ぼくは、そのヒロインに、当時、映画「黄泉がえり」の歌手役の柴咲コウをかぶらせて読んだ。
「西口ミッドサマー狂乱」は、永遠子というスーパースターのゲリラレイブと、スネークバイトというドラッグをめぐる大仕掛けの疾走感のある話だ。シリーズとしては、珍しく、誠の愛情が描かれていて、トワコという21世紀的なヒロインを見事に造形している。
「正面に女がいた。落ち着いてみてみると、金属の光がなんなのかわかった。女の右足のあるべきところには、チタン製の金属のシャフトがある。伸びやかな太もものなかほどから足は冷たい金属の棒になっていた。・・・トワコは義足の不自由さなどまったく感じさせずに、ひと動作でさっと立ちあがった。パーカーを脱ぐと、したは白い麻のタンクトップだった。締まった腹がまぶしい。背は百七十を軽く超えているようだ。足がでたらめに長かった。片方が金属の棒なので残りの足の長さが強調されるのかもしれない。股のつけ根ぎりぎりで切ったローライズのジーンズは恥骨がみえるんじゃないかという股がみの浅さ。なめらかな下腹に彫られたタトゥーに自然に目が吸い寄せられる。紺色の数字はこう読めた。1998/5/25 おれはあっけにとられた三次元CGでつくられたフィギュアのような女を見あげていた。」
ツアーの柴咲コウのキャピキャピしている曲の時じゃない感じは、ぼくの中のまさにトワコだった。



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