動員数が少ないマニア向けの映画と思いきや、ずいぶん人が多かった。
ロアルド・ダール原作で、71年にジーン・ワイルダ主演のミュージカル映画となった「チョコレート工場の秘密」のリメイク版を観にいった。
ジーン・ワイルダーの映画とはストーリーは同じもののプロットも雰囲気も全く違う。
けれど不思議なほど似ている部分もあった。まずチャーリーの家はほとんど同じ。(けれど家の中やチャーリーのおじいちゃんおばあちゃんの居場所については本なのかにかなり詳しく描かれている)
それからチョコレートの川がある中枢部に入ってから子供がチャーリーだけになるまで、そこまでの運びは全くといって良い程同じ。
更にエレベーターや船、一部の中身を除いては工場の中身もおなじだった。(例えばおじいちゃんとチャーリーがふわふわドリンクを盗み飲んでハメを外すシーンは今回の映画にはなかった)中枢部の中身なんて本当に良く似てる。だけどそれでも雰囲気が違う為か、違う映画にすら観えてしまう。
結論から行くと今回の映画はかなりの秀作だと思う。
まずウィリー・ワンカ。彼をジョニー・デップが演じるのには当初とても抵抗があったのだけれど、観てみると不思議な程ハマリ役だった。エキセントリックで不気味で魅力的だ。めったに人と接することがないが為に(ウンパ・ルンパは別として…)居心地が悪いのか子供達と合流したときのワンカは奇妙なほどのはしゃぎようだった。けれど工場に入ってオーガスタスが「排除」された後あたりから、だんだん彼らしいというか、彼のキャラクターが個性を帯びていく。
彼の子ども時代に触れるのは必ずしも必要ではなかったと思うけれど、味な計らいだった。
チャーリーとおじいちゃんはそのものだったと思う。
二人とも素朴で、心からうきうきしていて、それでも心理をついた質問をする。
この二人がいたからこその素晴らしさがあったかもしれない。
その他の子供たちも個性が出ていてとてもよかった。
女の子達はとても美少女ぞろいで、二人ともほんとうにキレイだ。なのにその強烈な個性と性格の為、あまりかわいく見えない。とくにVerucaとVioletが "Let's be friends!", "Best friends!"と言って笑顔を交わして腕を組むシーンは格別だ。二人が前を向いた途端にあらわれる競争心たっぷりの表情には関心した。横目をちらちらと互いを睨み合うのは演技なのかそうではないのか…
男の子達も見事。とくにマイク・ティーヴィーの憎たらしさは逸品。だけど残念ながら女の子ほどのインパクトはなかった。それぞれ素晴らしかったのに。
けれどこの映画に最も華を添えて、忘れられないものにしているのは紛れもなくウンパ・ルンパだ。
ディープ・ロイが一人ですべて演じている!!
そのシーンに20人のウンパ・ルンパがいたら20通り演じたらしい。カカオを好むウンパ・ルンパが一粒見つけた時に崇拝して拝む姿。さらにカカオの被り物を被って踊り狂う彼。最高だった。
更に子供が一人ずつ脱落する度に繰り広げられるステージ。綿密なリハーサルもなく(?)あれだけのそろった動きを見せるウンパ・ルンパはラス・ベガスでさぞ重宝されるだろう。
ジーン・ワイルダー時代の映画ではすべて同じ調子、同じような振り付けの歌だったけれど今回はすべてアレンジが違う。グッチ裕三がするようなクイーンやキッス風のハード・ロックだったり、黄色い衣装に身を包んで甘く歌うサイケなラブ・ソング調だったり、更にはディスコ調や水中バレエまで。
その存在感は圧巻で、心に迫るほどだった…。
ディープ・ロイに拍手!!