか。