菅井益郎の回答③ | 足尾鉱毒事件自由討論会

菅井益郎の回答③

小学館編集部宛の菅井益郎の手紙は、しきりに工事の欠陥を強調しています。


「予防工事が不完全だったことは、明治30年の予防工事後も追加的に予防工事命令が出されていることからもわかりますが、第二次鉱毒調査会の各調査報告書(全部で15本ほどある)をよく読むと、工事が不完全だったことが随所で指摘されています。たとえば、古在由直が明治35年11月24日付けで提出した、<渡良瀬川上流水質試験報告>には、<除害設備の不完全>という記述が3ヵ所も出てきます。」

いったい、完全無欠な工事などあり得るでしょうか。
どんな工事にしろ、チェックをすれば、必ず手直しの必要なところが出てきます。
建築でなく土木の工事ですから、なおのことそうです。
特にこの工事の場合は、わざわざ工期を短くしたので、当然、欠陥工事になる可能性が高くなるはずです。
私は、建築雑誌を編集していたので、この工事が、180日の工期では到底不可能と思われるのに完工したという事実に、驚きを禁じえないのです。
にもかかわらず、菅井氏が工事の出来具合をこれほど非難するのは、どうしてでしょう。
私には、建設工事のことなど何も知らないからこそ出来る、無責任発言としか思えません。
それに、評価の難しい欠陥を云々しても意味がありません。
意味があるのは、工事の結果、被害農地が回復したかどうかですが、明らかに回復したのです。
栃木県連合教育会が、「工事によって鉱毒問題は解決した」と明言しているではありませんか(『下野人物風土記』)。
菅井益郎教授がいくら不完全を云々しても、何の説得力もないわけです。