闇歴史Ⅱ | U1ブログ「そば、かけで」

闇歴史Ⅱ




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今日は自転車で行こう。
私はそう決めた。
そうと決まれば、まずは自転車を探さねばならぬ。
なにせ私は自転車を持っていないのだ。
私はちょうど通りかかった銀行員の家政婦に、すいませんが自転車を貸してもらえませんか、とお願い申してみた。
申し訳ございませんお貸しすることはできません申し訳ございません。これは先ほど異国の男性よりお借りしたばかりなのです申し訳ございません。
銀行員の家政婦は、それはそれは身を縮こまらせ、たいそう申し訳なさそうに言葉を並べた。
珠のように純白の色の肌に透明な冷や汗をかき、何度も何度も頭を下げる。
そして塩をかけたら溶けてしまうのではないかと思わせるほど小さくなり私の前からすっぽりと姿を消してしまった。
おそらくは仕事場へと向かったのであろう。
しかし、異国の男性というのは気になる。あの銀行員の家政婦は異国の男性から自転車を借りたと言っていた。
それはつまり、その異国の男性が自転車貸し屋であるということを意味しているのではないだろうか。
世の中にそのような職業があるのかは私に知るところではないが、金銭を貸すという職業があって自転車を貸す職業がないという道理もあるまい。
私は、そう思い立つとその異国の男性なる人物を探すことにした。





                                 つづく