- 今回は『怪物王女』です。最新刊11巻まで発売中。
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- 怪物王女(11) (シリウスKC)/光永 康則
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主人公・ヒロはある美しい姫(表紙)に命を救われる。
彼女の血に、それを含んだ生物を不死身の戦士へと変身させる効果があったおかげだった。
怪物の王女の「血の戦士」となったヒロの、化物(フリークス)や怪事件に巻き込まれる日々が始まる。
アニメ化もした作品で、知名度は高いのではないでしょうか。
単行本では、チェーンソーやトゲ付き鉄球などを持つ姫が毎回表紙となっており、わかりやすいコントラストに血の色が目立っています。
タイトル通り、リリアーヌこと姫は怪物の王女ですが、高飛車で無茶難題を言ういわゆる女王様なキャラクターではなく、聡明さや窮地においても的確に物事を分析する冷静さを持つ、いわば軍師的な性質です。そこに日常での気まぐれさを織り込んだ感じでしょうか。
物事を解決する場合のほとんどは彼女の起点によるものです。
というのも怪物の王女でありながら彼女には人間と同じ程度の能力しかないためでしょう。
彼女の周囲の人物構成は
・人間と人狼のハーフ(ハーフブリード)
・吸血鬼
・人造人間
となっており、怪物くんをモチーフにしているようです。
ここに血の戦士のヒロが加わりますが、姫の血を分け与えられているのはヒロのみです。
他の兄弟の周辺はほとんどが血の戦士であることを考えると、異質な構成であると言えます。
これらのキャラクターが毎回奇妙な生物や事件に巻き込まれるのが大まかな話の流れです。
そのなかで徐々に姫の素性や状況が明らかになります。
当初は「姫」という記号でしかなかった呼び名も、リリアーヌという名前であること、成人すると不死鳥へとなること、不死鳥となる前の兄弟間の殺し合いによる王位継承戦が行われていることなどが判明します。
そのような事柄が見えてくると、事件の裏にも他の兄弟が暗躍していたり、直接的な対決に陥ることもしばし。
成人前の王族は人間と同程度の能力、というのは共通のようですが、兄弟間には個性があり、なかには超能力を持つものもいます。
そして血を分け与えられたものは不死の戦士となるというのも共通であり、これは不死鳥の伝説に由来するものであることが、素性とともに明らかになります。
さて、自分が感じる見所ですが、ひとつには扱う題材があります。
西洋的な伝説伝承などを中心に幅広く怪奇現象や、時には都市伝説、B級ホラーなども扱っていて面白い。
ざっと挙げますと
・吸血鬼
・人狼
・ゾンビ
・ハエ男
・宇宙生物
・UMA(ネッシー)
・スリーピーホロウ(首なし騎士)
・幽霊船
・クトゥルフ神話
・夢の迷宮
・時間の繰り返し
などなど。
他の作品を例に出すのは失礼であると思いますが、日本的な妖怪を中心とした怪現象を扱ったのが『ぬ~べ~』であるなら、西洋的なフリークスを中心に扱ったものが『怪物王女』であると言えるでしょう。
妖怪や悪魔、都市伝説、伝承などに興味のある方は「今回はこれが題材か~」と楽しめると思います。
もう一つ、自分が見所と思っている場所がずばり見開きです。
毎回クライマックスでは見開きを使ってのクライマックスが描かれます。
チェーンソーで両断というのが多い気がしますが、それらのシーンがとても美しい。
背景が無いこともあり、斬る側と斬られる側、その場面に関わるものが最小限に書かれていると思いますが、自分には時の止まったような一瞬を見事に描いていると思えます。
特に気に入っているのは幽霊船のエピソードで、巨大なサメの化け物にシャンデリアに乗った姫が宙からそれごと落下するシーン。
見開きでは散らばるシャンデリアのガラスと潰されるサメと着地する姫が描かれています。
このシャンデリアの砕ける破片が、あえて時が止まったように見える瞬間には心を奪われました。
是非一度は見て欲しいシーンでございます。
他にも人造人間勢が「ふが」という言葉でしか会話できなかったりするというチャームポイントがあったりしますが、それらは読んでみてからということで。