第30回「自由俳句の会」研究課題句<五十年幻や妻と銀座のビヤー館(ホール)> | 勝どき日記

勝どき日記

愛語よく回天の力あり、生きている証を綴る。

●写真は、夢道が書いた<五十年幻や妻と銀座のビヤー館(ホール)>の色紙。

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  第30回「自由俳句の会」研究課題句
<五十年幻や妻と銀座のビヤー館(ホール)> 
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  2024/04/25号        殿岡駿星


第30回「自由俳句の会」の夢道句研究課題は<五十年幻や妻と銀座のビヤー館(ホール)>としました。この句は、昨年10月の第27回「自由俳句の会」でも取り上げましたが、今回は、4月3日に「自由俳句の会」のメンバーが銀座「ライオン」に集まって、ビールを楽しんだので、もう一度課題として、みなさんに鑑賞文をお願いしました。

そもそも、なぜ同じ句を鑑賞する事態になったのか、その理由を説明します。実は、27回の研究課題句を読んだ、入江秀子さんから「東京へ行く機会があったら、ぜひライオンへ行ってみたい」というメールをいただきました。それを知った会員から「ぜひ、参加したい」という連絡があり、ある会員から4月13日から海外旅行に出るので、その前に1度ライオンの会ができないか、という要望がありました。

それで、4月3日午後2時半に銀座三越のライオン像の前に集合してもらい、歩いて銀座7丁目のビヤー館「ライオン」に入りました。メンバーは入江風流2さん、風間秀子さん、鈴木靖彦さんと俳句仲間の2人、それに駿星と妻の日向碧の7人でした。

同じ句を研究課題句に取り上げるのはどうかと思いましたが、会員のみなさんから、多くの鑑賞文をいただきました。ありがとうございます。以下に紹介します。

◆鈴木靖彦さん(東京江東)の鑑賞
<五十年幻や妻と銀座のビヤー館(ホール)>
 
令和6年(2024年)4月3日午後2時30分時折雨のちらつく中、殿岡駿星氏は奥様と二人で銀座三越のライオン像の前で殿岡氏が主宰する自由俳句の会の会員と待ち合わせをしていた。銀座ライオンでの昼食会に臨むためであった。銀座ライオンは待ち合わせ場所から2分ほどの銀座4丁目から7丁目までの移動距離にあった。

集まった7人は程なくテーブルを囲んだ。筆者ら3人は自由俳句の会員の方々とは初めての出会いで多少緊張していた。殿岡氏の計らいで自己紹介から始まった2時間余りの食事を兼ねた団欒は和気あいあいのうちに終わった。

創建が1934年の国の指定有形文化財の銀座ライオン。今日その同じ場所は外国人と日本人が約半々の満席の混み具合であった。

生前1972年69歳の夢道が、癌の宣告を受け魂の抜けたようになっている妻の静子を慰めようと手術を前にした夏の或る日銀座ライオンに誘った。夢道は随想(随時随想)の中で述べています。妻をどう慰めどう救うてやるべきかその術はある筈もない、センチメントではない、悲しむことより方法がない。このような心境での銀座ライオンでの時間はどうだったのであろうか。

夢道の詠んだ五十年を遡れば、肥料問屋で丁稚で働きながら、19歳で自由律俳句の荻原井泉水に出会い、静子との出会い、弟の死、、静子との結婚、子供の誕生、特高による検挙、無法な検挙による投獄、戦争、飢餓、栗林一石路らとの同志愛、新俳句人連盟の創設等など、大正から昭和にかけての15年戦争の日本軍国主義と戦った50年であったのだ。

第1句集(無禮なる妻)はその社会情勢の中での苦しい生活、飢餓状態での静子の知恵と苦闘を詠む。精神も肉体も高揚、充実期にあった69歳の夢道の無念さはいかばかりであったであろう。北海道旅行先の殿岡駿星・浩佳夫妻の家で2時間余り、全精魂つきる程語った人生の歩み、ご夫妻は夢道をどれほど生かしてあげたいと思ったでありましょう。

