小さい頃から弾いていたピアノ。

いつしか好きじゃなくなった。



理由は繰り返し練習するのが面倒になったから。
友達と遊ぶ時間がもっと欲しいから。

ただそれだけの理由で約8年間のピアノ人生は終わった。






たまにはピアノは弾いた。
音が好きだから。
皆の前で弾くと喜んでくれるから。

でも練習はしないから指はすぐもつれた。
メロディーが上手く紡ぎだせなくなった。


すると皆の前では弾かなくなった。
ピアノに触るのもうーんと減った。

それでもごくたまにピアノは弾いた。
やっぱり楽しいから。
音はすぐ外れるし、テンポもバラバラ。
ピアノやってた人間に思えないほど覚束ないメロディー。

自己満足の世界で私は気ままにピアノを弾いた。





今ピアノは埃がたまってひどい状況。
何年も調律していないし、メトロノームも自動演奏も機能しなくなった。

もう何ヵ月も弾いていない。

お金もない。

そういえば友達がピアノを売ったと言っていた。
私も売ってしまおう。

もはや主を失ったピアノ。

わたしの新しい趣味の為にお金に変えて。




インターネットで買取相場を軽く見てみた。
アップライトピアノだからそんなに高くないだろうと思いながらも少し期待していた。

すると大体15万前後だった。


金額を見た瞬間、今までのピアノとの歴史が頭を過った。



母が買ってくれたピアノ。
私だけのピアノ。
調律は毎年していたし、自動演奏機能も相まって暇さえあればピアノの前に座っていた。

練習が楽しくなかった。
母からピアノのことで注意されると弾けもしないくせに。と卑屈になった。


ピアノから離れてからも私の暇潰しの相手になってくれた。




ピアノとの思い出。
その奥には母との思い出。

それが15万であるならば売りたくないと思った。


天秤にかけるわけではないがそう思えるうちは売らないだろう。
年月が過ぎていくとピアノの価値も下がるだろうし、またわたしは売れないんだろうなぁ。

それでいいのかもしれない。

それでわたしの家には壊れるまでずっとピアノが居座るんだ。



ピアノの光が消えるまで。





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