誰でもみんな、憧れの人に会ったらぼぅっとしますよね。。


私は熱を出しました。




先週の木曜日にロンドンの小さい劇場でやっているお芝居を観にいきました。


イブセンの「人形の家」。女性の独立を抽象的に描いたお話で、学校の歴史の教科書にものってた小説。


いつもミュージカルとか割と軟派なタイトルを好む私がなぜお芝居かというと…、


それは憧れの人が主演だからです。Gillian Anderson。




よーく考えてみると、特に好きな女優さんや俳優さんとかはいない私ですが、なんとなく追っかけていたのが


このジリアン。


xファイルは全部持ってるし、ラスト・キング・イン・スコットランドもうちにあるし、別の映画も観たし…。


これほどのコンプリート率はほかにはない!


やっぱり冷静に考えてみると好きな女優はジリアンを除いていない事がわかったわけです。




そんな地味なファン暦がわかったところで、今回のお芝居のお誘いを頂きありがたく食いつきました。


そういえばイギリスに移って1年ちょっと、まだお芝居は観てなかったのでそういう意味でもちょっと楽しみ。


ましてやジリアンなら万一お話がわからなかったとしても楽しみ…。


思い起こしてみると私がこの人形の家を読んだのはむかーしむかしの事で、話なんかほとんど覚えていないのです。


覚えているのは読み終わった後図書室のK先生と、主人公たちの悲しい結末について語り合ったこと。


…という事は?K先生は小学校の図書室の先生だから?つまり14年のブランクがあるということ??


これじゃまずいと思い、一応ネットで観にいく前におさらいを。。




簡単に言えばつまり、主役のジリアン(つまりノーラ)は潔癖な弁護士を夫にもつ二児の母。


いつもは夫が望むとおりのちょっとお馬鹿な可愛い妻を演じていて本人もそれなりにその役に満足していて幸せ。


だけど唯一彼女が人生で誇りに思っている秘密というのは、夫が病気になってお金がなくなったときに、


どうにかこっそりお金を都合してその場を乗り切り、わからないように少しずつ切り盛りしてお金を返している事。


ただ気がかりはその時に重病だった父の変わりに、借用書のサインを模倣してしまった。これはつまり詐欺に当たる。


だけどなんとか返済はほとんど済んで夫も健康になり人生が上向きになってきたところ、事件は起こる。




このお話を読んでいない人もいるだろうし、お芝居を観にいく人もいるだろうからネタばれはこの辺にしておきますが、


まあ前半はお馬鹿でかわいい妻を演じるジリアン(いや、ノーラ)が本当にかわいい。。


そして序盤は夫もとにかくそんな彼女を「猫かわいがり」していて、なんとも幸せそう。


夫に禁止されているマカロンを友達にこっそり持ってきてもらって頬張ったり、しぶしぶ友達に進めたり。


とにかくこのジリアンはとても愛らしい。


正直この幸せそうな時間がずっと続いてくれたらなぁ…とハッピーエンド好きな私は思うのですけれど、


話が進むにつれ少しずついろんな闇の部分がわかってくるわけです。


脅迫されながらも潔癖な夫に自分が書類を捏造した事がわかってはいけない。


だけど夫を動かさないといけない。彼女にはそんな力がないのに。




結局そんな彼女の葛藤は表に出せないまま、話は進んでいくのだけれどまあ巧みなことに至る所に伏線が張ってある。


口答えを許さない夫。好きなお菓子も自由に食べさせてもらえない妻。家の鍵さえ持っていない妻。


幸せだと思っていた自分も、本当は生きているのではなくて生かされていた?


自由だと思っていた生活も、本当は本当の自分を隠していた?


実際におきている騒動とは別に彼女の心のにも別の嵐が起きて、結果誰もが知っているとおりジリアンは子供と夫をおいて家を出る。




すばらしいお芝居でした。


役者さんもベテランぞろいだし、一幕の終わりに泣くまいとこらえるジリアンの頬にこぼれた涙には誰もが息を呑んでました。




ただ、ただ一つ。


どうしてもこのお話の結末は好きになれない。


現代人の私にはどうしても理解できないものなのかも?


序盤の夫婦って本当に幸せそうで、いくら良き妻を演じているとは言えお互いに愛があるんだろうなぁとおもう。


だけど最後には彼女は何もなかったと言って出て行ってしまうわけです。


私はどうしても、夫婦として何年もやってきた二人の間にはもう少し何かがあるんじゃないか?と思ってしまう。


ノーラは可愛い妻を演じていたわけなのだけれど、彼女としては夫を本当に愛していたから詐欺までしたわけだし、


夫は夫で妻が詐欺に関わっていたとわかったから暴言を吐いてののしったのだけれど、


落ち着いてみればもしかしたら、自分の窮地を救ったノーラに感謝したかもしれない。


「子供たちには手紙を書くけれど、あなたにはこれが本当のさようなら」と、指輪を置いて出て行くノーラ。


この後帰ってきて、もう一度じっくり話し合ってほしいなぁ。。。と思ってしまうエンディングでした。




7月までやってるから、また観に行こ。。