三越前に立って和光の時計を見た夢道は残り時間の刻・一刻と少なくなっていく自分の身をどう見たのでありましょう。銀座ライオンで昼食会を終えた私は夢道の没後五十年(2024年)に立っていることに気づき、夢道を偲ぶのであった。<五十年夢道を偲ぶてふ朧(靖彦)>

◆荒井寿恵さん(東京国立)の鑑賞
<五十年幻や妻と銀座のビヤー館(ホール)>

『橋本夢道物語』に7月3日入院、8月1日手術とあります。入院しているときにビアホールへ行くことが許可されたのか、ちょっと不思議ですが、夢道は気晴らしに静子を誘った、と殿岡さんが書いています。(p366)

この気晴らしは、文脈からすると、梅干しに初めて黴を生えさせてしまった静子さんのためのようです。

実は、夫が4月10日に、局所麻酔での手術を受けました。その直前の土曜日の夜、二人で知人のお店に飲みにでかけました。店主ラインメールの「今日のおすすめ」の仲間に入っているので、毎日おすすめメニューが送られてきます。その日のラインメールは、こんなでした。

☆☆☆☆のS(店主名前)です。
お花見がてら、お寄りください。
「花見酒特集」と「桜鯛」「鰆の炙り」「フキノトウとホタルイカ」
「菜の花」「のらぼう菜」「春キャベツ」など旬の味覚勢揃いでお待ちしています。 店主モバイル★★★★

いつもは、ラインを眺めるだけなのですが、ふと、夫を誘ってみようと思いました。二人でゆっくりと自転車をこいで、10分ほどの道のりです。帰りは自転車を押して帰ろうねと言いながら、さくら通りを越えて行きました。映画上映や音楽などの集まりもあるお店で、天井が高くスクリーンもあります。そちらも参加したことがありますが、夫と二人では初めてです。お店の席は、二人連ればかりで、ほぼ埋まっていましたが、予約席に案内されました。

席に着いて、まず中生ジョッキを注文。ジョッキが来て、はて何に?と手をとめて、「壮行会!」と納得して乾杯しました。突き出しは、ネギとマグロの串カツとホタルイカの酢味噌和えが出てきました。ほろほろと柔らかなマグロに、とろけて甘い長ねぎ。ホタルイカは夫の好物です。本日のメニューから、お刺身の盛り合わせ、フキノトウとホタルイカの天ぷら、菜の花のからし和えなどのお料理と、おすすめの「花見酒」を注文しました。

岩手出身の夫は、岩手の日本酒「我が家の春」を選びました。私は利き酒セットで長野の「佐久乃花」と福島の「花さくら」を選びました。フキノトウのほろ苦さ、天ぷらの中のホタルイカの柔らかさ、菜の花をひたした辛子のツンと鼻にぬける刺激、日本酒に合うねと言いながらゆっくり食べて、最後の締めは、店主得意の沖縄そばを二つ。一つはミニにしました。

テーブルに運ばれてきた沖縄そばに、コーレーグースをかけていたら、店主が、旦那さんのほうがミニなんだね、と驚いていました。我が家はいつも妻の方が大盛りを食べるのです。

夫の手術は、透析の準備のためのシャントを腕につくるためです。入院前の週は、病院の指示にしたがって、市役所にいって、後期高齢者医療や医療費助成の説明をきいたりしました。経過も良く、4日ほどの入院で済みましたが、退院時の栄養指導を夫婦で受けました。今後の道のりを思うと、気が重くなることもあります。手術前の一晩、好きなものを食べて飲んで過ごせたことは、まだまだ大丈夫と、希望を与えてくれた気がします。

夢道と静子さんは、どのような乾杯をしたのでしょうか。   

◆子安桃子さん(千葉成田)の鑑賞
<五十年幻や妻と銀座のビヤー館(ホール)>

この俳句を鑑賞するにつれて、私の中に沸々と、劣等感が湧き上がってくるのを止められませんでした。

この俳句からは癌という大病を前にして老いから来る衰え後悔やさびれが微塵も感じられません。

かっこいい人は何をしても、どうなってもかっこいいものなのですね。そう言うかっこいい夢道先生だから静子夫人のような美しくて優しい女性を妻にできるし、五十年あまりに渡る一生を共にしてもらえて、子宝にも恵まれて、この句を始めとする後世に残る名句が多く読みつがれていると思います。でもそんな夢道先生のような人でも死を前にすると、今まで経験してきた幸せな事まで幻のように感じてしまうものなのでしょうか。

