私はダンという名前のアメリカンコッカースパニエル犬と一緒に暮らしていました。
私がこの家に来た時から毎日ずっと一緒。
昨年の4月、後ろ脚が立たなくなり、介護が始まりました。
24時間体制でほぼ付きっきり。
睡眠不足と自由に動けないストレスで気力体力ともに極限状態の日々が8ヵ月間続きました。
歩けない、立てない、動けない、食べられない、飲めない、眠れない…少しずつ少しずつできないこと増えていきました。
2023年12月21日冬至の前日の早朝、とても静かに最期を迎えました。
これ以上できないくらいお世話させてもらえたので、後悔はなく、ねぎらいと感謝の気持ちでいっぱいでした。
モジャモジャで温かい体にもう触れないことは本当にさみしいけれど、まるでロストパッケージのように私の元に悲しみが届かず、ほとんど泣くことがないまま3ヵ月が過ぎようとしていました。
2024年3月15日、藤井風さんの新曲「満ちてゆく」のMV公開。
MVを観ながら、泣いていました。
吐きそうでした。
嗚咽が止まりませんでした。
風さんの歌を聴いて、やっとわかりました。
悲しみが所在不明のまま私の元に届かない理由が。
泣けないのはなぜなのか、やっとわかりました。
私、ダンの亡骸を抱いたまま、ずっと暮らしていたんです。
私、ダンの死を受け入れていなかった。
「手を放す 軽くなる 満ちてゆく」
私、いったんダンの手を放さなきゃ。
さみしいけど、ダンを還すよ。
春、来てほしくなかったのかもしれません。
ダンを抱いたまま、ずっと冬眠していたかった。
「things change, and we can do nothing about it.
just letting go,feeling lighter,and becoming filled.」
時は止められない。
わかっているけど、わかりたくなかった。
雪が溶けたら春になる。
どれだけ涙を流したら、春が来るのかな。
春、迎えられるかな。
とりあえず今は泣きます。
アホみたいに泣いてやる。