"岸辺のアルバム 第5話" 山田太一 背中を押していたのは、死の迫った友人の話だった。 人が聞けば悲しい秘密でも、満たされるためには必要で、世間から見れば、薄汚くも、恥ずかしくもある話なのに、輝かしい勇気に後悔はないようだった。 私もいつか死ぬ、という思いが背中を押していた。