夢道先生が生きてきた人生は、決して幻なんかじゃない、夢道先生は、誰かにそう言ってもらいたかったのでしょうか、私も何だかその気持ちが解るような気がします。夢道先生が静子夫人を銀座のビヤー館に誘ったのは、或いは、静子夫人との人生の現実を確かめたかったのではないかともとれる俳句だと思います。

◆入江風流2さん(東京江東)の鑑賞
<五十年幻や妻と銀座のビヤー館(ホール)>

幼い頃、多分小学校時代だったかな?私の故郷は長野の北信地方ですが、町の或る地域にホップ畑があり、夏の早朝、家族総出でホップを積みに行きました。今、思えば、即、現金収入になるホップ積み。何故、早朝か?と言えば、涼しいうちに積んだ方が、水分をたくさん含んでいて重いから?かな。せっせと積みました。

ホップはビールになる、と聞いていましたが、ビールってどんな物か知らない子ども時代。色も香りも、想像さえしなかったあの頃。

その後、会社勤めになり、付き合いで「飲む」事がでてきましたが何故かビールは苦手中の苦手。梅酒、ハイボール、ワイン少々。そんな私が先日、銀座ライオンで黒ビールをSグラスでやっと…。

苦かったです。ビールの旨さを分からないままに、時が過ぎて行きます。ゴメンネ、ビール🍺  「ゴメンナサイ、夢道さん」

◆入江秀子さん(鹿児島沖永良部)の鑑賞
<五十年幻や妻と銀座のビヤー館(ホール)>

この句を詠んだ時夢道はすでに食道がんに侵されていたという背景を知ると、この句の味わいが一層深まります。医師の宣告で、まず自分のことではなく妻の嘆きがいかばかりかと思いやる彼の心優しさが「五十年幻や」という上五に込められていて、しみじみと胸に沁みてきます。

今では女性がビヤホールに行くのは当たり前のことですが、あのころはまだ夫婦でビヤホールに行くことは珍しかったのではないでしょうか。その意味でも時代を先取りした夢道夫婦は素敵だったと思います。

◆殿岡駿星(東京中央)から
<五十年幻や妻と銀座のビヤー館(ホール)>

入江秀子さんの「東京へ行く機会があったら、わたしもライオンへ行きたい」という希望を聞いて、秀子さんが沖永良部から出て来る前に、「予行演習」としてビヤー館へ行ったのが、再度の研究課題句となった理由です。

わたしは、最近はビールを飲んでいません。血糖値が高いので体調を考えて、ウイスキーにしています。ただ、好きな日本酒は正月の3が日だけ飲んでいます。しかし、「ライオン」のビールは別です。4月3日は、エビスを中ジョッキで、黒ビールも中ジョッキで飲みました。さすが、日の本一のビヤー館、おいしかったです。

新入会員の鈴木靖彦さんとは初対面でした。三越のライオン像の前では、たくさんいる人の中で、妻は「あの人が鈴木さんでしょう」と一発で見つけました。それが妻の句<菜種梅雨顔は履歴書歓迎会>となりました。鈴木さんは俳句仲間の角田(つのだ)さんと池田さんを連れてきてくれました。会計は7人それぞれに配られたカードを見せて注文、個人会計ができるシステムで、幹事役は楽でした。

角田さんは、月島の書店で「橋本夢道物語」を発見できたいきさつを話してくれました。角田さんが「月島に面白い俳人がいた」と鈴木さんに本を見せたおかげで、鈴木さんは「橋本夢道物語」に感動し「自由俳句の会」に入会するきっかけとなったのです。夢道がかつて、わたしに「人の世に偶然はない。すべて必然だ」といってくれましたが「ライオンの会」はそれを証明してくれました。

