メール整理。
夏を控えた深夜、パソコンの熱気で蒸す部屋は、窓を大きく開け放ってある。
いらないメールマガジンばかりの中にぽつりと、過去にあの人がくれたメールを見つけた。
すると突然、窓の外から煙草の香りがした。
あ、
と彼のことが脳裏に浮かんだ。
それでも過去は振り返らない。
そのメールをなるべく見ないように、次のメールを開いた。
次に移るや否や、煙草の香りはやんわりと余韻を残してすぐに消えた。
何だったのだろう?
ホタル族が一服する時間としてはあまりに短い。
けれど気のせいと云うほど弱い香りではなかった。
もしかして窓の外にあの人が来ていたのかもしれないーーー
…などと、つい都合良く思い描く。
だってあまりにも出来過ぎたタイミングだったから。
けれど、もし貴方が来ていたとしても、私は安易に窓から顔を出したりはしない。
消えてしまった香りの余韻に、小さくさよならと呟いたーーー。