恋愛奇譚 第122話 「イマシメ ー(誡め」
電話の向こうのおばさんに対し、僕はかいつまんで桃子さんから聞いたこれまでの摩耶の状況と、今朝の奇跡的な彼女の痛みの軽減を取り急ぎ話した。
ともすれば、摩耶の回復の兆しに嬉しさを抑えきれない僕をけん制するようにおばさんは言った。
“あのね、これで全て解決ってワケじゃないからね。この前も言ったけど、今の状況はあくまで少しの間相手がおとなしくなるように、ちょうど睡眠薬で眠ってもらっているようなモンなのよ。こんな程度で引き下がる存在じゃないの。必ず何かしらアンタの妹にダメージを与えるはずだから・・・。良い?しつこいけど、これは千年以上に渡って持ち越してきた戦いなんだから、そう簡単にいく訳ないわ。油断しちゃダメよ。”
思えばこの時のおばさんの言葉を、本当の意味で僕が理解したのは、ずっと先のことだった。
摩耶の病状を案じながらも、僕は次の出張先ポーランド出発の準備に追われていた。
(つづく)