第205話 「グランパ -(グランパ)」

 



『(シュタイフのぬいぐるみのこと)京介さんならよくドイツに行かれるんです

もの、ご存知でしょう?』


というレイコさんの問いに、

「さあ・・・」 と漠然と首をかしげることしかできなかった。

桃子さんも同時に「さあ・・・」という顔をしていた。

『まあ良いです。とにかくテディベアの王様みたいな会社でした、一体で数万から
数十万のものがザラにあります。』

「ひぇえ~」

桃子さんも僕も素直に驚いた。黙って聞いていた摩耶がニコニコしながら口を開いた。

 「少し前にサザビーズだったかクリスティーズで高値の記録を更新したベアが出たじゃない?桃子ニュース見ながら何でこんな汚いクマに一千万以上の
値がつくんだよーって、タイヤキ食べながら怒りまくっていたわ、フフッ」

『ああ、センセらしいですね。』

「そうだっけか?」

『怒りまくるわりには、すぐに忘れるところもセンセらしいですよ』

「悪かったな!でさ、この辺だとそのクマどこに売ってんだ?やっぱ銀座か渋谷のデパートまで行かないとダメか?」

『えっと・・・確か青山一丁目のツインタワーに入っているグランパパがデパートよりずっと品揃えが多かったと思いますけど。ほら、俳優の津川雅彦さんが経営しているオモチャ屋さんですよ』

僕はツインタワーを思い浮かべた。仕事の合間に摩耶と楽しくお茶を飲んだ
プレジデントホテルのすぐ近くだ。



(つづく)