第166話「キジョウ -(気丈)」
僕の思い起こした記憶を覗き見るかのようにおばさんは続けた。
「写真の無い時代だもの・・・兄さんの顔を忘れまいと懸命だったのね・・・それで?彼女の様子はどうだったの?」
「ええ、一生懸命元気に振舞って・・・目のことも治るから心配いらないって言って。ただ桃子さんから聞いた話では、それは僕を心配させまいと言っているだけで今の医学では一生治らないと本人も知っているらしいんです・・・」
「・・・そっか・・・」
今度はおばさんがさっきの桃子さんのポーズさながらに頭を抱えた。
(つづく)