荒井寿恵さんは、夫が4月10日に透析の準備のための手術でした。その直前に、知人の店のラインの案内で、ビール、お酒、料理を楽しんだそうです。夢道の<五十年幻や妻と銀座のビヤー館(ホール)>のおかげで、手術前の「壮行会」ができました。

もし、わたしがガンの宣告を受けた場合を考えると夢道のように、妻と「ライオン」へ行けるかどうか、わかりません。しかし、荒井寿恵さんが、夫の手術前にお酒を飲んで「壮行会」をしたように、夢道の句は病いを楽しみに変えてしまう力があるように思いました。夢道が「俳句は年寄りの趣味ではない。悩み苦しみから乗り越える青春の文学だ」と語ったように、わたしもがんばりたいと思いました。

子安桃子さんは「この俳句からは癌という大病を前にして老いから来る衰え後悔やさびれが微塵も感じられません。かっこいい人は何をしても、どうなってもかっこいいものなのですね」と書いてくれました。当時の医療状況では、ガンは死を意味していました。ところが、子安さんは夢道に「衰え後悔やさびれが微塵も感じられない」といいます。そこまで大きな人間として生きられる夢道は、どこにその根があるのでしょうか。

風流2さんは子どものころ、信州のホップ畑でホップ積みをしました。「そのホップがやがてビールになる」と聞いてはいましたが、ビールは苦手だったそうです。しかし、ライオンでは、ハーフアンドハーフを飲んでくれました。ビールの旨さはまだ分からないそうですが、「自由俳句の会」の別名として「ライオン会」と名付けてくれました。

入江秀子さんは「医師の宣告で、まず自分のことでなく妻の嘆きがいかばかりかと思いやる彼の心優しさが<五十年幻や>という上五に込められていて、しみじみと胸に沁みる」と書いてくれました。二人で生きてきた「五十年」、妻とビールを飲みながら、夢道は何を語ったのでしょう。

