ついに今日からはじまったコーラス。こういう音楽映画を私が見逃すはずがなく、早速観に行きました…。

今日出かけた本来の目的は映画ではなくて、友達とお買い物。けれどイクスピアリに行ったら偶然コーラスを上映していて、更に友人が早目に帰ったのでこれは今日観ろという掲示だ…と思い映画館へ。

フランスの映画は滅多に観ないので、不思議な感じでした。ハリウッドみたいに派手ではないし、もうちょっと分かりにくい。とても繊細でした。今日の映画の良いところはやっぱりクレマン先生と子供達です。クレマン先生のような温かい寮監がいる学校なら私も入りたい。そして彼から多くを学び取れるのだろうと思う。彼はとても人間らしくて温かい。そしてその分弱さも持っている。子供達にもおびえながら、その実彼らをとても愛しているのだとよく分かる。コミカルでいて繊細な感性を持ったすてきな人でした。あの先生なら一言語れば全てをわかってくれるだろう、そんなキャラクターです。

あの映画に出ている子供達は近所の学校から集めてきたらしい。そして凶暴な問題児役の青年は実際に少年院から連れてきたといいます。映画の中の歌は主役のモランジュ少年以外はみんな吹き替え。私も歌をやっていたのでその辺は観ていてなんとなくわかりました。一生懸命歌う子供達はとてもさわやかだった。

主役の少年は大分宣伝されていたけれど期待にそぐわずすばらしかった。天使もあれほどの歌声は持っていないはず。整いすぎていない顔立ちに猫背で暗い顔をしていて、何とも物憂い少年なのですが、一度歌い始めると神々しいまでに美しい。彼の声は澄んでいて高音も無理なくすっきりと出ている。そして聴かせようとして歌うのではなく、ただ歌いたくて歌っているような媚びない歌い方が透明で気持ちいい。大人になると歌には抑揚と感性も必要で、聴かせどころやドラマを要求されるけれど、彼らのような少年合唱やソロには別の良さがある。

歌というのは不思議なもので歌手が奢り始めると一度に良さを失ってしまいます。だけどその歌が好きで、自分のために歌う、自分で感動して歌うとまわりの人も聴いてくれる。今日の映画の子供達やクレマン先生は人に聴かせるために歌を始めたのではなくて、ただ歌いたかったり、ただ自分の歌を歌わせたかったりするのが動機だった。そして歌う幸福を覚えた子供達は精神的に豊かになった。簡単に言うとありがちなストーリーだけれど、音楽の本質を描いたものだと思う。

ここに出てくる子供達のストーリーはみんな悲しい。とくに悲しいのは両親を亡くしたのにお父さんが土曜日に迎えに来ると信じていつも門に立っているペピノ。5歳6歳くらいの小さな彼も途中から一緒に歌いだして、最後は先生についていく。彼の荷物は少なくて、小さなカバンとテディベアだけだったけれど、小さな彼の大きな決心を告げるには充分だった。

先生が施設にやってきた頃の子供達はどうしようもない悪ガキだった。だけど心がひねくれている子どもは1人もいなかったと思います。体罰の恐怖の中、あの子たちなりに生きていた。だからこそ音楽や新しい先生に対する彼らの反応はとても純粋で、その純粋な意気込みが澄んだ歌声を産んだのだと思う。

一度だけでは勿体ない。是非また観たい映画でした。