闇歴史Ⅴ
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私がそんな風に思案をしていると、なにやら心臓とは反対側のほうの足に違和感を覚えた。
生物の気配がする。私が恐る恐る足を上げてみると、そこには、王侯貴族が使用するような鉄製の爪楊枝と同じくらいの身長をした人間が立っていた。
いや、もはや人間のサイズではないので、人間の形をした生物が立っていたと表現したほうが正しいであろう。
その生物は虹色のパン屑で織り込まれた服を着ており、足には赤い帽子を履いていた。
そして私に向かい、いらっしゃいませお客様、と声がかかる。
どうやらこの生物は何かの店員らしい。私に比べ何十倍も小さいであろう声帯から発せられる声を、よく私の聴覚は捕らえたものだと感心した。
もしここが、ライオンの哺乳類としての弱さをモチーフにしている寂れたバーならば、おそらくは、鮫の顔をした異国の男性がいるはずである。
私は、その人間の形をした小さい生物に、こちらは、ライオンの哺乳類としての弱さをモチーフにしている寂れたバーですか、と尋ねた。
寂れたバーなどというととても聞こえが悪いが、こう言うより他に適当な言葉が見つからなかったので、そのように言うしかなかったのだ。
つづく