鈴木さんが書いてくれたように、1974年10月9日に亡くなった夢道、ことしの10月9日で没後五十年となります。この「五十年」も、ほんとにあっという間、幻のように過ぎてしまいました。年内にもう一度「ライオン会」ができる日を楽しみにしています。
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この報告はブログ「勝どき日記」に写真付きで転載します。
https://ameblo.jp/ashashio10ri10n
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◆「自由俳句の会」季語や、575のリズムにこだわらない自由な
俳句作りを楽しむ会です。自由律俳句とは違って、季語、575で
もOKです。年に6回、偶数月の第2土曜日までにメールで1人
5句以内投句。その後、投句者全員に無記名・ランダムで俳句一
覧を送信します。会員はその中から好きな4句と自選の1句を選
句します。選句結果から、金銀銅賞、特別賞として自由俳人賞
(5句合計最多得点)、サイクルヒット賞(5句すべて入選)など
を選び、メールと、ブログ「自由俳句の会」で報告します。
 https://blog.goo.ne.jp/jiyuuhaiku
その後、受賞者のことばと、会員の鑑賞文を含めて、句会のまと
めをブログで全国の俳句ファンに報告します。また、橋本夢道の
句を研究課題として鑑賞をし、ブログで発表します。第31回は
2024年6月1日から投句受け付け。年会費は1000円です。
参加申し込みはメールで。 syunsei777@yahoo.co.jp へ。
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★~★~★~★~★ 勝どき書房の本・案内★~★~★~★~★
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◆『濱松事件』     殿岡駿星著・定価2000円・税別
戦時中の濱松で5件、9人死亡8人負傷の連続殺人。市民が恐怖の
どん底に。1983年~1942年に遠州鉄道沿線で発生、犯人は、聴覚
障害の聾唖学校生徒だった。当時の刑法40条では、「いんあ(聾唖)
者ノ行為ハ之ヲ罰セス又ハ其刑ヲ減軽ス」とあったが、裁判では、
聾唖である事実が無視され、しかも逮捕時18歳の少年だったのに、
死刑判決、処刑された。殺人の動機は、父親が「聾唖の子は勉強す
るな、学校をやめろ」といって学費を与えないため、学費を稼ごう
と強盗に入ったためだった。当時、新聞記者だった著者の父親のノ
ートをもとに、著者が生まれた当時、80年前の事件の真実を追究。
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◆『橋本夢道物語  妻よおまえはなぜこんなに可愛いんだろうね』
            殿岡駿星著・定価1900円・税別
自由律俳人の橋本夢道は<渡満部隊をぶち込んでぐっとのめり出し
た動輪><子ら問う巡査がなぜこんなに従いゆくメーデーなの>
などの反戦自由律俳句を作っていたため、1941年2月、特高に治
安維持法違反容疑で逮捕された。同時に「京大俳句」の関西在住
同人や関東の「俳句生活」などの同人44人が逮捕された。昭和俳
句弾圧事件と言われている。2年余の獄中で<うごけば寒い>
<大戦起るこの日のために獄をたまわる>など約300句を作る。故
郷の徳島、東京月島、妻静子を愛し反骨とユーモアで生き抜いた生涯。
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◆『橋本夢道の獄中句・戦中日記 
   大戦起るこの日のために獄をたまわる』
              殿岡駿星編著・定価 2000円税別
2012年から、勝どき書房で奇数月の第二土曜日に「夢道サロン」
を開催するようになり、そのメンバーから、夢道の獄中句「大戦
起るこの日のために獄をたまわる」など300句をまとめて本にし
たら、という意見が出た。最近見つかった夢道の戦中日記も加え、
メンバー8人のエッセイも掲載し、「橋本夢道物語」に次ぐ夢道
を紹介する2冊目の本となった。このメンバーが中心となって
「自由俳句の会」が結成され、偶数月にメールによる句会が続け
られ、句会に集まる必要がないので会員は全国にいる。
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◆『狭山事件 50年目の心理分析』
            殿岡駿星著・定価3200円税別
1963年5月1日、埼玉県狭山市で発生した女子高校生誘拐
殺人事件(狭山事件)は、石川一雄さんが犯人とされていま
すが、石川さんは無実を訴え、再審開始を求めて闘っています。
著者はこれまでに石川さんの無実を証明するために「犯人 狭山事
件より」(晩聲社)を上梓していますが、その後、ブログに連載し
た「狭山事件・取材ノート」を土台に家族の証言などを心理的に
分析し事件を推理しました。石川さんが、犯人だとしたら、なぜ
被害者の自転車に乗って、雨の中を被害者の自宅へ脅迫状を届け
なければならなかったのか。電話でいいじゃないですか。しかも、
石川さんは、その自転車を被害者宅に返却して、雨の中をトボトボ
と4キロも自宅まで歩いたというのです。これは真犯人がしかけた
罠としかいいようがありません。刻々と真犯人に迫ります。
