第172話 「ホントノツグナイ -(ホントの償い)」
(「・・・そうかも・・・・」 僕にはそう言うのが精一杯だった。)
「うん、アンタの中でこの事をそう簡単に消化出来ないことは解ってる。でもね、これは普通の傷害事件なんかじゃないの。警察行ったところで、アンタは病院行きを勧められるだけだし、誰もこんな話は信じない、せいぜい病院で、分裂症かなんかの病名をもうらうのが関の山よ。
しかも証拠がないものをどうやって立証するの?第一相手だって自覚なんかしてないし否定するに決まってる。当然裁判だってできないわ。それじゃ相手も殺して自分も死ぬ?そんなことで妹さんに償えると思う?妹さんはそれを喜ぶかしら?この子は決して復讐なんかを望む子じゃないわ・・・。
ねえ、本当の償いって何だと思う?」
・・・・。
「・・・今の僕にはとても考えつきません・・・。」
おばさんはニッコリ笑ってこう言った、
「じゃあさ、頭冷やして私と一緒に考えてみましょうよ。ほらっ、そんなに悲愴な顔しなさんなって!人はね、お腹が空いてちゃネガティブになってしまうの。ほら、私が奢るから一緒に美味しいものを食べに行きましょうよ!さ、立って立って!」
そして僕に席を立つように促した。店内のざわめきが耳に入ってきた。