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◆『三億円事件の真犯人』
        殿岡駿星著・定価1700円・税別
1968年12月10日に発生した、府中三億円事件から40年、
真相を追求していた週刊誌記者上月町子さんは、ついに東武
東上線新宿駅から準急で30分の駅から歩いて40分、埼玉県
西部の農家にたどり着きました。農家の主人は70歳を過ぎた
老人でした。上月記者さんが「三億円事件について話が聴き
たい」というと、老人は「死ぬまで、だれも来ないかと思っ
ていたが、ついに来たか。ここへ来たのは、君が初めてだ」と
いって、住所と氏名を隠すという条件で事件の真相を語った。
老人は「三億円事件は発生の1年前、スカイラインを盗むと
ころからスタートしたんだよ」と話し始めた。
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◆『小さき村なれど -成田の寒村でキリスト教伝道に
        生涯を捧げた元幕臣飯田栄次郎の物語-』
        小松栄三郎著・定価1800円税別
それは、あたかも江戸の中心で起きた幕府の瓦解という激震が
もたらした津波のようなものであったかもしれない。その津波
が、成田の下福田に押し寄せてきて、村を呑み込んでしまった
とも言える。それは徳川幕府が禁じたキリスト教が、幕臣を伝
道者にしてしまうほどのエネルギーを持っていたのである。
(「第一章 幕府の兵卒・農村の教会」から)
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◆『火 みちのく一関忠臣蔵』
         小野寺苓著・定価2000円税別
火は常に胸中に在り、灯りにもなれば、火事にもなる。徳川
幕政下の大事件に遭遇。改易、刃傷、浅野内匠頭の切腹、討
ち入り、苦悩する元禄の一関藩士・牟岐平右衛門、赤穂浪士
・冨森助右衛門、妻るんとの出会い。「本書は忠臣蔵を舞台
に”イエ(家とは、親と子とは何かという根本的命題の提起
にはかならない」(ワシオ・トシヒコの解説から)
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◆『南瓜大玉の日の本國憲法私案』
           南瓜大玉著・定価2000円税別・
南瓜大玉と書いて「かぼちゃだいおう」と読む。東京の玩具会社に
勤めていた著者が定年後、憲法研究に目覚めた。南瓜大玉は、「憲
法試案」を上梓し、日の本に提案する。主な内容は「天皇制廃止・
大統領制・国防軍・地方自衛隊・武器の輸出入を禁止・非正規雇
用の禁止」など。好評となったが、理解できないので説明してほしい
という読者の声が出版社に寄せられる。出版社の依頼で、内容を
説明する講演を頼まれる。南瓜大玉は信州・別所温泉で講演した。
この本は、その温泉旅館で開催された、架空の講演会の記録をま
とめたもの。まじめで楽しい憲法論が展開される。
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◆『響野湾子俳句集 千年の鯨の泪櫻貝』
     響野湾子著・殿岡駿星編・定価2000円・税別
2019年、死刑囚表現展で、死刑囚響野湾子の句<千年の鯨
の泪櫻貝>に感動した殿岡駿星が、響野湾子が逮捕から処刑
までの18年間に獄中で詠んだ俳句、1597句のうち、813句を
選んで句集を編纂した。響野湾子の句は季語や575のリズム
にこだわらない。たとえば11音の<戦争は石の礫>という
句がある。響野湾子は2001年に殺人事件で逮捕され、2006
年から死刑囚展に俳句を発表し、2018年に処刑されるまでの
18年間に多くの本を読み、俳句の勉強をした。他に<枝先
の無きを確かめ蟻もどる><ゆくあての無き鬼もゐて鬼は
外><甚平で彼は消えたり処刑の夜><虹一本飲んで果て
たしああ暗い><一椀に命の果ての湯気の立つ><呼ぶ人
のない道を振り返る><おはようと言える人ゐて暖かし>
<朝顔の藍よりとけて朝が来る>などの句がある。
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◆『こんばんは、毛利小平太です。-霊談忠臣蔵-』
         殿岡駿星著・定価2000円税別
赤穂浪士のひとり、毛利小平太は、最後の脱盟者で、討ち入
り4日前の元禄15年(1702年)12月10日に太夫の大石内
蔵助に参加辞退を表明した。小平太が参加していれば、四七
士でなく、四八士となっていた。長年、忠臣蔵を研究してき
た著者の枕元に、ある夏の夜「こんばんは毛利小平太です」
といって現れた小平太の幽霊がその真相を語った。その後
医師になった小平太は、街医師から仁術の医学を学ぶ。  
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◆『新聞記者はなぜ殺されたのか』
         殿岡駿星著 ・定価2300円税別
朝日新聞阪神支局事件を調べた著者が、犯人の「日本人である」
という脅迫状の嘘を見抜き、舞台をさいたまに移して綴ったパ
ロディー推理小説。事件は、毎朝新聞さいたま支局記者が殺され、
「さいたま困民党」と名乗る組織から「武甲山の自然破壊を許し
た毎朝新聞の記者を断罪した」という内容の犯行声明が届いた。
その脅迫状は嘘と見抜き、深まる謎を追求していく。親友だった
同期の記者が取材し、意外な犯人を見つけ事件の真相に迫る。
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